ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/10/07

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2008年10月07日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−29−
 大尉であるケ鳳は、心配になりケ父子を訪ねた。
 二人と一緒に政治を取り仕切り、素晴らしい政治を自分達がしてきたという自負がある。それを否定された事は彼にとっても衝撃であり、反感を抱く事に値する出来事だったのである。
 (反乱をするのなら彼らと一緒に。)
 という気持ちがあった。
 ところが彼ら親子は、静かに目を閉じ座り続けていた。彼らは反乱の準備など一切する様子はなかった。
 「皇帝からの屈辱を甘んじるのか」
 楊震は彼らの考えを問い合わせる。怒りを抑えられない彼は(黙って大人しくしている必要はない)と言わんばかりに激しい口調である。
 「屈辱を甘んじている訳ではない。」
 父ケ騭は叫ぶ。
 「ただ皇帝に兵を挙げる事は……天に弓を引く事はもっとも愚劣な事だ。愚劣なおこないに対して愚劣で応える事は、同じ愚劣な人間だと自らを堕とせむ事と同じ事だ。」
 そう言って、憮然とした様子で奥へと引き込む。
 その横で子のケ鳳が楊震に耳打ちする。
 「我らの政治を決してすべての人々が歓迎しているわけではない。例えば貴方が賄賂を拒絶しても他の人達は賄賂を欲している。
 そう言う人達が皇帝や閻氏になだれ込むでしょう。例えこのまま反乱をしても上手くをいくとは限らないですし、なにより清廉な政治をしてきた父の名を傷付ける事になるでしょう。」
 そしてそれは清廉な政治家として名を成した人物である楊震にも自重を促すとともに、反乱の無駄を諭したのである。
 そう言われれば彼自身も人格者であるから、汚名を残すような蛮行を行うつもりはない。 
 「しかしあなた方はどうされるつもりです。」
 帰り際に楊震が問いかけると、「我々は食を断ち命を賭けても皇帝の蛮行に屈しないという事を示し続けるつもりです。」とケ鳳は答える。
 「……皇帝の考えは変わらないでしょう。」
 立派な考えではあるが、そんなきれい事ばかりの世の中ではないし、相手はケ太后から人格的に性格的に問題があると言われ、皇太子を見る限り我が子に対しても愛情をもてない男である。その選択がどうなるのか、楊震にも、世の人の誰からもどの結末が生まれるのか明らかである。
 「それは例え死したとしてもですか。」
 そう楊震が問いかけると、ケ鳳はほほえみ、静かだけど確かな決意を口にする。
 「……もとより、覚悟の上です。」

 


   


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カレンダ
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