真三國志関羽編−15−



2008年07月13日(Sun)
真三國志関羽編−15−
 その数の多さに、ある一つの結論に結びつく。
 「玄徳の野郎。油断させている間に手の者を使って数で俺様を殺そうとしやがって。」
 そう苛立ちながら、突然草むらから襲いかかった人影を交わすと、矛で刺し貫こうとして、あわてて止める。
 「お前は俺の手下の一人。玄徳の手下から俺様を助けてくれるとは見事な忠誠心」
 と言いかけてあわてて、そいつの二撃目をよける。更に息をつく暇もなく、後ろから竹槍が襲ってくる。
 あわてて張飛はよけたが、腕をかすったせいか服の下から血がにじみ出る。
 「テメエら。俺の手下だろ、何故玄徳を襲わず俺を襲うのだ。さては玄徳にお前ら買収されたのか。」
 「うるせぇ、そんなの関係ねー。胸を押さえてテメエが俺達にどんなことをしたのか考えてみろ。」
 そう彼らが叫ぶので、張飛はあわてて胸を押さえ考えるが思い当たる節がない。
 「裏切りは、男として恥ずかしくないのか。俺はお前らに恨まれることはない。」
 彼は断言して不思議そうな顔をする。だけど、関羽にとって見れば彼らが怒るのは別段不思議ではない。酒を飲んで暴れては人を殴ったりすることを楽しんでいる男である。そんな奴に彼らはただ張飛への恐怖のあまり従っていただけである。
 その恐怖が玄徳に軽くあしらわれたことで壊れた。そのチャンスを突いて積年の恨みを晴らしたいし、それ以上に従い続けていればいつぶん殴られて殺されるか分からないからその恐怖を取り除きたかったのである。
 「テメエのような酒乱野郎に従っていれば俺達の命がどうなるか分かったもんじゃねえ。いつも叫ぶので飲んで意味もなく俺達を殴ったり鞭でうちつけたりしやがって。
 殺される前にぶっ殺してやるだけだ。」
 そう言って襲いかかった瞬間
 「待て。」
 と短く叫んで玄徳が彼らとの間に立つ。
 「何だこの耳デカ野郎。」
 張飛達の手下は殺意で気が立っており、言ってはいけない言葉を口にする。
 一瞬玄徳は不愉快そうな顔をしたが、すぐにいつもの丁寧な口調で彼らに言う。
 「なぁそう言う心配はもっともかもしれないが、彼はこの後10万の兵を向かい打つような大将になる男だから、勘弁して見逃してもらえないだろうか。」
 「うるせいっ、敵の施しなど受けん。こんな雑魚など俺様なら一蹴してやる。余計な口出しをするな。」
 助けられる形になってしまった張飛は思わず玄徳に抗議する。
 確かに彼の言うとおり張飛が彼らに囲まれたとしても殺されるとは玄徳は思っていない。
 「とはいえ、降りかかる火の粉と言え多くの者を傷つけるようなことがあれば州の役人達もほっておいてはおかぬだろう。
 お前は一軍の将として大軍を迎え撃てるだけの力を持つ豪傑だ。
 つまらないことは気にするな。得な方を取れ。
 君たちもこいつを殺せたとしても、何人の仲間が死に傷つくのか分かったものではない。無理をするよりもそれよりは私にここは任せた方が得だと思うよ。
 今までのようにお前達を傷付けたりしないことを約束しよう。」
 「うるせいっ」
 一度殺すと腹をくくったせいか、張飛の手下達はかなり気が荒く説得など、聞く様子もない。もとより玄徳もこれほど冷静さを失っている双方に説得が通じるとは実際は思っていなかった。
 無理矢理、張飛の体を抱き起こすとにらみ合っている彼らを前に強引に馬に乗せる。
 「約束は守る。だから失礼する。」
 そう玄徳は短く良い、張飛を乗せたまま駆ける。
 手下達は所詮手下なので馬に乗る者だと居るはずもなく、呆然と立ち去る玄徳らを見送るしかなかった。

 
 

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