真三國志関羽編−13− |
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2008年07月08日(Tue)
真三國志関羽編−13−
「劉備という奴の馬があれだけ走るのが分かった以上、このままだと相手が絶対有利だ」
よく考えれば玄徳の馬は多分支援者の張の用意した馬だ。張はこの辺の幽州一帯の馬を預かっている商人だから。 (多分玄徳の乗る馬は売り物の中で特に選りすぐりの良い馬だ。) 少し言うことを聞かないだけで良い馬でも「肉にして売っちまうぞ」と言うような張飛に良い馬が手にはいるわけはなく、すこし考えただけで馬の優劣の差ははっきりしている。 玄徳が戻って来たところで関羽は彼に言う。 「玄徳殿、馬を変えてもらえぬか。このままでは私達が不利だ。」 「……??馬は乗り慣れた物が良いと思うが。」 そうは思ったものの玄徳は執着することなく馬を下りて手綱を張飛に渡す。 「お前の馬を貸せ。」 代わりに手下の中で一番調教が済んでいない気性の悪い部下の馬を彼が乗るように張飛は指示をする。 「なるほど良い馬だな。」 与えられた馬は骨量が大きく馬格がしっかりしていて前足も普通の馬よりも太い。 あれだけ走るのも納得いく気持ちで張飛はその馬にまたがった。 しかしその瞬間白目がぎょろっと敵意を込めて彼を見つめた瞬間、叫び声のようないななきをあげて立ち上がろうとする。 「こら。やめろよせ。」 張飛は何とか首にしがみつき振り落とされないように耐える。同時に馬の首をきつく腕で締めて力づくで馬を押さえようとする。 一行の玄徳の方の馬はそれ以上に暴れたが何事かもないようにバウンドする馬の体に合わせてタイミングを取りながらされるに任せていたが、逆に馬の方がすぐに疲れて大人しくなる。 「いいうまやなぁ。」 気に入ったように玄徳は感嘆の声を上げる。 (どこがや。) 乗せられている馬も気性が悪く決して良い馬とは言えない。それなのに玄徳は楽しそうに乗りこなしている。一方張飛が今乗る馬は気性が良くないことももちろんだがパワーがある分、余計難しいと思われる。腕力が強いから張飛は何とか乗っていられるが、そんな馬を玄徳はあれだけ素早く乗りこなしているのである。 「こら大人しくしろよ。あの腕力で頭殴られたら殺されるぞ」 そう言って、玄徳は先ほどまで乗っていた馬に近づき首筋を強く叩いてコンタクトを取る。それで何とか馬は玄徳の命令で落ち着いて、それなりに乗れる状態になる。 「……やっぱり乗りこなした馬がいいでしょ。」 そう哀れみの込めた目で見つめながら張飛に忠告する。 (畜生。馬鹿にしやがって。) そう思いながら、一瞬だけそうしてくれたらうれしいと本音が漏れそうなのを思いとどまり、拒絶する。 「断る。」 (なになに。気性が多少悪い所を見せただけで、玄徳が居れば馬は落ち着くらしいから……逆に乗りこなしてしまえば、こっちらの馬の方が素早さも力も上だ。) 相手の方が馬を上手に乗れることは認めざる負えないが、別に玄徳とかけっこをするつもりではないのである。 「お互い目的地までの早さを競うわけではなく、お互いが獲物を振るい勝った方に従うと言うことでいいよな。」 「・・・・」 嫌だとは言わないが、玄徳は面倒くさそうな顔をする。 「今は力の時代ではなく、馬の時代と言い切ったんだ。当然力には屈しないと言うことなんだろう。」 張飛は勝手に決めつけると、早くも一騎打ちをするために間合いを取ると、玄徳が馬の快速を使ってさっきのように消えてしまう前に、突進する。 「いきなりかよ。」 玄徳はそう叫ぶと腰にある二振りの剣の内少し長めの一本を抜きあわてて彼の突進に身構える。 それに対して張飛の獲物は蛇矛。長さでは圧倒的に有利である。 (ただ勝つのはつまらない。自分の馬術をひけらかす野郎を馬から突き落としたいなぁ。) それと生意気そうな玄徳(と言っても玄徳の方が年長であり、自分がいくら薄汚い髭面の所為で老けて見えてもそんなことを言われる筋合いはないのである。)であっても、仲間は一人でも多い方が良いし、男と男の勝負(と張飛は勝手にそう思い大義名分化している)とはいえ殺したら面倒になりそうなので、一刺しするよりもむしろ (俺様の日頃の豪放な性格からおおざっぱな性格のように思われているが武術に対しては、遙かに技術は上であり、繊細だから。) 相手が剣を振り下ろしたらそれを矛で迎え撃つと、片手で持っている手綱の手に隙が生まれる。そこを狙えば相手も両手を放せばさすがにあんな気性の良くない馬だから落ちてしまうので放すことは出来ないだろう。 手綱を持ったまま手を切り落としてしまえばさすがに言うことを聞かないといけないだろう。 そう思い激突の瞬間、玄徳の攻撃を敢えて張飛は待つ。
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