ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/09
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ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」/一覧 (265)
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2008年09月30日(Tue)▲ページの先頭へ
光
手にしようとしても
掴めない光 でも心を開いたら 奥まで私を照らしてくれた 触れたらほんのすこし あたたかかった
2008年09月29日(Mon)▲ページの先頭へ
指
こんなに小さな指なのに
貴方の手から離れられない ただ手を握られているのに 貴方から逃れられない 心に貴方の指がからみつく 真三國志曹操編−24−
だが皇帝を迎えた曹騰であったが、その様子は何事もなく穏やかであった。
相変わらず彼の居る部屋は片付けられていて、彼自身も穏やかに方住み、皇帝が来ても動じる様子はない。 (頭の良いこの男は、私が右往左往したのも知っているはずなのに……どうしてそんな顔をしていられるのだ。馬鹿にしているのか。) 「そなたの仕業には過失があるゆえ、貴様を切る」 そう宣言し剣に手を掛ける。 (自分の命が危険となれば、いつも冷静なこの男でも動じるはず。) そんな事を思って、敢えて大声を出し怖い顔をして反応を伺った。 だが曹騰は何も言わず顔を伏せたまま頭を下げる。それは少しでも首を切りやすいように首の線を自ら露わにするような仕草でもあった。 「何か言ったらどうなんだ。貴様皇太子の家来だろ。何の密命か分からぬがそれを果たさぬうちに殺されるとあらば無念であろう。」 「無念ではござらぬ。」 更に威圧するように大声を放つ皇帝に、キッパリという。 「皇帝に対して私が過失があるとするなら、その首を切られたとしたら宦官としては当たり前のことでございます。」 「何っ」 曹騰がその時言い放った言葉はそのまま、宦官としての役割とそうでなければならないという使命、覚悟を述べた物である。 とはいえ、曹騰の言葉のように宦官は側近であるはずなのに本当に皇帝のために動き命を賭ける者がどれほどいるのか。 それを考え、低くしっかりと奥底に強い覚悟との事を感じた時、身を貫くような衝撃を感じる。 そんな皇帝を前に曹騰は更に言う。 「私は皇太子様から皇帝に子に代わり父に仕えるように、我が身の代わりに皇帝の身の回りのお世話をするようにと命じられたのに、過失があったとしては……皇太子様からの父上に対する気持ちを私が裏切ったこととなります。 それこそ皇太子様に申し訳が立たないのでございます。」 「私のためでなく、皇太子のためにおぬしは切られるというのか。そなたは私の前でその名を出すことがどれほど不愉快なのか存じないのか。」 そう怒鳴りつけ、気分が悪くなったのと同じ様子で振り向かずに曹騰に対して大して背を向けて部屋を出る。 そして皇帝は孫程に激しい口調で「皇太子を呼べ。」と怒鳴りつける。 「恐れながら……」
2008年09月28日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−23−
そう言って曹騰はすらすらと言葉を紙に書きそれを見せる。
「こんな感じで、皇帝に貴方が渡していただければ良いと思います。」 それを受けて彼から孫程に渡された文を手にして目を通す。良い心が洗われた文章であったが、明らかに曹騰の文章とは違う。 「これは貴方が公式の場所で作られた文章の言葉を許に文章を作った物です。これを貴方が手を加えて、皇帝の文章にしてください。」 そんな事を言われて慌てて孫程は記憶をたどる。そうすると確かに彼が用いた事のある言葉ばかりである。 自分の言葉が、曹騰の手にかかるとこれほど美しく人の心を打つ文になると言う事が驚くとともに同時に (私なんかの言葉さえ、この人は公式の一言一言まで覚えているのか) と思うと、彼の頭脳に驚愕する。 「これは貴方の言葉を私がお借りしただけですから、貴方が作った物として皇帝には奏上して下さい。それから貴方の言葉を私がまとめただけですから、私の許へ相談に参られた事は口外してはなりませぬぞ。」 そう言って釘を刺して曹騰は早々に立ち去るように言い、自分の身の回りを片付け始める。 「そうかでかした」 皇帝は、孫程が渡した文にたいそう喜び「そなたを今後重く用いてやろう」と満悦であった。彼自身は実際作った曹騰に対して皇帝の賞賛が大きいほど申し訳なく思ったのが、ここでその名を出す事は双方に良い事はないと思いとどまる。 やがて宴が始まり孫程の文も皇帝の口から読まれる。 「素晴らしい」と言う賞賛の言葉とともに「これなら曹騰などいらぬ」と言う声さえ閻一派の口から漏れる。 だが皇帝はその文を読みながら……口にしているからこそ、この文の不完全さを直感として感じていた。彼自身皇帝が文才はあるわけではないのであるが (曹騰の言葉であったら、もっと一言一言に隙がなく、完璧であるのに) と思い、同時に孫程でさえ彼にかなう人間にはなり得ないという現実に何ともない寂しさのような物を感じずには居られなかったのである。 宴が終わると、皇帝は剣を手にすると曹騰の部屋を自ら訪れると言い出す。 一瞬(バレたのではないか。)と孫程は気が気ではなかった。が彼に対する態度を見ていると、責める様子は全く見えず(結果的に孫程の言葉が劣っていたために)疑われずに済んだようであり、その事ではないのである。 ただ宮中で会えて君を手にする所を見ると冷静でない事は明らかである。 (切られるのか) と思ったが、だからといって孫程が真実を言ってとどめられるわけでもないから何が出来るわけでもなく、二人に任せる以外何もなかったのである。
2008年09月27日(Sat)▲ページの先頭へ
たまご
手放してしまえば
簡単に壊れるたまご 追い解けば腐るたまご 貴方の優しさに 流れゆく涙は 固まっていくもの もしもずっと貴方の温かさに 守られたら 私の心は飛ぶことが出来るかも
2008年09月26日(Fri)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−22−
だがそうしてやってきた孫程の申し出を曹騰は拒否した。
「皇帝が、断固として拒否しているものを私が気を利かせて配慮したら、皇帝にしてみたら意地を張った意味がなくなります。 例えそれが上手くいったとしてもそれは皇帝としての立場や自尊心を傷付ける事になります。 孫程殿も宦官であれば、まず皇帝の気持ちを汲まなければいけないのに、そのような事では困ります。 皇帝が皇帝として自らが親政を行いたいというのに、皇帝の側近である貴方や他の宦官の皆様がそのような有様では、ますます外戚の方々の方が政治に口出しをしてくるでしょう。 あなた方がしっかりしないと皇帝が惨めな思いをするのです。」 そう言うと曹騰は顔を近づけて彼に小さな声ででもはっきりと言う。 「こんな事を新参の私が言う立場ではないのですが、貴方が他の者と較べ気概と熱意と誠意が抜きん出ているから敢えて言うのです。 貴方が中心となって、絶対的な皇帝の世を作らなければならない。それを忘れないでください。」 「しかしながら。」 孫程は骨のある所を見せ食い下がる。 「このまま曹騰殿が意地を張られておれば、恥をかかれるのは皇帝です。貴方は皇太子殿の臣下でありましょうとも、ここは皇太子や貴方自身の恨みを捨てて下さい。 そして今は形の上だけかもしれませんが仕えているのは皇帝なのですから、それこそ今貴方が力を貸さぬという事はそれこそ貴方自身が、皇帝の気持ちを汲まなれて居ないという事でしょう。 口ではああいう事を言われていますが誰よりも皇帝自身が貴方の力を必要としている事は孫程には分かります。なにとぞお願いしたい。」 「勿論、私は皇太子の臣下であると同時に、皇太子から直々に父の力になってくれと頼まれた訳ですから、皇帝に仕える事は皇太子に務める事と同じと思い・・・・いやそう思うからこそ、皇帝に対して誠意をもって仕えてきました。 皇帝の意に反する事は、皇太子の御心……父上に対する愛情や息子として忠誠の気持ちを私自身が踏みにじってしまう事になりますからこそ、皇帝に私は考えられる限りの忠誠で仕えてきたつもりです。 だからこそ、私は今回の事に関して皇帝の自尊心を傷付けない為に敢えて我慢しようとしているのです。 それを勘違いされたら、それは皇太子様の気持ちに対しての侮辱と同じです。私は例え貴方でも許しません。」 そうきっぱりと曹騰は厳しい表情で言い聞かせたが、すぐに表情はいつものような穏やかな物に変わる。 「とは言え、貴方も急に皇帝に言われても困られますでしょう。」 そう言うと筆を執り、すらすらと紙に言葉を書き記す。
2008年09月25日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−22−
その曹騰の顔を思い浮かぶと心が痛む。
(後ろめたい) と言う気持ちが皇帝にあったのである。 「誰か、自ら皇帝の為に曹騰の代わりにと言う者はおらぬのか」 ふとそう叫びながらふと、心配そうに見ている一人の宦官に気が付く。 その者は孫程という宦官である。 以前そう言えば曹騰は皇帝にどの宦官が一番優れているかと問いかけられたとき、普段は曹騰は自らの立場を考え、どの家臣がどうなのかというような自分の考えを消して表に出すことはなかった。 指名されない人間はその事を恨みに思うだろうし、指名された方も曹騰が推薦するのなら皇太子一派の人間と見られて排斥されかねないと思ったのである。 ただ、そんな中で「孫程という男の熱意と忠義心がここの中では一歩抜きん出ている事は明らかでしょう」 と、話していたことを思い出したのである。 物は試しに「そなたが曹騰の代わりに文を作ってくれないか」と皇帝が頼むと「他に人が居ぬのなら、私が何とかいたします。」と熱い視線でしきりに強く頷きながら、頷きながら。「命をかけてやり遂げましょう」と深刻な顔で承る。 それに呼応するように強く「頼むぞ。」と思わず皇帝も力がこもる。 「・・・・そうは言っても困ったものだ」 つい皇帝のとまどいに思わず、正義感の強い孫程は承ってしまったが、彼自身に学才があるわけではなく、気持ちばかりが先走り実際は何の策も持っていなかったのである。 (曹騰が拒否された物をとりあえずどうすれば) と考え、彼の名前が頭に浮かんだ同時に彼が珍しく話をして「皇帝に仕えるときどうすればいいのか。」と聞いた事があった。 その時彼は「皇帝の意を汲み行動をすることが必要です。」と孫程に答えたのである。 (皇帝の意を汲んで) そう考えるとき、皇帝は本当は曹騰の文を用いたいと思ったのではないだろうか。 ただ皇帝自身がけんかを売ったからこそ、引き込みが付かない状態になってしまったのである。 (ここは曹騰殿の力を借りなければなるまい。) 場合によっては皇帝の代わりに孫程が頭を下げてでもなんとか彼の力を借りるべきと思ったのである。
2008年09月24日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−21−
激しく皇帝は感情を高ぶらせながらも、頭の中では冷静にあの曹騰がどんな顔をするのだろうと必死に探っていた。
だが彼は何事もなかったかのように「ではこちらならいかがでしょうか」ともう一通の原案を皇帝に差し出す。 彼はそれを素の表情で持ったが、すぐに再び苛立った様子でそれを投げ捨てると「いらぬ」と怒鳴り慌てて部屋を出る。 (どうして、そんな何事もない表情をしていられるのか。) 気味悪いと思いながらその一方で (自分自身で完璧な文章を用意したのにもかかわらず、それに対してももう一つ主が選べるように準備していたのか。) と言う事実と配慮に、賞賛を贈りたい気持ちを持ったのである。 しかし、感心している場合ではない。と皇帝は思う。曹騰の文章を拒絶した以上、その代わりの文章を作らなければならないのである。 閻太后と野王君の側近にそれぞれ曹騰の代わりに文章を作らせようと依頼を出す。 それぞれの側近は、最初は慌てて作ろうとしたが、本来日頃から曹騰の文才が優れておりその役目は彼が負っていた事を思い出し、慌てて躊躇した。 (どんなに努力したところで曹騰のような素晴らしい文章がつれるわけがないのに、曹騰の文章が却下されたとしたら、それ以上の文を作らなければならない) だが宦官達や権力者に群がる腰巾着達の能力などたかがしれている。 無理だと思うし、較べられたら自らの能力がない事が明らかになってしまう。 二人の側近達はことごとく、理由をつけて断ってきたのである。 (皆我が身かわいさで逃げやがって。) (文章を作れという事だけでこの有様だ。有事の際に命をかけて皇帝を守ろうとする者など居ないのかもしれぬ) そう思うと皇帝はばかばかしくなると同時に余計苛立ってくる。 更に時間が迫りつつあるのに文章がまだ出来てこないという現実が更に彼をいらだてていくのである。 (どうする。) (誰を頼る。) 一瞬、皇太子の顔も皇帝には浮かんだが、確かに彼に挨拶をさせれば自分は楽かもしれないが成功したらそれこそ、彼の評価が上がりますます皇太子としての地位か強くなる事になる。 「やはり、頭を下げて再度曹騰に依頼すべきか」 そうなれば、激怒した自らの立場がない。し、臣下に皇帝が頭を下げるなど前例のない事といえるのである。 (そんな事をしなくても、曹騰なら顔色を変えずに何事もなかったかのように、用意してくれるだろう)
2008年09月23日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−20−
その為、皇帝は身の回りの雑用は曹騰に任せたものの、重要な席など政などの席ゆには彼を加えなかったし閻皇后や乳母の野王君との相談の席には彼を外していたのである。
(まあ、その方がこちらも気が楽だが) それに対して曹騰は何も言わず、でもそれだからと言って彼の仕事ぶりは全く変わることはなかった。 むしろ衣服の用意や、食事の準備、会議への準備、面会への送り迎えや、そのおみやげの一つ一つまでその仕事は完璧であり、また教養があるので文章や挨拶、皇帝の名前で詩を作ることなど、すべて皇帝の意に沿わぬ物はなく、他の宦官達と較べても抜きん出ていたのである。 皇帝の側に付いたら皇帝の事ばかりを考えて居るようであり、皇太子と会う事も文をよこす事もなく、そればかりかケ太后の知人達や同じ宦官達とも出来るだけ距離を置いているのである。 (皇太子が内部の事情を探るために、あるいは内部工作のためによこしたのではないか)と言う疑念も、その仕事ぶりでは一欠片もないのである。 (便利な奴) そう思い、皇帝も出来るだけ距離を置こうと思っていたが、あまりにも仕事が的確なため、ついつい曹騰を使ってしまうし、宦官達も彼に任せておけば安心できるので、頼ってしまっている。 その為、皇帝は時々曹騰への疑念を忘れてしまうのであったが、やはり時々思い出したように「皇太子と曹騰との関係からすれば、こんなに誠意を持って敵である私に尽くすのはおかしい」とつぶやく。 自らの皇太子に対する冷たい接し方と、曹騰を頼りながらものけ者にしている事を考えたら(自分ではどうしてもそんな風に自分を殺してまで取り入る事など出来ない)と皇帝は思い信じられなかったのである。 現実にケ太后は自分を全く信じてくれなくても皇帝にしてくれた恩人であり、その一族であるケ騭とケ鳳父子も皇帝の意志は聞かずに勝手に政治をしているが、彼らが大将軍になってからは政治は安定し、かつての漢帝国の栄光を取り戻しつつあると言われているのである。 だからこそ、彼らに政治を任せておき自分は彼らの邪魔にならないように振る舞えば良いと思うのだが、彼らは自分をのけ者にしていると分かっているのに、どうして自分ばかりが、彼らのために自らの感情を殺さなければいけないのか。と思うのである。 「このような文章で挨拶が出来るか。」 そう言って曹騰が宴に際して用意した完璧な文章に対して、突然皇帝は曹騰にキレ大きい声で罵る。 読めば読むほど完璧であったのだが、その日は何かに耐えられないように意味もなく突然怒りを見せたのである。
2008年09月22日(Mon)▲ページの先頭へ
埴輪
埴輪のように無表情に
私は見えるのだろうか 埴輪のように 私の中身は空っぽなのだろうか 埴輪のように 落としたら簡単に 壊れてしまう物なのだろうか 埴輪のように 悲しみに、社会に埋没されて 忘れられて時が経っていく
2008年09月21日(Sun)▲ページの先頭へ
目の前で逮捕されたアイツ。
アイツはミュージシャン。
それも知的な人でドキメンタリー番組とかも出ていて、 エッセイとか、音楽論とか凄く詳しく論理的な人。 以前新聞でローリングストーンの音楽論とか、 ビートルズとアメリカでの反戦運動の潮流などと言う 難しい話をしていた。 それはとても新鮮で、ちょっと硬いけど 訳の分からない事を言っている奴より凄く刺激的に思えた。 アイツにインタビューの為空港で待ち合わせをした。 約束から30分経ってアイツは私の前に姿を現す。 屈強な男達に囲まれ、腕に銀の手錠を付けられ何事か喚いている。 「どうしたんですか。」 私はその男に尋ねる。彼はいかにも手をもてあました様子で、 「コイツ覚醒剤打って、デカイ事してやると大騒ぎして。」 「・・・さん。一体何故そんな事をしたんですか。」 私が問い掛けると、彼は散々何故自分が犯罪者になったのか・・・ 何故人間が犯罪を起こすのか。 彼の生い立ちから栄光を掴むまでを振り返りながら 人とは、果たして性善説が正しいのか、それとも本性には悪い物なのか。 薬物による人体への影響。薬物が合法である国がある事。 さらには音楽家として、自己という観念がもたらす創造性など 薬物を使用しているとは思えないほど彼は理論整然と 私に対して訴えかける。 彼が目の前で捕まって、ネットに書く内容どうしよう。 色々難しい事は言っていたけど、取り敢えず 「彼は薬物の所為により訳が分からない事を大声で喚きながら、 係員に連行された」と書けば間違えがない・・・と思う。 犯罪になんてどんな理由も許されないし、 理由があるからって犯罪をして言い訳がないから・・・
2008年09月20日(Sat)▲ページの先頭へ
月姫抄13
次の瞬間幼さを残した姫の顔が、冷たく殺意の籠もったような敵意に変わる。
声も先程の呆れたような話し方から、余裕の部分が研ぎ澄まされ、刃物のように変わる。 「私が、逃げている……とだと。」 逃げているのではない。と思う。人の持つ煩わしい馴れ合いとか、愛とか、友情とか、嫌いなのだ。係わりたくないのだ。 そう言う面倒な物は、この乱世に一体何になるのか。まして彼女は神と同じようにその道を究めるためだけに、余計な物をそぎ落として一途に生きなければいけない者である。 (それなのにどうして邪魔をするんだ。) あと少しで怒りを男に言葉にしてぶつけようとする程、月姫には心の余裕が消えていた。でもそれをしなかったのは、彼女が大人と言う事よりも、相手の男の方がそんな彼女を面白そうに悠然と見て微笑ましいかのように見ている様子からであった。 月姫は男の笑顔に怒るタイミングを失い、悔しそうに唇を噛みしめた。 (私が、そんなに子供か。そんなに哀れだというのか。) 怒りにまかせるように、月姫は夜馬に鞭を入れ静寂を切り裂くように走らせる。 いつも、側女達の監視を抜け出して、何もない海岸に彼女は向かう。 (大人達は何もかも知っているような顔をして、人を支配しようとしている。 何もかも、思いのままにしようとしている。) やがて転げ落ちるように馬から降り砂浜に倒れ込む。 そして顔を伏せて泣くように、うつぶせのまま長い時間うごかなかった。 目を瞑ってその闇の中の方が、現実の光の中よりも彼女には広く感じた。 (光なんか嫌いだ。闇の方がどれほど優しいことか。 人のいる昼間の世界は皆私を興味本位で見て、息が詰まる。) 昼間舞を演じたが、それよりも前から「月姫の巫女」と言う自分の立場、「瀬戸内の新興勢力の人質」と言う立場をまず演じなければいけない自分が居る。 誰がが居る限り、誰かの目がある限り、ずっとその戒めを着続けなければいけない。 ただ広い海を見つめている時だけが、彼女の心を自由へと解き放ってくれる。 救ってくれる。
2008年09月19日(Fri)▲ページの先頭へ
「油」
消して交わらない貴方と私
貴方の心は渇いていくのに 私の心は簡単に火が付くの 貴方がたとえ熱くなっても 私の心には叶いはしない おいしく料理をするつもりが また心は、いためていく・・・・
2008年09月18日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−19−
父に逆らうと言うことは、儒教家からが一番嫌う行為である。
例え嫌われていても尽くし続けることは、愚かなことと思われるかもしれないが、むしろ人が良いという人間や、頼りない人間の方が君主としては、配下達が自らの力を発揮できると言うことでむしろ理想とされ、そう言う人間の許に人が集まる傾向があるという。 (それに、敵は皇帝だけではない。) と、曹騰は思っている。 現在はケ太后がその一族とともに力を握っているが、それをみんなが喜んでいると墓限らない。彼らケ騭とケ鳳が厳粛な政治をしているからこそ、悪事をはたらきたい者は彼らに変わる皇帝の妻……閻太后一派を望み潜んでいるのである。 ケ太后が死んだ時に備え、孤立を避けるべきであり大人しくしているべきであると思っていたのである。 (頭が良く才気がある犬がほえるよりも、愚鈍な犬が例え邪険にされてもすり寄ってくれば逆に情がわくし、殺すことが出来なくなるのである。) 「耐えなければなりませんよ。」 皇帝になるのだから。 そんな言葉を心の中で交わして、曹騰は皇帝の側に上がる。 「父上の役に立ちたく、もっとも有能な曹騰を使っていただきたい」 という皇太子の言葉を付け加えて。 皇帝はかねてより、曹騰の声望を聞き及んでおり彼が側近に加わることを喜んだ。 同時に皇太子が身の程を知り、「俺様には逆らえない」と言うことを自ら察知して動いた事に満足した。 それ故、子供に対して無理を要求した事に彼自身も若干の後ろめたさも感じたりした。 しかし、すぐに心の中では疑心が生まれた。 (曹騰は、皇太子の密偵として側に派遣されたのではないか。)と、 皇帝の妻閻皇后も、乳母の野王君も上機嫌であった皇帝に対して、そう言って曹騰に対して讒言を繰り返し、あるいは排除を望んだのである。 ケ太后が最終的に皇太子に対してを曹騰を出す事はやめるように申し出をしたがそれを拒絶した事で、皇帝自身は皇太子に対して害意は失せていたもののあまり周囲の者にしつこく言われたら (そうかもしれぬ。) と思えてくるのは仕方ない事である。
2008年09月17日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−18−
(皇太子の力を削ぐには側近達を引き抜きをして丸裸にしようとするのではないか。)
その懸念は常にあり、曹騰が有名になればなるほどその標的は彼に写りつつあったのである。 「気安く、親切を安売りするからそう言うことになるのだ。」 と皇太子は笑ってはいったが、ある意味曹騰よりも彼自身の方が辛いのかもしれないがそれを顔に出そうとはしなかった。 だから曹騰は恐縮していたが、「どうする」と皇帝から問われると、辛いことを言わざる負えなかった。 「皇帝の命なら、例え皇太子が異議を言ったとしても相手の方が位は上ですから、肉親とはいえ逆らうことは」 「そうとは限らないだろう。ケ太后に言えば義母はそなたが私にはなくてはならない人間であることは知っているし、だめもとで話してみても。」 「いや無駄と言うよりは却って良くないでしょう。」 ケ太后がいつまでも生きればそれでも良いかもしれないが、ケ太后に健康の限りが見えている上、可能性的には若い皇帝の方が長生きすると考えた方が適性である。 そもそも、そう言う形でケ太后が実権を握っていること自体が、皇帝は気分を悪くしている原因であり、同時に彼の立場を無くしていることになっているのである。 (一時的に拒絶することは出来ても、その事で更に関係を悪化させるはずである) ただ、健康問題を口出すことはケ太后に失礼だと思い敢えては言わない。彼女は実権を握っているのだから。 (それなら、どうせ皇帝に使えなければならないのなら。) 「皇帝から言い出される前に、皇太子から申し出をされた方が心証が良いと思います。」 曹騰は敢えてそう進言をする。 「そうだな。父上には逆らえまい。」 そう言って皇太子は納得し顔を悲しそうに伏せるが、その瞬間黒い瞳に冷たいほどの殺意が輝く。 「皇帝を気に掛け心配して私を遣いやると言うことは儒教においては孝行と言え、逆に貴方の声望を高めることになると思います。 逆らう皇太子であるよりも、皇帝に従順で温厚な皇太子と言うことでなければ皇帝の真の子供とは言えないでしょう。」 彼はそれだけ言うと何事もないように笑みを見せ、それに気が付かないフリをする。 その奥に、敢えてケ太后の名前を出したことも含め事もすべては (幾ら皇帝とはいえ彼の父親である以上。死ぬ順番は当然父親が先である。 皇太子であるのなら彼が死んだ後は自ずから皇太子になるのだから、それまで過失がなく生き抜くことこそが大切なのだ)
2008年09月16日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−17−
そんな父のような穏やかな性格もさることながら、それ以上に彼の評価を高めたのは、詩の才能、儒教などの学問などの教養である。
特に皇太子と一緒に習うということで皇太子付けの有名な学者に学問を教わることが出来たのである。 もともと宦官は雑用係という印象が強く、側近として権力は持っているし悪知恵というか政治的陰謀的な才能はあふれているのだが、学問を出来る物は皆無であったのである。 その為、学問の出来る曹騰は余計その中では際立って見えたのである。 そんな曹騰を若いのにもかかわらず、その才能に頼る宦官が現れた 「曹騰殿頼みがあるのじゃが、今度の式典での我が王の案内文を付くって欲しいのだが。」 「それなら私にも、我が王が皇帝に招かれているのだが、宮中での礼儀作法について教えて欲しいのだが。」 「・・・・いいですよ。でも私が口出ししたことは口外無用ですから。」 そう言って彼らに対しても曹騰は気安く接した。 本当は自分を売り込むように頼むことも出来るし、あるいは皇太子をよろしくとでも頼むことは出来たのだが、彼自身あまり目立たない方が良いと思える理由があった。 また皇太子を売り込み声望が高くなったりするのは (皇帝の嫉妬を買いかねない) と思うのである。また味方を増やす為の動きを不穏な謀反の動きととらわれるのも困ると考えたのである。 ただ人間というのは、言わなくて良いというと却って言いたくなる人間である。 (曹騰と言う人間は宦官にしては珍しく学才のある人間であるらしい) (何か分からぬ事があり、学才がないと恥をかく前に曹騰を頼ると良いぞ) (曹騰って言う奴は使える男らしい) ある式典でこんな台詞がどこからか聞こえてくる。 「私と同じ宦官である○○が礼儀作法など詳しく知るはずがない。どうせ曹騰から教わったのであろう。」 宦官達も落ち度のない人間を見つける度にそんなことを言って、同僚のことをあざ笑ったりするから評判はあっという間に広がるのである。 だからこそ、曹騰の評判は皇帝の許に遅かれ早く届くのである。 「そうか皇太子に曹騰という有能の男が付いているのか。」 皇帝は何気なくそう言ったものの内心は苛立つ。 (そんな有能の者が側に付いて補佐しているとしたら、ますます皇太子の評判が上がり、廃する事が出来ぬではないか。) (どうやって皇太子から奴を除くか。) と思ったが、すぐに考えを変える。 「いや、むしろ私の側に付き従わせた方が良い。」 そんな折りである。 曹騰の方から内々に申し出があったのである。 (是非皇太子付けの宦官から、皇帝付きの宦官にしていただきたい。)と
2008年09月15日(Mon)▲ページの先頭へ
夜空に輝く星
暗い夜空に輝く星
たくさん輝いてと願う私 いつまでも私の希望であってと 願う思い 輝く星を地上の人が どうすることは出来ないから 声を掛けるには、手を伸ばすには 余りにも遠すぎるから 遙か遠くで輝く貴方を 美しいと思うから 何も言わずに、何も届けずに ただ心の中に焼き付けながら その姿をより輝くことを願い続ける
2008年09月14日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−16−
そんな色目を使う人達を軽くあしらいながら曹萌はケ太后の提案を差し「どうする」と父親の顔で問いかける。
曹騰は笑みを見せながら応える。その笑みには苦笑いが含まれている。 「どうするも何も、皇太子があれほど誠意を込めて召し上げると言われたのです。それを断ったとなれば彼の顔をつぶすことになる。 万が一彼が皇帝になれば、そこまで彼の顔をつぶしてただで済むことはないでしょう。是非もなきことです。 それに……」 どこもかしこも名声や、地位、金などに興味がある人間ばかりでろくな人間が居ないことは確かである。 そういう事情がなくても、そんな人間だけが集まる場所で誰も信じられない、信じるに値しない所へ、皇太子を一人置き去りにして、このまま皇帝に廃されあるいは殺されることが (気の毒なこと) だと思えるのである。 それとは別に曹騰の中にある新しい欲望が生まれていた。 曹騰が鄭衆のようにと言うのであるのなら、その逆もある。 (私の力で皇太子を、私の理想の君主にして、将軍や民衆、近隣諸国を従わせられたら) 彼自身の手で彼が鄭衆のようになれば、彼の力で皇太子を和帝のような偉大な皇帝をにして漢朝の歴史を変えることが出来ると思えたのである。 まもなく曹騰はケ太后の命の通り皇太子付けの宦官となった。 彼は皇太子の学友として一緒に学問を習ったが、それ以外の時間も彼に従い常に彼の許にあった。当然衣装からいろんな手配に始まり身の回りのことを彼自身が行ったわけであるし、特に学問においては特に才能があり、一緒に同じ先生に指導を受け、皇帝が分からない内容を彼自身が消化した上で、わかりやすく教えた。 昔は犯罪者が宦官になったと言うぐらいであるから、宦官全体は学識がない人間が多かったのだが、若いながらその辺に通じている曹騰は抜きん出ていた存在であり、生活面でも学問の面でも皇太子に信頼は厚かった。 だからこそ曹騰はその事で他の宦官から嫉妬を買う恐れがあった。だが彼は父親の姿を見ていたからこそ、彼の様子をまねて、事すら人に丁寧に接し、感情を述べるようなことはなく穏やかで慎重に振る舞ったし、物が下賜されたり贈られたときには分け与えたし、将官に接するときは所為かを与えることはせずに厚い接待をすることで、実質的な成果を与えずに相手を満足させた。 また派閥があれば常に中立を保ち、悪口も言わず、人を平等に褒め、また自ら表立っては目立つところへ姿を現すことはしなかったのだ。
2008年09月13日(Sat)▲ページの先頭へ
マジックラブ
どんなに手が届かなくても
まるで糸が繋がっているかのように この思いは繋がって居るんだ。 どんなに言葉が突き刺さっても まるでマジックのように 痛くなかった。 でも、どんなに奇跡な事でも 裏があるんだ。
2008年09月12日(Fri)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−15−
「優れた皇帝である我が祖父和帝には鄭衆が居た。」
宦官は無能で金銭に貪欲な人物が多い中、鄭衆は政治的に有能で、しかも私心のない人物であったから、彼が政治に参与していた間は全く問題がなかったという。 「その鄭衆に似た人物が居て、その男には有能な息子がいると言うのだ。」 皇太子にそう言われ、曹騰は自分の父親が彼の出した有名な宦官に似ていることを始めて意識する。そして、その男の息子と言うのが誰を差しているかも理解する。 そんな彼に改めて皇太子は頭を下げ力強く彼の手を握り懇願する。 「曹騰殿、なにとぞ私の鄭衆となって頂きたい。お願いじゃ。」 曹騰は皇太子の許を退出したが、その言葉が深く耳に残り離れなかった。その言葉はどの言葉よりも重く、同時に彼自身が不思議と笑みを漏らす言葉であった。 一少年にすぎない男に対して、まだ一少年にすぎないけれど皇帝になるかもしれない男が自分を期待し認めた上で、至上の誠意を示してくれたのである。 (父も宦官に身を堕としたと思っていたが、きっと皇帝達から至上の信頼を得ることが出来るからこそ、その宦官の仕事をあれほど誠意を持って過失を犯さず一生の仕事としてやり遂げているのだろう。) 世に名臣と言われる者、名士と呼ばれる者、勇士と呼ばれる者、忠臣と呼ばれる者は沢山いて皇帝からの寵愛を受けている者は居るだろう。 でも皇帝という立場を超えてでも、人として信頼され、あるいは皇帝の意をくみ最大限の成果を上げ尽くした者が我が父や鄭衆を超えて歴史上いるかどうか考えると、居ないと曹騰は居ないと思う。 (我が父はすごい人間なのだ。) 皇太子の姿にふれることで、始めて曹騰は父を理解し、同時にそのきっかけをくれた彼に対して心の中で感謝をして手を合わせる。 そんな彼を曹萌は敢えて何を話したのか、立ち入ってはいけないと配慮が出来る人間だからこそ何も聞かずに「皇太子は曹騰から見てどんな人間だった」と問いかける。 (父上の方が皇太子の人となりは知っており聞く必要はない。それなのに問いかけるのは、私が皇太子を支えるだけの見識があるかどうか試しているのだろう) と思い、その感謝の言葉とは別に冷静に彼の人物評を述べる。 「皇帝になるには優しすぎるし、人を信じすぎる……良い方にだけ人を見てしまう人間だと思います。ですが、その欠点は同時に彼の魅力であり、美点になるでしょう。 従うに値する人物だと思います。」 そう考えを述べながら退出する間、彼の横は沢山の外戚や、宦官が通り過ぎる。庭を見れば宦官達が蹴鞠に興じ下品に笑い声を上げているし、高官達は曹萌に恭しく話しかけ、時に金を渡そうとしてことわれながらもこびる笑みをして頭を下げながら、他の高官達には威張ってみせる。
2008年09月11日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−14−
だがその言葉を拒絶するように皇太子は強く叫ぶ。
「いや父上は人格的におかしいのだ。ケ太后の助けがなければあの狂人が皇帝になれば、実の子供であっても殺される。父上には人としての肉親の情や倫理などないのだ。」 そう人格を疑うようなことを激しい言葉をぶちまけ顔を伏せる。 そこまで深い不信に掛ける言葉を曹騰は失い黙るしかなかった。その前で皇太子は方をふるわせてしばらく沈黙があたりを支配する。 やがて意を決したように皇太子は顔を上げる。その瞳には赤く潤み泣いたようにほほは濡れている。 (ああこの人は) 激しく自分を嫌う父親に対して反感を言葉にするものの、彼は何故実の父親に憎しみをもたれ、嫌悪されなければならないのか、幼い所為もあるのであろう理解できずとまどい不安になっているのだ。 同時に父親に対して子供として愛されることを望み、それなのに果たされない寂しさを持ち合わせているのかもしれない。 (そう言うところでは私はこの人に近いのかもしれない。自分の父親が宦官であることに反感を持っていながら、その一方で多くの人間から信頼される父を、何事も落ち度なくこなす父親が逆らいがたい存在であるという事も。) その一方で人の心に少年ながら父譲りの機敏さを持つ曹騰は皇太子が皇帝に嫌われている理由を察知していた。 (ケ太后は人格に問題がある皇帝を全く信用していない。彼に一切の権力を与えずに自らが政治を牛耳っている。彼女の実家で彼女を助けて実権を握るケ騭とケ鳳父子も有能で過失もない人間で、名声が高い。 ケ太后が自分の母親であれば皇帝も素直に従えるのであろうが、自分の母親とは違う父和帝の妻であり、その英邁な和帝の血を継ぐ皇帝に対してケ太后が単に妻になっただけで皇帝の血を引く者ではない。 そんな状況が若く気ばかりが高い皇帝に我慢できるはずがない。 だからこそ、ケ太后が決めた皇太子を否定することで自らの存在を誇示したいと言うことであるだろうし、皇后の閻氏の一族の力を借りてケ一族に対抗したい気持ちがあり、彼らの協力を得るために閻皇后の子供を皇太子にする必要があるのだ。) 思うに彼ら親子の確執の原因はケ太后にあるのである。ところがその原因を作った本人も、その影響を一番受ける皇帝もそのことを理解していない。 「祖父和帝は横暴を極めた外戚(皇后の一族。有力者が多く皇帝に血縁関係を結ぶ一方、その武力と人脈を利用し、宦官を忠臣とする皇帝集権の政治が始まるまで実質的な政治を支配した)竇氏誅滅を計画した際、和帝が密謀の相談役に選んだのは宦官の鄭衆だった。彼は宦官の役職上近くにいて話していても全く不審ではなく、全く密謀を行うに都合がよかったのだが、それ以上に鄭衆自身が選ばれたのは皇帝に対する忠誠心の厚くまた頭脳明晰で行動力のある人物だったと言う。」 彼はその後竇憲を宮廷内におびき出し、大将軍の印綬を取り上げ実権を剥奪追い込んだ。 和帝は外戚から政治の実権を奪うと、鄭衆を信任し続け権力を安定させた一方、取り戻すことに成功した。それにより積極的に領土を拡大し稀代の名将班超を用いて西域の50余国が後漢に従い。最大の領土を手にしたのである。
2008年09月10日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−13−
曹騰はその言葉を誇らしく、また光栄には思うが、一方で彼女の言う功績が表に出ることはないだろうと思う。
それはすべて宦官であること。がすべてではないのかなと思う。 「とにかく、皇太子と少し話して見られたらいかがでしょうか?」 曹萌は絶妙のタイミングで声を掛けると、ケ太后は引きつっ多々笑顔を見せて「頼んだぞ」とごり押しをして奥に引き込んでいく。 その姿はあまり体調が良いという感じはしなかった。 「曹騰こちらへ参れ」 皇太子は命令する言葉で先導するように部屋を出る。皇太子自ら案内しているようであり、その言葉とは裏腹に丁寧な言い方をして、あくまでも無冠の少年にすぎない曹騰に強く気を掛けていることを感じられた。 慌てて彼に従い一室に案内される。 曹萌が茶を用意するとその彼に皇太子は「人払いを」と言い、二人だけにするように言う。 曹萌は丁寧に頭を下げて部屋を出る。そうすると部屋には周囲の風の音だけがするのみで、この世界に二人しかいないような錯覚さえ感じる。 皇太子は、お茶を一口口にすると「そなたも飲め」と口調は相変わらずぶっきらぼうな言葉であったが、あくまでもその声は配慮と気配りのこもった言葉である。 「ありがたく頂戴いたします。」 そう言ってお茶を口にして、二人はそのまま黙る。 沈黙と静寂が包み込む中、それに耐えきれないように皇太子は突然つぶやく。 「私は父上に嫌われているのだ。」 突然の告白。それは皇帝と皇太子の親子の確執という後々の争乱を示しかけない漢王朝の闇である。 「えっ。」 思わず聞き返す曹騰に堰を切ったように皇太子は不安をぶちまける。 「父親は閻氏の子だけを愛していて、李氏を母親に持つ私のことを嫌っておる。もしかしたら皇太子である私が邪魔で、私を殺して、この者の子供を皇帝にしたいらしいのじゃ。 祖母のケ太后が私を守ってくれているからこそ皇太子としていられるが、太后がなくなればどうなる事やら。」 「そんな事はないと思われます。血のつながった父ならそのような事はないと思います。ですから、気を落ち着かせて。」 慌てて、曹騰が落ち着かせようと穏やかに諭す。 しかし言いながら、彼自身気休めにすぎないと思っていたし、同時に皇太子にとって父だと言っても皇帝なのである。 不信や不満を口にして、それが皇帝の耳に入れば、謀反と同様の意味をもつ。反対分子は肉親とはいえ……肉親だからこそ余計に謀反の名目にされる可能性があるからこそ、粛正される可能性があるのである。
2008年09月09日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−12−
「えっ。」
最初に驚き、続いて曹騰は父親の顔を見る。 急にそんなことを言われて驚くと同時に、その判断を迷ったのである。 多分その言葉を言った人間は容姿の特徴や年齢、側の皇太子に対して頭を下げてないところからすれば、(人格に問題があるとして政治を行うことを許されなかった)皇帝(安帝)の代わりに政治を司ったケ太后(先々代の皇帝夫人)その人だと思われる。 そんな人間から、特別に上意として依頼されれば判断に困る困らないにかかわらず断る事は出来ない。 しかしなにぶん急であり曹騰は返事に窮する。 皇太子付けの宦官であれば、皇太子が皇帝になった時に時に相談役になると同時に、この国の政治に陰から携わり支配していく事になるのである。 宦官とはいえ、権力の中枢に入る事を約束される事であり、容易な事ではないのである。とはいえ、その選択はまだ少年にすぎない曹には子がなく、宦官には養子が認められていない以上、曹の一族の家名が断たれる事になるのである。 (曹一族は高祖劉邦挙兵からの家臣で第二代相国『曹参』から続く名族であり、その家を絶やすわけにはいかないし、なにより父上の残した者を子孫へつないでいかなければならないのに) という考えも曹騰の頭によぎる。 (注※曹参からの直系を自称しているのであり、王莽の乱等の動乱もあり真偽は定かでない。) 返事に窮するを曹騰を見かねてケ太后は選んだ理由を言う。 「そなたの父曹萌は私にも、皇帝にも同じようによく使えてくれる。他の宦官達は自らの欲得のために私や皇帝のどちらかの顔色ばかりを伺っており、私と皇帝の間の気に掛けようともしてくれぬ。 それでは、私の真の意図が皇帝には伝わらぬし、皇帝の方も私に対して不信だけを持つが、曹萌は皇帝の言い分もしっかり聞いた上で、彼の味方にもなった上で誤解を解いてくれる。 曹萌を信頼し彼の言う事ならば皇帝から役人、あるいは欲得に目がない宦官に至るまでが従ってくれる。 それはなにより彼の人格以上に、私もなく欲得もなく、それで居てすべての仕事を長い間揉めることなくねばり強く相手を説得し、あるいは気に掛けておこないやってきた、信用と実績の賜なのである。 だからこそ皇帝も私も、曹萌を中立の存在として彼の言葉なら裏表を疑うことなく従えるのである。 皇帝と私の関係が形だけでも平穏でいられるのはすべて曹萌のおかげなのじゃ」
2008年09月08日(Mon)▲ページの先頭へ
いばら
誰かを傷付けたくて
私は生きてきた訳ではない ただ 自分自身が生きてきたことが 美しいと思えるように 必死に自分を守るために 貴方を傷付けてしまうことがあっても 咲くこと望んで空を目指してきた
2008年09月07日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−11−
そういう事情があり、また曹一族が経済的に決して裕福でなかったこともあり、曹萌はその上意を受けることとしたのである。
ちなみに曹騰は曹萌が宦官になる前の息子である。 その曹騰がまだ少年の頃、父曹萌が半ば無理矢理宮廷にと連れて行く。 権力に特に執着心のあるわけではない父は、どちらかと言えば自分の息子の出世を望む様子も見せず、そういうところへ敢えて自らの息子を連れて行き高官達に披露するような事は避けていた様子があった。 (そういう性格だから、大人しく穏和で公私がなく、過失もないと言われるのだろうが。) そんな彼がその日は珍しく半ば引っ張るように宮廷へ連れ出したのである。 「皇帝からのお召しなのだ。」 「えっ」 まだ少年で学問に才能の片鱗は見せていたものの、あくまで宦官の息子の一人しかすぎない曹騰である。その彼をわざわざ皇帝が呼び出す理由が分からないのである。 そんな彼の疑問に応えることはなく、勝手知りたる自分の庭のように曹萌は宮廷の中に入っていく。 その都度宦官達は丁寧に頭を下げた。また他の宦官達に対しては悪態を付いているような武官や文官達も、曹萌の姿を見たときだけは、慌てて頭を下げる。 それに対して曹萌はそれ以上に丁寧に頭を下げる。 宦官と言うことで朝廷の役職とは違う。それなのに頭を下げられ一目置かれるのは父の皇帝からの信頼の厚さのなせる技であろう。 そしてそれ以上にその扱いに対して決して奢ることなく丁寧に接している様子が、曹騰は父親のすごさを感じずには居られなかった。 (自然に頭を下げられ、威風を振りかざさないからこそ父の信頼は揺るがないのだろう。) よく忠臣ぶる将官の話を聞くが、実際のところ波風を立てず皇帝の意に沿って立ち振る舞うことが出来る父の方が、余程彼らよりも皇帝には迷惑を掛けずに尽くしているといえるし、皇帝から信頼を受けていると思えるのである。 その父に従い宮廷の奥に行くと、中央の池がよく見える見晴らし小部屋に案内された。やがて顔色が悪く白壁のような色をして目だけが異常に潤んでいる年老いた女性とその孫らしき子供が部屋に入り曹騰の前を横切る。 曹騰は良く分からないが本能的にすぐしかも深く頭を下げる。 それを無視するように通り過ぎた後、曹萌を手で招き恭しく、それでいて先程の官とは違い頭を下げずに話しかけている様子はおそらく皇族の一人であろう。 その後に、良く分からず付いているのは彼の息子か孫で、しかも皇族の中でも皇帝にかなり近い位置の人達であろう。側の者であれば終始頭を下げて付き従うだろうし、曹萌に対しても頭を下げる筈だ。 その子供が……というのは後に皇帝になるかもしれぬ対して失礼であろうから王子と呼ぶべきであろう、物珍しそうに飽きもせずにじろじろと曹騰を見ている。 ただそれを顔を上げて見るわけにも行かず曹騰はひたすら頭を伏せている。 その彼に降りかかるように、上からその老いた女性の言葉が降り注ぐ。 「曹騰・・・・とやら、安帝のただ一人の息子である皇太子の保の学友として宦官になってはもらえぬか。」
2008年09月06日(Sat)▲ページの先頭へ
トラック
全力で走る私
持久力が試されている私 ふらふらになりながら 疲れながら もっと強くなるために もっと早くなるために もっとタフになるために走る私 でも頑張っても おなじ所をぐるぐる回る私
2008年09月05日(Fri)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−10−
(なぜ、このオッサンは俺なんかにそんな言葉を掛けてくれるのだろう)
曹操は蔡邕の話を聞きながらそんな事を思う。当代一の名士にその才能を高いと言われることは光栄であったが、逆に言えば宦官の孫という濁流側の人間である彼を褒めることなど、彼の立場からすればあり得ないような気がしたのである。 「もしそこもとが希望するなら名士達と引き合わせてもよいし、私の人脈が必要なら話を付けてあげてもいい。本も希望するならまどろこしく人を介せずとも力になろう。」 そこまで力になってくれると言うことを彼は言ってくれて、うれしいを通り越して不安になり、それを拒否する。 「いいえ、今のままで良いです。いくら蔡邕様がご推薦してくれたとしても、彼らは心中で私のことを嫌うでしょうし、それに」 蔡邕が宦官の孫とつきあっていると言うことがしれたら、彼の名声も傷付くことになりかねないのである。言葉には出さないがそう思い言葉を飲み込んだのである。 すると蔡邕は曹操の顔をじっと見て、見透かすようにつぶやく。 「別に宦官の孫と言うことに引け目を感じる必要などない。貴方は若く才能がある。だから、堂々と遠慮せず、その才をふるえばいい。 それに、そなたは宦官の孫とののしるものがいるかもしれぬが、あの曹騰殿の孫というのはある意味名誉のことではないか。」 そう言って彼は曹騰の事を語りながら、曹操を励ましたのである。 時は曹操の生まれる35年ほど前のことである。 曹操の曾祖父「曹萌」は宦官となっていた。 「何を好きこのんで、私も父上のようにウジ虫のように宦官にならないといけないのですか。」 繰り返すが宦官とは去勢された人間であり、皇帝の身の回りをするいわば雑用係が主命であり、戦場に出て勇を競うのが男らしさの象徴であり、または堂々と朝廷で自らの意見をいい学問を備え天下にその才を誇るのが名士の誇りであるのなら、裏に回り皇帝に寄生し、文人・武人からはウジ虫のようにしか扱ってもらえない彼らは、軽蔑の対象であり、それなのに喜んで宦官になった父に対して曹騰は理解できず、まして宦官になれという父の言葉を受け居ることは出来なかったのである。 だがそんな言葉で侮辱されても父「曹萌」はニコニコと笑いながら少し困った顔をしたものの穏やかな口調で応える。 「私の場合、どうしても皇帝が面倒を見てくれと言われて断れなくて。」 その様子が示すように早くから曹萌は温厚な性格と言われて、争い事を好まず、有能な人間が居ると、積極的に目を掛けその人間のために色々骨を折った。しかもそれなのに、それを彼の出世の道具にしようとする意志は全くなかったのである。 また何か文句を言われても反論をせず、逆に曹萌と言う人間が悪意で物事をしたり過失をする人間でないという評判が高く、逆に文句を言ってきた人間が数日後には逆に謝りに来るようなことが多かった人間である。 今この天下で名士と呼ばれる人間が多いが、曹萌の人間性に較べたら遙かに何枚も劣ると言えるほどの好人物である。 そんな人格者を皇帝は自らの側に置きたがったのだ。 皇帝とは権力の頂点に立つ故華やかであるが、逆にその権力を狙い、あるいはその権力を利用しようとする悪い人間が集まる。また、権力者の宿命としていろいろと判断を求められるが、そう言うことで恨みを買い、あるいは一方から自らの出世のために邪魔で疎ましく思う人間が多いのである。 また本来助けてくれるはずの一族や兄弟などの肉親、親子や、妻の親類までも命を奪って権力を手に入れたいとたくらむ物や、思い通りにならなければ殺してしまえと思うような人間が多いのである。 そんな中、人格者で温厚で、しかものちに宮中に入って30余年、一度も過失を起こさなかった。と言われるほど忠実で、かつ事務能力に優れている人間を手元に置きたいと思うのは不思議でもないのである。
2008年09月04日(Thu)▲ページの先頭へ
夏の終わり
貴方が居ない初めての夏が
終わろうとしている。 いつものように暑く いつものように蝉が鳴き いつものように 仕事があって花火がある夏 ただ貴方が居ないと言うだけが違うだけの夏 思えば悲しみよりも 貴方を奪った物に対しての怒りのような恨みのような物に 暑くなっていた 「だいぶ時間が経って 大切な人を失い冷たくなった心も この暑さで、少しずつ氷が溶けていき 少しずつだけど周りの人の温かさを感じる今日この頃です」 そんな・・・・ 貴方の婚約者からの残暑見舞いがお盆過ぎに届く 私はそれを見つめながらふと外へ出る 虫達の鳴き声がいつの間にか秋のコオロギに変わっていた 心の中にふと返事の言葉を並べる 「親友へ 東京の夏はまだ暑いようですね。 こちらも昼間は仕事をしていてもとても暑いです」 でも、朝晩ふと一人きりになると取り戻すと とても風は冷たくなり始めました 去りゆく暑い季節を今は切なく思い涙が溢れそうです。
2008年09月03日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志曹操編−9−
学問の頂点に立つ人間である。
この時代の学問は清流と呼ばれるいわいる儒教を指し示す。 そして儒教が目指す物とは、すなわち倫理や道徳など清廉さである。 その中心の人物は当然厳格な人間であるはずだと思っていた。 「読ませてもらったが、実に自由だ。」 そう言って笑う蔡邕の唇に食事の食いかすだろうか、よく見れば靴も左右違う物を履き少し間が抜けている。話しかける声も優しく、少し甲高く、思いのまま話しかけるような、完成が優先するそのしゃべりだ。 「んー雄大で良いね。それに題材も庶民的な物もあったり、楽しさも伝わってくる。いいよいいよっ。」 「はあっ。」 一瞬緊張した曹操であったが、めちゃくちゃ軽いっ、と思いそれがとても無駄と思った。特に蔡邕には威厳を振り回す様子もなく、気の良いおいちゃんという感じしかしないのである。 ただそう思って油断したところで、突然彼のダメ出しが突っ込む。 「ただね。孟徳殿、貴方が私が貸した本に付けた脚注(メモ)ね。あれは駄目だよ。」 「あっ」 寝る前に夢中になると考えていたことを忘れないように曹操は本に書き込む癖がある。自分なりの考えを書いて付け足すことで、頭に入れると同時に考えを整理しているのである。 (よく考えれば、人の本に勝手に書き込んだらまずいだろう。) しかも蔡邕の本は天下に二つとない貴重な資料だったりすることがあるのである。 ただ、彼のダメ出しの方向は曹操の考えている物とは違う物だった。 「発想は良い。よく勉強している書き込みだよ。でもあれじゃ駄目だ。」 「はぁ。」 「詩も兵書も、折角才能があるのだから、もっと楽しい脚注が掛けるはずだよ。」 「はぁ、」 「君はまだ才能を全部発揮していない。人に合わせなくても良いんだよ。」
2008年09月02日(Tue)▲ページの先頭へ
明けない夜
やっと寝息が聞こえると「やれやれ」という
言葉の後で始めてため息をつくことが出来る。 あれだけ騒いだのが嘘のように天使のように微笑んで 寝ていると複雑な気持ちになる。 子供ならそれで許せるような気がするけれど それが自分の母親であることがどうしていいのか 静枝をわからなくさせている。 よく年寄りは段々子供に帰っていくと言うが 子供のように素直になっていくのなら 子供のように言う事を聞いてくれるなら どんなに楽だろう。 子供のように怒れればどれほどいいのだろう。 中身は子供に返っていくのに ・・・・だから、多少のわがままは許してあげないと と、娘はいっちょ前に私を諭すが、 母親は昔呉服屋の娘であっただの 年をとって何も出来なくなっているのに プライドの高さだけは、若い頃そのままであった。 朝から今日もこっちの気が変になりそうな一日だった。 やれ現金が無くなっただの、私が母の悪口を言っているだの そんなことばかり言い、黙って出ていっては よその家にまで迷惑を掛けて謝りに行った。 さらに時間間隔をなくしたらしく、夜遅くなって医者にいきたいだの そんなことばかり言って、最後は喧嘩になってしまう。 脳の病気だから仕方ない そうお医者に言われて分かっているが 起こっても慰めても、無駄と分かっていても しなければ何時までもきりがない徒労 結局今日も2時間ばかりそんなことをやっていた。 ちっとも眠る時間になっても眠れなかった。 「こうしておいても仕方ないから寝ないと」 明日は夫の休みで、こないだ母が迷惑を掛けた医者に 謝りに行かなければならない こういう事情があっても、世間はそう言うことが分かってくれない 何かあれば「自分の母親でしょ」「愛情をかけないからそうなるのよ」 という人がいるし、気の利いた人でさえ「そう長く苦労することでは ないから我慢しなさい」と気安く言うのだ。 「夜が明けなければいいのに。」 例え明日になっても同じ苦しみが続く。そんなことをもう何年も繰り返した。 しかも頑張ってもこういう病気は頑張った分だけ状況が良くなることはない 限りなく100に近いパーセントで段々悪くなっていくのである。 (それに対しても努力が足りないからと周りは言うし。) 若いうちなら耐えられる。でももう何年もそんな状況が続く。 母親の面倒をほぼ毎日見なければならないために、外出もままならないし 旅行なんかも行ったことはない。 子供の面倒を見てから今度は自分の母親の面倒に自分の人生を費やされて・・・・ 母の付けていたテレビから同様の歌が流れると思わず口ずさむ 高校の時合唱をやっていて音楽を続けたかった。 いつかプロではなくても同級生達と合唱をやっていきたいねと 良く集まったとき話していた。 でも家庭がそんな状況ではとてもそんなことをやっている暇も余裕もないし 第一同級生達とも会う機会さえなくなっている。 いつまでそんな暗い闇が続くのだろう。 何のために私は生きているのか、生きていたのか そう言う考え方が一番不味いことが分かっているのに ドラマであればそこから歯車が狂い始めるのに 問いかける自分がいる 「合唱なんかなくたって生きていける。」 だからそんなのなんか甘えだと口に出せば言われることは明らかである。 でもそれが中学生の時の唯一の希望であり光だった。 けしてそんな小さな光なら本当は贅沢な願いではないはずだ ミュージシャンとして仕事をしなくてぷー太郎で行きたいのとは訳が違うから。 それさえも母がいるかぎり許される状況ではなかったし 世間と呼ばれる人達は「生きている限り面倒を見るのは当然」 とさも道徳ぶったヒューマリズムを振りかざし、それを受けなければいけない人達を サディスティックにいたぶって喜ぶだけなのだ。 人は平気で「光が無くてもモグラは生きているから生きられると平然」という物なんだろう。でももしこの地球に夜が来てそれから永遠に夜が続いても生きていけると思っているのだろうか。 それは必ず夜が永遠に続くはずはないから・・・・と思っているから、そういう心の奧には前提があるから、たとえ話にしからならない。と思う。 「永遠に夜が続く事がないように貴方の苦労が永遠に続くことがないから。」 そう言って励ます人がいる。 では、その苦労の終わりは一体何なの? 問いかけても答えは一つしかない。 それを望んでいる自分がいたらきっとその心は闇である。 例えその日が来ても、実の母親に対してそう思わないといけない自分自身の心は あまりにも深い闇につつまれ。後ろめたく輝くことは出来そうもない。 あとどれぐらい続くのだろうか。 年をとり長年の疲れで段々無理が利かなくなっていく。 夫も私と母に気を配り酷く怒りっぽくなったり、うつっぽくなりつつある。 こんな状態でいつまで持つのだろうか。 この夜が終わったところで明るい日が来るとはとても思えない。 いつか例え夜が明けても、私にはきっと闇が開けることがない。 母の心が夜になったように、わたしのこころが闇になったように 光が必ず差し込まないことをしる日が 必ず心には明けない夜がいつか訪れる。 「人生なんてそんな物よ。 望む望まないに関係なく それがその人の運命だから仕方ないでしょ。 受け入れなければ仕方ないでしょ」 と悟りきったように、私に言った人にも 等しく。
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