真三國志関羽編−18−



2008年07月21日(Mon)
真三國志関羽編−18−
 「どうしようか。」
 とりあえず張飛はもう一度頭の中で玄徳が言った言葉をなぞってみた。
 そして自分の身のあり方を考えるが、元々深く考えることが苦手な張飛は人を頼み関羽を呼んで来てもらう。

 関羽が来たのは翌日であった。玄徳の許に連れ去られたのにもかかわらず、迎えに来るまではかなり時間がかかった。
 正直関羽にしてみたら、張飛がどうしようとあまり興味がなかったし、玄徳が面倒を見てくれるのならやっかい払いできたと彼は思っていたのである。
 だから隠していたが嫌そうな顔をして彼は向かいに来た。張飛が玄徳の言った内容について相談したが、あまり芳しい返事でなかった。
 「お前が従いたければ、従えばいいだろう。俺は玄徳という奴に従わなくても、今の県令からは何かあったら力を貸して欲しいと言われておるから、義勇軍とはいえ素人連中だ。そんな奴らの力を借りる必要はない。」
 「まあ、そうだな。」
 別段喜びもしない(別に関羽に対して玄徳が言ったわけではないし、関羽にとって張飛が認められようがどうしようが興味もない訳である。)関羽に対して、正直がっかりしたし、他の人と同じような厄介者を相手にするような態度をうすうす気がついたのか張飛は思わず酒を口にする。
 「おい、酒を飲んで暴れるなよ。やっかいを起こしたら酒場でけんかをするのとは違うぞ。」
 関羽は酒乱の癖がある張飛をたしなめるが、不思議と張飛はこの日に限り少しも酔いそうな気がしなかった。
 それどころか、玄徳の言葉が胸にこだましており、そっちの方に酔っているかのように、気持ちは奪われていた。
 (みんなみんなそうだ。関羽のように友人面している奴も、両親のように好き勝手にやらしてくれるが家業を継がせてくれない奴も、俺の力を尊敬し(←それを人は恐れているという)手下になっている人間も、あの草むらでの時のように本当は信頼なんか出来ない。みんな俺様のことを厄介扱いしていて、誰一人本当はまともに扱ってくれないのだ。)
 (それなのに玄徳という男はどこか違う。少し馬鹿っぽいところもあるが、俺の才能を素直に買っているようであった。大事に扱ってくれた。)
 不意に関羽の態度を見ながら不意にある思いが浮かんでくる。
 (遙かに兄者の方が将軍として優れているから、俺は従ってきた。でも、俺様の命を賭けて従うべきなのは、俺様のことを一番評価してくれる人なのではないのか。
 それに答えて戦い、死ぬことこそ本当の幸せではないだろうか。)
 (心の中で厄介者扱いする奴らなんかより、少し馬鹿っぽいこの男の方がよほど俺の気持ちや働き場を与えてくれるのではないだろうか。)
 目を据わらせながら、そんなことを考え張飛は関羽を無視するかのように酒を飲み続ける。

 


   


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カレンダ
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