真三國志曹操編−15− |
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2008年09月12日(Fri)
真三國志曹操編−15−
「優れた皇帝である我が祖父和帝には鄭衆が居た。」
宦官は無能で金銭に貪欲な人物が多い中、鄭衆は政治的に有能で、しかも私心のない人物であったから、彼が政治に参与していた間は全く問題がなかったという。 「その鄭衆に似た人物が居て、その男には有能な息子がいると言うのだ。」 皇太子にそう言われ、曹騰は自分の父親が彼の出した有名な宦官に似ていることを始めて意識する。そして、その男の息子と言うのが誰を差しているかも理解する。 そんな彼に改めて皇太子は頭を下げ力強く彼の手を握り懇願する。 「曹騰殿、なにとぞ私の鄭衆となって頂きたい。お願いじゃ。」 曹騰は皇太子の許を退出したが、その言葉が深く耳に残り離れなかった。その言葉はどの言葉よりも重く、同時に彼自身が不思議と笑みを漏らす言葉であった。 一少年にすぎない男に対して、まだ一少年にすぎないけれど皇帝になるかもしれない男が自分を期待し認めた上で、至上の誠意を示してくれたのである。 (父も宦官に身を堕としたと思っていたが、きっと皇帝達から至上の信頼を得ることが出来るからこそ、その宦官の仕事をあれほど誠意を持って過失を犯さず一生の仕事としてやり遂げているのだろう。) 世に名臣と言われる者、名士と呼ばれる者、勇士と呼ばれる者、忠臣と呼ばれる者は沢山いて皇帝からの寵愛を受けている者は居るだろう。 でも皇帝という立場を超えてでも、人として信頼され、あるいは皇帝の意をくみ最大限の成果を上げ尽くした者が我が父や鄭衆を超えて歴史上いるかどうか考えると、居ないと曹騰は居ないと思う。 (我が父はすごい人間なのだ。) 皇太子の姿にふれることで、始めて曹騰は父を理解し、同時にそのきっかけをくれた彼に対して心の中で感謝をして手を合わせる。 そんな彼を曹萌は敢えて何を話したのか、立ち入ってはいけないと配慮が出来る人間だからこそ何も聞かずに「皇太子は曹騰から見てどんな人間だった」と問いかける。 (父上の方が皇太子の人となりは知っており聞く必要はない。それなのに問いかけるのは、私が皇太子を支えるだけの見識があるかどうか試しているのだろう) と思い、その感謝の言葉とは別に冷静に彼の人物評を述べる。 「皇帝になるには優しすぎるし、人を信じすぎる……良い方にだけ人を見てしまう人間だと思います。ですが、その欠点は同時に彼の魅力であり、美点になるでしょう。 従うに値する人物だと思います。」 そう考えを述べながら退出する間、彼の横は沢山の外戚や、宦官が通り過ぎる。庭を見れば宦官達が蹴鞠に興じ下品に笑い声を上げているし、高官達は曹萌に恭しく話しかけ、時に金を渡そうとしてことわれながらもこびる笑みをして頭を下げながら、他の高官達には威張ってみせる。
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