真三國志関羽編−21− |
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2008年07月26日(Sat)
真三國志関羽編−21−
関羽の心の中にも取り立ててもらうことが本当は絶望的ではないかという思いはあった。役人達の役人達特有の調子の良い言葉に望みを持った時期もあったが、預けられてほっておかれるうちにだんだん信じられなくなってきていたし、待つ時間を過ごしている間に、己の中でも年齢を重ねていく。
時間だけが過ぎていくのに、何も出世できない一方で同じ世代の曹操と言われる者が中原の黄巾党討伐で名をあげていたし、代州では同じように異民族の流れをくむのではないかと言われている呂布が勇猛な戦いで一部隊の体調にすぎないが、北方の遊牧民族から恐れられていた。 無為に時間にすぎていくことに「取り残されている」という焦燥感が常に関羽には存在していたのである。 「自分の軍隊だと思って、指導しても良いんだぞ。」 少し意地悪く試すように玄徳はつぶやくと関羽を置いて、張商店の一人と打ち合わせをしながら戻っていく。 「任すと言われて。」 誰も受けるといっていないのに、と思いながらも、ちらりと自らに与えられた軍に興味を少しだけ向ける。 (……一人一人の技術は劉備が細かく指導しているだけあって、義勇軍とは思えないほど、官軍と遜色もないほど、能力は高いが……) 挙兵したとしたら、相手は3万の大軍であり、しかも相手は烏合の衆ではなく宗教で心を一つにしている軍団だ。 (こんな感じで勝てるわけがない。) そう思うと、劉備の口車で戦場に送られる若者達が気の毒に思える。多分彼らのほとんどが死ぬことになるであろう。 「死にたくなければ、もっと剣をしっかり振れ。もっと早く動け。」 もともと関羽は寺子屋で子供を教えているくらいだから面倒見のいい男である。自分と比べていかにも駄目そうな兵士達を見ていると黙っていられない気がした。 一方突然怒鳴られた兵士達だが、一瞬だけ固まったものの関羽が言ったことが分かると、「……はいっ」と返事をして素直に関羽の言うことを聞き、その通り動く。 それでも関羽の望んだレベルではなかったが、彼らは一生懸命関羽の指示に対して努力して動いていたので、顔は厳しいままだが内心では 「たのしいかも。」と思った。 一方張飛と対決をして「殺されるかも」と慌てて玄徳の様子を見に来た簡雍少年だったが、玄徳が無事であるのもほっとしたのだが、その後張飛を居候させるは関羽には自分の必死に集めた軍を預けてしまい戻ってきたというのを聞いてびっくりする。 いきなり部下でもない男が軍を指揮したり、酒を飲んで虎になっているとなれば部下達は戸惑うだろう。 でも劉備は「大丈夫だ」と答える。 「部下達には、張飛・関羽が一万人に一人の英傑であること一騎当千の勇者であることを、彼らの事を戦うという事で調査をした時から部下達にはしっかり話をしている。実際に奴の腕力や、指導に接すれば余計兵士達も彼らがいれば強いという思いを持つだろうよ。」 「貴方は彼らを部下にしたいようですが、それだけの男が先日斬り合うかもしれなかったのにあっさり味方なんかになりますか。」 簡雍少年は噂で聞く彼らの執拗な性格や野心、自尊心から疑問を持ち疑問を呈する。 「別に部下として扱うつもりはない」と玄徳は言ったが、協力はしてくれるだろうという確信が彼にはあった。 「張飛も関羽も飢えて居るんだ。だからその上が満たされるのなら一緒に力を貸してくれるだろう。」 「飢え?」 「ああ。」 出世をしたいという飢え、認められたいという飢え、力を発揮したいという飢え。でも現実は多くの場合その上を癒してくれてはくれない。
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