ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/11/13

刹那のミニミニ小説+連載小説のサイト。

2008年11月13日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−53−
「下がれ」
 皇帝は短く言い放ち、連行されるような状況で禾中ロは宿舎に戻される。その間怖そうな顔の兵士が必ず付近に張り付いており、監視している。
 (勢いとはいえ、皇帝に対してあんな事を言っては殺されるかもしれないが)
 一方で「俺は殺されるような事をしていないだろう」と自分自身を励ます。
 そんな彼の許に李固が訪ねてきたという。
 曹騰の推挙があったという彼だが、素晴らしい政治家として評判が高く今一番出世をしている人間である。
 その彼が「明日から、私の補佐として副職について欲しい」と頭を下げたのである。
 益州の刺史も地方の高官であるが、中央の要職の方が彼らに対して命令を決め下す立場であり、位の上でも較べ者にならない。
 異例の出世であり大抜擢である。
 「……曹騰が賄賂を受け取った事を突き止めたことに功績を認めてくれたのか。」
 大逆転で皇帝に我が努力が伝わったのだ。
 と思い会心の笑みを禾中ロを見せる。それに対して、友好的な表情をしていた李固はかなり不愉快そうな顔を一瞬見せた。
 「いや、曹騰殿は無罪だ。そなたが賄賂を送ったと報告された官僚は他の者達にも賄賂を送り働きかけをして、その結果住民に迷惑を掛けたために、地方官を更迭される。ただそれだけの事だ。たいした功績ではない。」
 そう今度は李固があっさりと切り捨てると、今度は禾中ロの方が不愉快な顔を見せる。
 (俺が命がけで調査し、訴え出たことを対した功績でないなどといいやがって)
 そんな苛立ちを感じながら一方で、逆にその栄進が余計不思議な物に思える。
 (そんなに曹騰が寵臣であるのなら、あれだけ処罰するようにと私に言われたことは皇帝には不愉快なことの筈だ。
 まして、あれだけ激怒して私を許さないと言っていた皇帝が、自分の言い分に納得していないのにもかかわらず、どうして自分を栄進されるのかがどう考えても理解できないのである。
 不思議そうな顔をする禾中ロは答えを指し示す。
 「確かに曹騰殿は無罪だが、そなたが今回の件について緻密な調査をしたこと、なにより正義感を持って職責を全うしたことを曹騰殿自らが大変高く評価され、皇帝を支える人材として評価され、推挙なされたのである。」 


   


携帯して持ち歩けるほど……
貴方の手に包めるほど、小さな小説のサイト


新着トラックバック/コメント

※このサイトの物語はフィクションです。登場人物・団体など一切似ていても架空の物です。このサイトの著作権は上賀茂 詩織に属します。一部または全部の無断転載等禁止です。

カレンダ
2008年11月
           
13
           

アーカイブ
2008年 (279)
3月 (18)
4月 (31)
5月 (28)
6月 (31)
7月 (32)
8月 (33)
9月 (31)
10月 (31)
11月 (29)
12月 (15)
2009年 (7)
1月 (7)

アクセスカウンタ
今日:87
昨日:233
累計:55,762