月姫抄5



2008年04月24日(Thu)
月姫抄5
(祇園草舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。)
 世は応仁の乱以降戦乱。もう百年以上も戦乱が続く。多くの者が討ち滅ぼされ、死んでいく。その中に彼女が身を寄せている須江氏もいよいよ含まれる事になったのだ。
 その物語の一族と同じように戦に破れ海に全てが沈められるように、彼女も彼女の一族も戦いに敗れ海の藻屑になっていくだけなのだ。

 かつて栄華を誇った平家の人々と同じように、限りなく今日よりも明日へと繁栄の花を増やしていく事を養父達も信じていたのだろう。逆に言えば、その気持ちこそが平家と同じように一族の破滅へと導こうとする導火線であった。
 自らの保身のためであった浦島家との同盟を自ら破棄して、自ら破滅への暗黒へと道を選んだのだ。

 山陽の毛利家が尼子氏征伐に向かったとき、浦島家の当主は須江氏との同盟を信じてその戦での功名と新たな領土を求め戦いに毛利の将として従軍をした。
 だがそれこそは須江氏の長年望んだ好機であった。彼は同じ山陽の宇喜多氏や、尼子氏と機略を通じると共に、嵐の日を待って盟約を一方的に破ると、夜半には浦島家の当主の留守を狙い本拠地を突如襲った。不意打ちにより、浦島家の本体は遠くにありすぐに戦場を放棄して救援にこられる距離ではなく、須江氏が留守居の軍を撃破すると甕姫が守る城を陥落するのは時間の問題に思えた。
 相手の動揺を付いて敢えて須江は甕姫の前で降伏をするよう声を上げる。
 ところが、夜半突然居るはずのない浦島家の当主が攻め寄せる須江氏の背後に現れ急襲した。
 『まるで神か……』
 とても人とは思えない出来事に須江は驚いた。同時に尼子氏に向けた刃をそのまま向けられたと思い、雪崩をうって逃げ出した。


   


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カレンダ
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