ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/10/28

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2008年10月28日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−44-
 (俺達を殺すために。あるいは俺達を人質にするつもりか)
 とっさに緊張が走る。思わず腰にある見に手を掛け、立ち上がる。
 目の前の曹騰をにらみつける。おかしな動きがあれば
 (切る)
 と言う意志を向ける。だが彼は落ち着いていて何事もない様子でいる。
 孫程は宦官であるが腕力には自信がある。曹騰ぐらいなら切り伏せる事は出来るのである。それぐらいは同じ職場にいた者どおし分かっているはずで、例え部屋の外の兵士達が切り込んできても道連れには出来る。
 「それでも……どうして。」
 「済陰王になにかあったのなら、私の命を換えてでも生きては返さないと言うことです。」
 そう言うと、曹騰は言葉とは裏腹に爽やかに笑う。その笑顔には断固たる覚悟があるのだろう。その言葉を聞いて、孫程は始めて張逵が済陰王を殺せるという可能性に気が付くのである。
 勿論彼が殺したところで、閻一派が喜ぶだけであるし、孫程のように腕力があるわけでない。そんな事をするはずがないのである。ただ、こういう緊張感だからこそ何があってもおかしくないと思う程、曹騰らは閻氏らと戦っているのと同じ状況なのである。
 (この人は相変わらず、皇帝の為に命を賭けて忠誠を誓っているのだ)
 そんな思いが孫程の胸に宿る。同時にその言葉は彼の過去の言葉さえも思い出させる。
 (外戚が力を持つのではなく、皇帝中心の世の中にしたい)

 そんな二人の緊張感とは別に、張逵と済陰王は笑顔で談笑して入ってくる。特に張逵は上機嫌でここに来るまでの表情とはうってかわっている。済陰王は不意に孫程の顔を見つけると頭を下げ彼にも笑顔を見せる。
 「孫程。いつか、剣などを教えてください。」
 そう言って彼は声を掛けて見送る。
 彼らが勝った後、屋敷内を歩く兵士達に「もういいよ」と曹騰は笑顔で応える。

 帰り際、ずっと張逵は上機嫌であった。
 「済陰王は閻氏の提案に乗ったぞ。余程、我慢に耐えきれないらしい」
 そう言いながら顔がほころびるのは、彼の説得が功を奏したことで出世を約束されるという思いがあったのだろう。
 「大体曹騰という宦官はろくな者ではないな。あれだけ皇帝に我慢だけ押しつけて、皇帝になれなかったのも曹騰がしっかりしていればそんなことにならないものを……私が問いかけると、かなり彼に対して不満があるようだ。」

 
 
 


   


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カレンダ
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