繋がれた愛。



2008年03月18日(Tue)
繋がれた愛。
繋がれた愛。

 私にとって、このマンションの一室が全てだった。
 窓から見える世界。暖かで穏やかな光り・・・
 それに包まれると、寂しい現実が癒されるのです。

 太陽に私の毛が抱かれるのは、とても気持ちがいい事。
 うとうとしてしまう。
 まぁ大切な時間ではあるけれど、貴方が仕事から帰ってきてから・・・それが私の時間 だからそれまで・・・それを夢見て眠るとしよう。

 窓越しの自由。憧れないわけはないけど・・・
 好きな貴方が居てくれる方が大切だから、貴方の腕に抱いて貰う幸せの方が愛しいから、ココの部屋から出る事は考えたくない。
 貴方が私にしてくれた首輪。
 それをしている事は貴方に支配される事であるけれど我慢出来た。

 貴方に愛されて・・・それがあるから幸せで・・・

 昼間は貴方は待つだけの時間。何もない部屋は退屈で死にそうだけど、
 貴方が遊んでくれるのをただ待つ以外私は仕方ない。
 ずっと前からそうだったから・・・・

 貴方を恨んだ事・・・たくさんあったよ。
 私は望んでも貴方の子供を産めない体。
 痛かったし、ショックだった・・・
 無理矢理病院に連れられて、お腹の中身知らない人にいじられて、
 「私が病気にならない為だよ。」
 貴方はそう私の事を思ってしたと言うけれど、
 女である事捨てられて、私自身が何の為に生まれてきたのか分からなったよ。

 それでも、貴方の事が好きな私は弱いのかもしれない。
 愛ではなく・・・自分一人で生きられない現実が
 怖いのかもしれない。

 でも貴方が微笑んでくれる事。
 私の目を見つめ顔を撫でてくれる事。
 それだけで何もかも忘れて、私は幸せになってしまう。
 ・・・・待たされた分。それが狂おしい程私を満たしてしまう。
 貴方にとって私はどんな存在か分からないけど、
 私には貴方が唯一って思ってしまう程、それだけでいいと思う程。
 貴方の存在は愛おしかった。

 嫌な事。最近一つあった。
 貴方が私を居るのに、女の子連れ込んだ事。
 私だけのその手が、彼女を触れるのは・・・凄い嫉妬したよ。
 その子は悪いだけの女の子でなくて、私にも優しくしてくれたし・・・
 でも、
 そんなの慰めなんかならないじゃん。私は貴方を独占したいのに・・・
 せめて私と居る時間だけわって思うのに

 私が声を出すと貴方は凄く怒って
 私の人を平気で蹴飛ばすから黙っているけど・・・
 最近貴方に彼女が会いにくる回数が増えていくから
 正直心が裂ける程辛いよ。

 夜も昔は私だけを優しくしてくれたから満たされていたけど
 今は半分は貴方が彼女の事を考えているから、つらくって
 迷惑な顔をするけど
 彼女の居ない時は思い切り甘えたくなってしまう。

 あの日、のあの時の貴方。
 怖かった。悲しそうな目で見下ろす視線が、
 「ごめんね。仕方なかったんだよ。」
 そう憐れみを向けながらも、それとは裏腹に
 乱暴に私をプラスチックケースに押し込むのが・・・。
 彼女の怒号の声が・・・怖かった。

 狭い部屋から、もっと狭い器に入れられ。毛布が掛けられ、真っ暗になる。
 激しく揺られる。
 まるで物になったような気持ち。

 突然エンジンが止まる。ドアが開けられ、毛布が取られる。
 満天の空が広がる。遠くには丸く大きい月の姿。
 「さぁ、行きなさい。」
 彼が促す言葉で、私は自由になった事を知る。
 だけど・・・今更自由になっても、私はどうして良いのか分からない。
 心も体も貴方なしでは生きていけない程弱くなってしまったから。

 離れたくて私は、思い切り貴方の足にしがみつく。
 彼は私の未練を断ち切るように乱暴に体を蹴る。
 そして
 「ごめん、彼女の家にお前を連れていけないんだ。
 こうする方がお前の幸せなんだ。」
 と優しく言って、彼女と共に車に乗って私を置き去りにする。

 貴方の幸せを考えるなら、私が身を引けと言う事なんだろうか。
 彼女を選んで、私を捨てた。
 そう言う事かもしれないけれど、そんなの勝手すぎると思うよ。

 私の一生は繋がれて待つだけだったんだよ。
 貴方を夢見る為に私の命を費やしてきたんだよ。
 私の命を、私の時間を奪った癖に、そんなの酷すぎる。
 私がこんな姿だから
 私は貴方のセックスの対象にならない所為ですか。
 子供を埋めないからですか。

・・・・最後のは貴方の所為なのに。

 無防備な私に野犬が襲いかかる。
 私は誇りを籠めて、叫ぶ。
 「私は、貴方と違って人間なの。あの人が好きなの。」
 「うるさい。お前は所詮捨てられたんだ。俺達と同じ同類なんだ。」
 「辞めて。」
 奴の身体を蹴飛ばし、私は崖を駆け上がる。
 そして寂しいと、月に向かって吠えるのです。

the−end

********

 オチはもう皆様はおわかりでしょう。
 人だったらこんなに悲しい事を
 平気でする奴がたくさん居るのです。

 そう思うと、命の大きさが重たすぎて私は、
 簡単じゃないって思います。   
 一度決めたら、一生懸命愛して欲しいと思います。

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