ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/07
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2008年07月31日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−24−
玄徳邸の裏で綺麗に桃の花が咲いているという話を聞き、彼と関羽と張飛は手下を従え、そこで義勇軍の決起を期した飲み会を行う事にした。
あれから関羽は厳しい訓練を施した。その結果彼の訓練は的確で最大の弱点であった組織戦のもろさがこれで改善されてはいた。ただそれだけ厳しい訓練を施されればかなり手下達も疲労が蓄積しているし、心労もあるし、あるいは反発もあるかもしれない。 自分の趣味も含めて張飛が彼らを慰労しようと提案し、宴会を開くようにした。 その中で、関羽と張飛はならず者の用心棒集団である玄徳の手下として、舎弟としての杯を交わすことにした。 関羽は玄徳と知り合って日が長いわけでもなければ、玄徳が頭領として何か実績を上げたわけではないので、完全に信服したわけではなかった。 (ただ、この男をつかって俺様の力で出世をするのなら) 腹を決めるべきなのである。 一つの軍で3人が自己主張するようであれば軍が3つに割れてしまう。折角決まった内容を関羽が簡単に否定してしまうようであれば、玄徳の部下からも上司に対して疎略に扱う者が出てくる。 組織として示しがつかない状況であるのは軍隊では良くない。玄徳の軍にはいるのなら、関羽が自信が率先して玄徳を立てるべきだ。と関羽は思うし、そう言う形で秩序を出来た方が、関羽が指揮を執る場合でも都合がよいはずなのである。 それでも玄徳は、形的には舎弟と言うべきであるが、気を遣って配下という形ではなく、対等の兄弟という形で、3人で盟約を組むことを望んだ。 後に言う「桃園の誓い」までに挙兵のこと、組織のことも含めて3人は何度も協議したが、玄徳は関羽の武勇と軍略。張飛の腕力を評価して二人を部下として扱うのではなく天に並ぶ者が居ない特別な者として敬意を込めて配慮したのである。 (そこまで評価してくれるのなら) 「例え生まれた日は違っても、死ぬときは一緒だ。」 張飛はそう言って、玄徳のその配慮に心から感激した様子で、心服を見せた。 関羽も一方ではそう言った方が軍としての規律が取れるという思いもあったが、それ以上に玄徳のそう言う配慮や人間性や考え方に漠然でも自然と「この男となら一緒に死んでもいいのかもしれない」と思えられるようになっていたのである。 ただ、挙兵にはそれでもいくつかの問題を含んでいた。
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2008年07月30日(Wed)▲ページの先頭へ
何なんだお前は。
私・・・・珠美は結婚して主婦になった。
仕事に可能性と未練がないわけではないから、 家庭に入る事に不満がないというわけではないけど、 大好きな人と一緒にいて、 幸せでない事はない。 今朝も旦那様をキスで送り出すと 早速部屋に掃除機を掛けようと 小物を片付け始める。 そうすると、すぐにドアの方から呼び鈴がけたたましく鳴らされた。 「はいはい。」 慌てて、玄関に出て「NHKは見てませんよ。」と言うと、 ドアの外の前に網を持った人達が立っていて、 ドアチェーンを強引に引っ張って開けようとする。 「・・・何しに来たの。」 私が問い掛けると、 彼らは「大丈夫です。国土交通省の許可を取っていますから、 劣悪な家庭から私達が救ってあげますよ。 可愛い貴方がこんな所にいてはイケナイ」 そういうと、しつこく押し入ろうとする。 「貴方は何なの。」 私は問い掛けると、 「私達は珠美ちゃんを想う会です。」 そう言うと、必死に網を押し込もうとする。 「ちょっと辞めてください。」 「貴方には、あんな男が似合わない。 僕達が幸せにするから。大人しくしなさい。 こんな所にいたら死んでしまいますよ。 新しい未来に向かって私達と祈ろうではないですか。」 「なんなのやめてー。」 過激なストーカーか、宗教の勧誘かなんなのか分からないが、 兎に角怖い。慌ててドアを閉めようとする。 その時、彼らの後ろから数名の人間が「想う会」を蹴散らす。 「やめなさい。珠美ちゃん嫌がっているじゃないか。」 「なんなんだ。おめえら。」 想う会の男達が問い掛けると彼らは胸を張り言う。 「私達は、珠美ちゃんを見守る会の者だ。 そう言う横暴な真似は辞めて、私達のように見守るのが本当の愛ではないのか。」 「そうだそうだ。」 後ろからそんな声がして、振り向くと 後ろのマンションから何百人もの男どもが私の部屋をのぞいていたのである。 (しかも売店が出来ていて珠美ちゃん饅頭何か勝手に売っているし) 「何を見守るしかない癖に、このストーカー野郎。 彼女が自分一人で離婚出来ないから、私達は力を貸して居るんだ。 テメエらなんか、アダルトビデオ見て○○○○していればいいんだ。ドアホ」 「何を変態サディスト。たとえ彼女が不幸でも、明子姉ちゃんのように 木の陰から見守るのが日本人の美意識というもんだろう。 そういう堪え忍ぶ愛が分からないお前達の方が野蛮だ・・・」 (いつ私が不幸になったんだよ。おめえら。) 言い争いが始まる。取り敢えず、私はその好きにドアを閉め鍵をして、 カーテンを引く。 兎も角、この横浜を出て彼らの目に届かない所へ行こうと想う。 埼玉あたりなんか良いかもしれない。
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2008年07月29日(Tue)▲ページの先頭へ
ダイエット
何も口にしないことが
全てを我慢することが 美しくなる方法だと 私は思っていた。 でも悪口でも口にしないと 心が我慢できなくなる 幸せが空っぽになると 余計貴方の事が食べたくなる 無理に我慢を続ければ 病気になってしまう もっと心が軽くしたいけど 急は無理は無理だから 少しずつ、貴方の事を考える時間を 減らしていかないと。
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真三國志関羽編−23−
議論は絶えず続いていく。
関羽はどう見ても都で勉強をしたはずなのに、兵法初心者っぽさが強い玄徳にだめ出しをしながら、その一方で心地よい感覚を味わっていた。 (楽しい) 議論を交わしたことがあるし、最近では官吏に意見を求められ兵法を披露したことがある。でもこんなに話が盛り上がったこともないし、官吏に問われたときはしっかり相手には話は聞いてもらっているものの相手の反応は鈍く関羽の言うことが理解できないのか、必要としていないのか、一方的に説明をしてそれをただ聞いてもらっているだけで、まるで木造に話しかけているような空しさだけを感じていただけだった。 でも今回は違う。 (多分この玄徳という男の所為だ。) 玄徳のように熱心に話を聞いて、彼なりに消化して答える。思えばそんな人間は居そうで居なかったような感じがする。そんな姿勢も本当に関羽を評価して彼を必要としている所から来ているように思える。 話を続けて、暗い空が明るくなっていく。 「あ・・・れっ」 目が覚めると関羽は玄徳達と話している部屋に居た。あのまま3人は議論を交わし続けていたらしく、他の二人も一緒に同じ部屋で寝ていたのだ。 「このままこいつを殺して金を持っていったり、成り代わって俺様が手下達を手に入れることが出来るのに」 玄徳は安心しているらしく、無防備な姿で、気持ちよく寝ている。 初対面に近い者を前に、この乱世で夜盗の類は多い中で、いつ寝首をかかれるか分からないのに、そんな風にどうしてそんなに関羽のことを信頼できるのか。 「そう言えばよく俺のことを知っているよな。」 更に言えば関羽のみでなく張飛のこともよく知り信頼している。 (今まででこの男は一番自分のことを信頼してくれているのかもしれない。) 「昨日夜は、頭の中を全部語り明かして本当に楽しかったよなぁ。」 感覚を昨日この男から始めて味わった。そしてその感覚を思い起こすと、もう一度……いいえずっと、こんな楽しい時間を過ごせられたら幸せなんだろう。と思う。 思えば、関羽は兵法を学ぶ為、儒学や過去の歴史書を多く読んだが、その中で将の一番の幸せは、金銭を得ることでも、身分を得ることでもなく、自分の信頼している無精の下で自分の力を思う存分発揮して、歴史に名を残すことだと説いている。 「金銭や名誉は期待できそうもないが」 もしかしたら、自分は理想の上司に出会えたのかもしれないと、関羽はふと思う。
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2008年07月28日(Mon)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−22−
「貴方は、その為に……彼らの為に兵を挙げると言うことなんでしょうか。」
彼らの活躍する場を作る為に兵を挙げようとするつもりなのですか? 皆、この世界に平和をもたらす為に、戦うというのに。貴方だけは彼らの夢の為に戦うというのだろうか。 「本当に貴方は人が喜ぶのが好きなんですね。」 確かにこの世の泰平をキャッチフレーズに戦う男達は多い。人々の期待に応えようとする英雄は多い。 でも、そう言う人の上に立つ輩の多くは結局はそう言うきれいな言葉と裏腹に結局は自分の名誉や財産を求める物達が圧倒的に多い。 玄徳にもそう言う欲望はあるかもしれない。でもそれ以上に人に対しての情という物が裏表なくそれよりこの男は強い気がする。 その事が彼自身を将来不幸にするような気がするが、その一方で血に飢えた侠客達には離れられないほどのたまらない魅力になるのかもしれない。 と簡雍は思う。 一方、成り行きで一通り玄徳の部下達に訓練を施した関羽は怖い顔で玄徳の許にやってきた。張飛も退屈をもてあました様子で玄徳の許にやってくる。 二人とも並はずれた体格の持ち主である。二人ににらまれるとかなり威圧的であるが玄徳はそれに対して堂々としていた。 関羽は少し怒った様子である。しかし訓練を押しつけたのを怒っているのかもと思ったが違っていた。 「劉備殿、このままで兵士達の命が守れるのか。」 そう怒鳴れられて、玄徳は笑顔を見せる。その言葉に関羽の兵士に対しての優しさを感じられた。多分彼らの命を守る為に関羽は玄徳の部下でもないのに提案をしに来たのである。 「なら関羽殿ならどうする。」 少し挑発的に玄徳は意見を求めると、関羽は熱意を持って訓練法について的確な意見を述べていく。玄徳は感心しながらも彼なりの意見を述べる。 「関羽殿の意見はもっともだが、まだそこまでのことを彼らに求めるよりも細かく彼らの足りない部分をおぎなっていったらどうか」 関羽もそれを聞いてよく兵士達の事を玄徳が感じていることを理解できたし、彼の軍の育成方法も的を得た物と理解できる。 「だったらこうしたら方が良いのではないか。」 と関羽は彼の知識を許に細かい改善案を述べていく。 そしてその後の話は実際に幽州で蜂起している黄巾党との戦いに対しての意見交換になる。そうなれば先陣を切ることになる張飛の意見も当然聞く形になる。 「俺様に任せてみれば3万の軍など怖いわけあるか。ただ突っ込めばいい。」 「だったら、張飛殿には騎兵で機動力で攻めていけば面白いのではないか。」 「いやいや、先陣はあくまで相手を攪乱することが第一で深入りして戦うべきではない。騎兵を中心にすべきではない。」 「なるほど、だったら馬に乗るのは一番得意な私が先陣を切ろうか。」 「おいおい関兄。先陣は腕力を考えたら俺だろ。大体玄徳どのはこの軍隊の代表だろ。その代表が先陣を切るなんて言う話は聞いたことないぞ。」
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2008年07月27日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志休題閑話−三国志と張飛−
日頃は真三國志をごらんいただきありがとうございます。
現在関羽編と言うことで、桃園の契りを含めた玄徳挙兵までのストーリーを執筆しております。 関羽編と言うくらいですから、関羽の支点から玄徳を角と言うことを意識して連載しておりましたが、正直言うと完全に主役は張飛になりつつあります。 張飛という人物は中国で人気がありますが、日本では孔明・超雲、周楡あたりが人気の上位で、曹操も意外に人気がある一方、主役である劉備3兄弟については意外と人気が高くないという感じがあります。そしてその3兄弟の中で一番人気がないというのが、張飛。 以前閑話休題のコーナーで書きましたが、どう考えても近くにいたら嫌なタイプ、厚かましい上に酒乱で気分屋、正義感は強いが押し付けがましく短慮な性格で、もしも私と同じように現実社会で、この人間が近くにいる友人であったり、同僚であったり、上司であるという前提を考えると、私と同じように張飛は関わりたくない人間になるはずです。 ただ物語を書いていく中で、三国志演義で彼が大きく物語の主軸にいるのが、羅漢中が大きくこの人格不適格者をヒーローとして扱っているのか、作家として理解できるようになりました。 彼は、物語の中でオチ役というか、狂言回しを担当しているのです。 三國志を書く上で、玄徳編は圧倒的な資料が存在する三國志の中で少ない資料から物語を書かなければいけないというのがあったのもあるのですが、かなり物語を書き続けていくのが辛かったのですが、張飛が出てきてからかなり書きやすくなりました。 張飛が必要なところでボケキャラを演じることで物語にアクセントを付けられるようになったからです。 物語はまじめに書けばいいと言うのではなく、エンターテイメントの一つとして読んでいる人を楽しませるという仕事があります。例えどんなに調べていても、物語として読者が退屈な物は本として読んではもらえないのですが、張飛が出てくるだけで、その退屈な部分を解消できるのです。そのことで安心して物語を組み立てることが出来るのです。 三國志というのは成立した当初は一回一回講談のように行われていた物語でした。ストーリーはあるものの基本的に一話で起承転結をして楽しませて、前後分からなくても楽しめて次回も見に来たいという物語を作らないといけなかった苦労は並大抵であったと思いますが、それを羅漢中は張飛を使うことで解決をしたのではないかと思えます。 張飛が失敗する−孔明が作戦を練る−3兄弟が暴れ回る−大団円。 それを積み重ねたのが三国志演義の構成であり、毎回張飛が物語を作っていたというのもシナリオ的には過言ではないと思います。 水戸黄門で例えるのなら、孔明と玄徳が黄門の役割を担当して、関羽が助さん、張飛が角さんになるのですが、三國志だと張飛は更にうっかりハチベイの分も活躍をしているのです ***** 三國志はいよいよ玄徳挙兵、そして幽州黄巾党との決戦を経て関羽編はフィナーレを迎えます。 そしてその後は、曹操編 宦官の孫として産まれた曹操は、その生い立ち故恵まれた資金と一族の支えを受け成長する一方、優れた才能を持ちながら宦官という出生、身体的コンプレックスにより出世の道は閉ざされていました。 名家の出で、将来を嘱望された同僚の袁紹が圧倒的なリードをする中、彼がその才能を駆使し、または挫折を得て鍛え上げられ覇者となっていく初期の姿を画いていきます。 ぜひお楽しみください。
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2008年07月26日(Sat)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−21−
関羽の心の中にも取り立ててもらうことが本当は絶望的ではないかという思いはあった。役人達の役人達特有の調子の良い言葉に望みを持った時期もあったが、預けられてほっておかれるうちにだんだん信じられなくなってきていたし、待つ時間を過ごしている間に、己の中でも年齢を重ねていく。
時間だけが過ぎていくのに、何も出世できない一方で同じ世代の曹操と言われる者が中原の黄巾党討伐で名をあげていたし、代州では同じように異民族の流れをくむのではないかと言われている呂布が勇猛な戦いで一部隊の体調にすぎないが、北方の遊牧民族から恐れられていた。 無為に時間にすぎていくことに「取り残されている」という焦燥感が常に関羽には存在していたのである。 「自分の軍隊だと思って、指導しても良いんだぞ。」 少し意地悪く試すように玄徳はつぶやくと関羽を置いて、張商店の一人と打ち合わせをしながら戻っていく。 「任すと言われて。」 誰も受けるといっていないのに、と思いながらも、ちらりと自らに与えられた軍に興味を少しだけ向ける。 (……一人一人の技術は劉備が細かく指導しているだけあって、義勇軍とは思えないほど、官軍と遜色もないほど、能力は高いが……) 挙兵したとしたら、相手は3万の大軍であり、しかも相手は烏合の衆ではなく宗教で心を一つにしている軍団だ。 (こんな感じで勝てるわけがない。) そう思うと、劉備の口車で戦場に送られる若者達が気の毒に思える。多分彼らのほとんどが死ぬことになるであろう。 「死にたくなければ、もっと剣をしっかり振れ。もっと早く動け。」 もともと関羽は寺子屋で子供を教えているくらいだから面倒見のいい男である。自分と比べていかにも駄目そうな兵士達を見ていると黙っていられない気がした。 一方突然怒鳴られた兵士達だが、一瞬だけ固まったものの関羽が言ったことが分かると、「……はいっ」と返事をして素直に関羽の言うことを聞き、その通り動く。 それでも関羽の望んだレベルではなかったが、彼らは一生懸命関羽の指示に対して努力して動いていたので、顔は厳しいままだが内心では 「たのしいかも。」と思った。 一方張飛と対決をして「殺されるかも」と慌てて玄徳の様子を見に来た簡雍少年だったが、玄徳が無事であるのもほっとしたのだが、その後張飛を居候させるは関羽には自分の必死に集めた軍を預けてしまい戻ってきたというのを聞いてびっくりする。 いきなり部下でもない男が軍を指揮したり、酒を飲んで虎になっているとなれば部下達は戸惑うだろう。 でも劉備は「大丈夫だ」と答える。 「部下達には、張飛・関羽が一万人に一人の英傑であること一騎当千の勇者であることを、彼らの事を戦うという事で調査をした時から部下達にはしっかり話をしている。実際に奴の腕力や、指導に接すれば余計兵士達も彼らがいれば強いという思いを持つだろうよ。」 「貴方は彼らを部下にしたいようですが、それだけの男が先日斬り合うかもしれなかったのにあっさり味方なんかになりますか。」 簡雍少年は噂で聞く彼らの執拗な性格や野心、自尊心から疑問を持ち疑問を呈する。 「別に部下として扱うつもりはない」と玄徳は言ったが、協力はしてくれるだろうという確信が彼にはあった。 「張飛も関羽も飢えて居るんだ。だからその上が満たされるのなら一緒に力を貸してくれるだろう。」 「飢え?」 「ああ。」 出世をしたいという飢え、認められたいという飢え、力を発揮したいという飢え。でも現実は多くの場合その上を癒してくれてはくれない。
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2008年07月25日(Fri)▲ページの先頭へ
人魚姫
私の好きという気持ちはなんて弱いのだろう。
貴方が他の人を好きだと言うだけで、私は貴方を諦めている。 自分を抑えて貴方に気持ちを言えないでいる。 この気持ちが本当ならば、 私自身が本物ならば、力ずくでも貴方の事を 私の物にする筈なのに 何故諦めているの。 本物になれないのなら、がらくたのようならば 私の心は、私の体は迷いの海に沈んでしまえばいい。 そして泡のように私の恋は跡形も残らなかった。
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2008年07月24日(Thu)▲ページの先頭へ
風船
宙に浮かぶ風船。
真っ赤な風船。 自分の力で立って支えて 私が叩いてもしっかりと反発していたね。 今思えば私とのつながりは 細いたった一つの糸だけで 手を放せばきっと私の届かないほど 貴方は高く飛んでいくのね いつか見えなくなるほど小さくなって お空に消えていって 貴方ならドコマデモも飛んでいけると思った 上を向いていても木に絡まる奴もいる 飛んでいるようで最後まで地面に繋がれ 人に利用される奴もいる でも貴方なら例え今小さくても 青い空を超え、遠い宇宙までいけると思った だから空に消えるまで見送った。 ドコマデモ高くいける貴方を地面で見上げながら 知らなかった 貴方が私の言葉の針で こんなに簡単に壊れるなんて
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2008年07月23日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−20−
「そうか。」
玄徳は関羽に否定されても、特に感情的にはならずに素直にそれを認める様子である。関羽はその時気が付かなかったが、玄徳自身そのことを自覚していたのである。 (腕力に優れているわけでもないのなら、軍略にでも優れているのかと思ったが、……それにしても、本当に素人くさい奴らだ。) (俺ならば……) もっと軍略に沿って組織を固めていくだろう。訓練方法も役割を徹底して行うだろう。 (素人を集めた義勇軍とはいえ、もっと将ならやり方があるだろう。) そんな思いで彼らを見つめる。 「なあ、関羽殿。そなたが彼らを指揮して彼らを率いてみないか。」 「えっ」 「お前の持っている軍略や用兵で彼らを鍛えて、総司令官として我ら1000の兵を率いてみないか。」 突然玄徳はそんな申し出をする。 関羽は一瞬驚き、その内容に言葉を失う。 「全軍を俺に任せるというのか。」 「ああ。確かに軍は素人揃いだが、専門家である関羽殿なら何とかなるだろうし、多少の兵力の劣る部分は張飛殿の武勇が十分補うはずだ。」 (そんな事をしたら。) 玄徳ですら、何もないところから1000の兵を集めることも、張のような有力者から支援を取り付けることも容易ではないことである。 (それなのにそれを譲り渡そうというのか。) 「それなら、俺が一軍を率いて張飛が先鋒を指揮するとしたら、玄徳殿は一体何をするつもりなのですか。」 (軍を譲り渡したら、玄徳は何が出来るというのか。) それに対して玄徳ははっきりと確固たる意志のように言う。 「俺は、張飛や関羽殿のような力のある才能が活躍する舞台を準備して用意することだ。俺には、張飛のような腕力も関羽殿のような軍略も技術もない。 だからこそ、人は自分の能力を発揮できる場所を与えられて、そこで頑張るのが一番良いと思う。」 適材適所 玄徳の言いたいことは単純なことである。 だからといって、それを建前的に言ったとしても本気で人を信頼し仕事を任せて、人を動かす人間がどれだけ居るというのか。 玄徳は関羽の才能を見抜きすべてを任せようとしている。 それは彼の才能をリサーチしてそして実際に会ってみて出した結論かもしれないが、実際に関羽自体が軍を率いたこともなければ今まで戦功があったわけでもない。 それなのに事もなく、自分の軍を関羽にゆだねようとしている。 (よほど器量が大きいのか、単なるアホなのか) 判断が付かないが、ただ一つ言えることは自らの才能に固執することもなければ、自分の不得意をしっかり把握し、冷静に彼は長期的な展望を立てているのである。 かつて自分のあった中にそんな男が居ただろうか。と思うと居ないのが現実だ。 「実際問題として、いくら県令が支援を約束してくれたとはいえ、1000の兵を自らの軍隊として使わせてくれることなどないと思う。 またもし与えられたとしても官軍であれば義勇軍と違い自由に軍を動かすことは出来ないし、上司である人間の言葉に従わなければなるまい。 そうなれば折角の才能も無駄になる可能性がある。逆に我らの義勇軍を率いれば関羽殿の才能をすべて発揮することが出来るかもしれない。」 玄徳は丁寧に、でも現実を関羽に突きつけるように述べる。
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2008年07月22日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−19−
(あれほど俺に従ってさえいれば、そのおこぼれに預かり出世を出来ると思って付きまとっていたのに、急に態度を変えやがって。)
関羽は腹立たしい思いで酔っぱらいを置いて外へ出る。 暖かい風が吹き込む。何となく不愉快があっぷするがそれでも風に当たることで関羽は少しずつ落ち着きを取り戻す。 (あの傷ついた獣のように人を威嚇するしか術のない張飛を、どうやってあの玄徳はてな付けたのだ。) そんな疑問が沸き、使用人の一人に玄徳の居場所を聞く。 「玄徳様なら、昨日の草むらで、大規模な演習を行っています。」 「演習?」 「程なんとかと言う黄巾党の将軍が暴れ回っていて、それに対して口に出さないが挙兵するという事なんでしょう。」 (馬鹿な。) 黄巾党の程の軍勢は3万と言われる軍勢で官軍ですら手が出せない優秀最大の反乱勢力である。玄徳の軍が500だか1000だが分からないが相手は数十倍である。勝てる相手ではない。 (演習か。) 訓練を行っているというのなら、それに対しての秘策が見れるかもしれないし、張飛の心を動かしたという玄徳の軍隊の状況を見れるかもしれないのである。 関羽はその場所に向かうと、訓練を一通り見ることにした。 その時玄徳の軍はたくさんの馬をその草むらに放した。 その馬を敵に見立てて、集団で追い込んで行く。 その都度玄徳は軍を止めると一人の兵士に細かく手綱を持ち方などを教え、また訓練を再開させる。また、軍を止めて今度は徒で槍を持つ男に構え方と細かい動きを指導して、再び軍を動かす。 (意外と深い考えを持つようなタイプに見えなかったが、細かいことを言う男だ。) (かなりやり方はともかく、細かいところについては独創的だな) と関羽はその訓練を行う。 そしてあっという間に玄徳は演習を終わりにして、引き上げを命じ、細かく指示をしていく。不意に関羽の顔を見ると、残りの指示は人に任せると、関羽の所へ真っ先に近づき笑顔を見せる。 (なぜ見に来ている)とか(昨日戦った張飛と一緒にいたことを問いかけてくる)とか思ったが玄徳はそう言うことを聞かずにニコニコしていた。そして単刀直入に「どうだったか」と関羽に聞く。 (この男、単に自分の軍隊を見せびらかしたいだけなのか。) そんなことを思いながら、でも愛想でも認める言葉は彼の自尊心が許さないらしく辛口に評価する。 「丁寧に一人一人教えていますし、ずいぶん独創的というか工夫はしていることは分かります。ただ、」 「ただ。」 「いかにも素人くさい訓練の仕方だと思います。個々の能力は伸びているかもしれませんが、戦いは集団をどう統率していくか。1人一人の力を結集して、2や3にしていかなければならないのですが、そう言う組織力については上手く指導が行きどどいていないと思います。」
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2008年07月21日(Mon)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−18−
「どうしようか。」
とりあえず張飛はもう一度頭の中で玄徳が言った言葉をなぞってみた。 そして自分の身のあり方を考えるが、元々深く考えることが苦手な張飛は人を頼み関羽を呼んで来てもらう。 関羽が来たのは翌日であった。玄徳の許に連れ去られたのにもかかわらず、迎えに来るまではかなり時間がかかった。 正直関羽にしてみたら、張飛がどうしようとあまり興味がなかったし、玄徳が面倒を見てくれるのならやっかい払いできたと彼は思っていたのである。 だから隠していたが嫌そうな顔をして彼は向かいに来た。張飛が玄徳の言った内容について相談したが、あまり芳しい返事でなかった。 「お前が従いたければ、従えばいいだろう。俺は玄徳という奴に従わなくても、今の県令からは何かあったら力を貸して欲しいと言われておるから、義勇軍とはいえ素人連中だ。そんな奴らの力を借りる必要はない。」 「まあ、そうだな。」 別段喜びもしない(別に関羽に対して玄徳が言ったわけではないし、関羽にとって張飛が認められようがどうしようが興味もない訳である。)関羽に対して、正直がっかりしたし、他の人と同じような厄介者を相手にするような態度をうすうす気がついたのか張飛は思わず酒を口にする。 「おい、酒を飲んで暴れるなよ。やっかいを起こしたら酒場でけんかをするのとは違うぞ。」 関羽は酒乱の癖がある張飛をたしなめるが、不思議と張飛はこの日に限り少しも酔いそうな気がしなかった。 それどころか、玄徳の言葉が胸にこだましており、そっちの方に酔っているかのように、気持ちは奪われていた。 (みんなみんなそうだ。関羽のように友人面している奴も、両親のように好き勝手にやらしてくれるが家業を継がせてくれない奴も、俺の力を尊敬し(←それを人は恐れているという)手下になっている人間も、あの草むらでの時のように本当は信頼なんか出来ない。みんな俺様のことを厄介扱いしていて、誰一人本当はまともに扱ってくれないのだ。) (それなのに玄徳という男はどこか違う。少し馬鹿っぽいところもあるが、俺の才能を素直に買っているようであった。大事に扱ってくれた。) 不意に関羽の態度を見ながら不意にある思いが浮かんでくる。 (遙かに兄者の方が将軍として優れているから、俺は従ってきた。でも、俺様の命を賭けて従うべきなのは、俺様のことを一番評価してくれる人なのではないのか。 それに答えて戦い、死ぬことこそ本当の幸せではないだろうか。) (心の中で厄介者扱いする奴らなんかより、少し馬鹿っぽいこの男の方がよほど俺の気持ちや働き場を与えてくれるのではないだろうか。) 目を据わらせながら、そんなことを考え張飛は関羽を無視するかのように酒を飲み続ける。
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2008年07月20日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−17−
(そういえば)
玄徳という男は思い起こすと始めてあったときから張飛を決して軽くは見ていない。 (「10万の軍と対峙する将になる男だ」) と言うことを彼は言い続けていた。 常に張飛の力を評価する態度で接し続けていた。 それを裏付けるように玄徳は言う。 「手下になれ。とは言わない。ただ良かったら力を貸して欲しい」 「お前のために何故俺が働かなければいけないんだ」 言い方を変えただけだろうと、反発をする張飛。 玄徳はそれに対して首を振る。 「お前自身のためだよ。」 「俺のため……?」 お前の武勇なら、戦いの中では真っ先に戦陣を切るだろう。 戦いは緻密な戦略が勝敗をもたらすことがあるが、多くの場合戦いを決するのは勢いだ。最初の激突で部隊の士気は大きく変化する。 相手が烏合の衆であったり、統制が取れていなかったりすれば、それだけで勝敗が決する場合があるし、初戦を制するかどうかで全体の流れが決してしまうことがある。 「初戦を制して勝つことが出来れば、その勇名は戦陣を切った者となる。 それにお前の武勇で敵の多くの首をあげることが出来るのなら、貴方の武勇は大きく宣伝される事になる。」 そうなれば張飛の出世の道は開かれるのである。 「それに最初に言ったが、これからは騎兵による集団戦が戦いの主になっていく。例えそうでなくても、将は徒ではない。馬に乗り指揮をしなければならないから、その技術に優れていることは決して損にはならない」 そして馬術を習得するには馬商人である張の手下はその道の専門家だ。なにより玄徳はあれだけの荒馬を乗りこなせる能力がある。 彼の言うとおりここにいてそれを習えば、将として必要な技術を習得できるかもしれない。 「と言うわけで、まあゆっくり考えて欲しい。」 そういうと部下に酒を持ってくるように命じて、席から離れる。 「敢えてそなたが酒が好きなことを分かっていて、敢えて我慢してもらったのは、真剣に話を聞いて欲しかったからだ。 言うことは言ったから、ここにいる人間に迷惑を掛けない程度なら酒を飲んでもかまわないから、今日は客人としてゆっくりしていけばいい。」 そういうと言うべきことは言い終えたという感じで、玄徳は席を外していった。
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2008年07月19日(Sat)▲ページの先頭へ
月姫抄11
それ以上に今は信長の軍と主様の軍が戦っている最中である。余所者の中に信長の手のものが入り込んでも不思議がない状況である。
どう見ても怪しいとしか思えないほど、うさんくさい男をどうして身の回りに置かなければならないのだろうか。 「なにとぞお願い申し上げます。上方には知り合いも多く絶対に月姫様にはご損はさせません。なにとぞなにとぞ。」 まるで詐欺師のような台詞を並べ、おかしくなるほど年上の男が頭を下げる。余計嘘っぽく聞こえてはいるものの、その様子には騙す者の陰湿な感じはなく、狂言を見せられているような滑稽さがあって、自然に気難しさを見せてしまう月姫の口元を緩ませてしまう。 (まぁ……いいか。) 明らかに怪しい人間よりも陰で何を考えているか分からない人間を置く方が、余程危険が多いかも知れない。何より、この男には武士が持つ人を殺す事に対する傲慢さや罪悪感が無い事や、男である事や武士である事への虚栄心が無い事、子供のように欲望や行動に純真な所は、側にいて不快な感情を持たせないのである。 「折角の維盛殿の申し出であるから。いつもいつもご厚意をお断りして居るのだから、ありがたくお受けしたいと思います。ただ……」 そう言いかけて月姫は心の中で呟く。 (一つどうしても気に沿わない事がある。) 浦島家家中の者が全て信長の海軍などに負けないと思っているのに、維盛だけはそう思っていない。のである。 「まあ、よい。それでお主はなんと呼べばよい。」 月姫が男に問いかけると、男は顔を上げニコニコと見つめ「それは月姫様が、お好きに呼んで下されば結構です。」と言ってへらへらしている。 (……、普通。身分が低い者はおそれおおくて顔を上げてジロジロ値踏みするような失礼なまねはせぬのに、この男は厚かましいな。) 「じゃあ@禿げネズミ A色魔ザル Bスケベジジィ 折角だからこの中で好きな物を選んで下されれば……。」
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2008年07月18日(Fri)▲ページの先頭へ
猫の散歩道−使用前・使用後−
猫は思った
使用前・キャイーン天野 ↓ 使用後・本田昌毅医師 ・・・・・一体天野君に何があったんだろう。 注※顔の系統は近いですが、別人です。 ☆☆☆ 昨日三国志更新した筈のデータが消えてしまい 落ち込んでいます。 ので、木曜日・金曜日はお休みいただきました。
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2008年07月17日(Thu)▲ページの先頭へ
猫の散歩道−猫は思った「なまらファイター○中...を見て」
猫は思った。
もしもハイスクール奇面組を実写化するのなら 一堂零は、日本ハムのダルビッシュがいいと。 −あのアゴのラインが −あの髪の毛のハネ具合がね −あとあの目がなんとなく ・・・・・・よい子は分からなくていいですっ
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2008年07月16日(Wed)▲ページの先頭へ
猫の散歩道−名探偵及川詩織の完全犯罪−
自称名探偵及川詩織
趣味「猫と遊ぶこと」というか現実世界で探偵で食えるほど世の中は甘くない。 ☆☆☆ そういう探偵の所へ珍しく人間がやってくる。 後輩の女の子だ 彼女は暇な探偵にあることを聞いてくる。 「完全犯罪ってあり得ますか?」 「完全犯罪?」 完全犯罪は推理小説の王道だ。興味はあるが、大体そう言うネタは出きっている。 小説なら勝手だが、現実ではあり得ない その見解をふまえて後輩は事情を説明する 「実は、大牟田さんって居るでしょ」 「ああ、還暦の筋肉質のおじさん」 年を食っているにもかかわらずぼるどあっぷしていて自分よりはよっぽど力が強そうな奴である。ポーズを取っているときはもちろんであるが普段もニコニコしていて精神的にも健康そのものの輩である。 そう言えばこいつが、オッサンは若いキャバ嬢と結婚していたと話していたっけ 「その女が若い男と出来ちゃって邪魔になったらしくて、大牟田さんに毒を盛ったらしいの。それもバレないように少量の毒をゆっくり継続させて服用させることで・・・」 (ああ、そういうの時代劇にあったなぁ。) そう思ったが詩織は面白いので黙って聞く。 「先輩が前に言っていたと思うけれど 現在解剖の出来る医師って県に一人ぐらいしかいなくってよほどのことがない限り解剖が行われないから。生前中に事件にならない限りなかなか犯罪にはならないというのなら、今回のも完全犯罪になっちゃうでしょ 大牟田さんいい人だったのに邪魔になったから殺すなんて許せない。」 彼女はそう憤った感じでつぶやく。 憤る気持ちは分かるし、確かに今各所の予算や人員が減らされている今犯罪の検挙率は悪くなっている。 しかしだからといって完全犯罪なんて骨の折れることはかなり面倒なことなのである。 でも「ばれない」とか甘くと言うよりは世間をなめているような楽観的な犯罪者が今は多いと思う。 「そのての犯罪は完全犯罪なんて言ったら笑っちゃうよ。 そう言う死体は消失しても犯罪って分かっちゃうものだよ 全く近頃の若者は『水滸伝』ぐらい読んでいないのかなぁ」 ☆☆☆ 先輩はそう言うが遺体は遺族の意志で解剖もなく、通夜も終わると翌日多くの人の見守る中火葬される。 ボルドアップされた体も、犯罪の痕跡も一緒に高温で焼かれて灰になっていく 「あっ」 本来高温で焼かれた骨は限りなく真っ白になる ところが焼き出た骨は長い間の毒に浸食され、真っ黒くすぐに壊れそうなほどもろかった。 異様なその骨の姿に明らかな異常と犯罪を感じ参列者はざわめく 「なるほど」 犯罪者は悪事はばれることを軽く考えて行う人間と、絶対にばれないと思うから犯罪を起こす人たちの二通りがあるという。 後者のような輩が世の中を甘く見るから犯罪は減らないのである。
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2008年07月15日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−16−
一方玄徳に連れ去られる張飛は素直に言うことを聞く男ではなかった。
「はなせてめぇ、俺様をどこへ連れて行くんだ。俺様が本気になればお前なんか。」 馬上なのにまだだだをこねている。 そんなことをしていればかなりの速度が出ているので馬から落ちれば大けがをするかもしれない。 (まあ、谷から落としてもこいつなら死なないのかもしれないが。) 「飯を食わせてやる。」 玄徳は短く言い放つ。高圧的かもしれないが、不安定な荷物を運んでいる以上、いくら馬術に優れていると言え、余裕がないのである。 張飛は飯と言われておなかが一瞬なってよだれが出そうになる。 「テメエ、誰が飯なんかで連れられるか。」 慌てて文句をあげたが、「そうか」といって玄徳が突き落とそうと、慌てて「ちょっと待て、食ってやっても良いぞ。」と譲歩する。 「そうか、飯を食べて酒が抜けたところで話そうや」 そう言って玄徳は馬を走らせ、張の商店の住み込みへ案内する。 「見せたい物がある」 そう言うと、玄徳は奥へと案内する。 そこでは1000名の若者達が槍を振って稽古をしている。 「たいしたもんだ。」 張飛は素直に感心する。彼自身50人の人間を集めるのに苦労したのである。その苦労を考えると深い意味はなく感心した。 「いや、駄目だな。」 玄徳はせっかくほめられたのに、あっさりと否定すると、食事の席を用意している奥の間へ案内する。 「どうして。これだけの人数は一つの部隊ぐらいあるぜ」 疑問の声を上げる張飛に対して、玄徳はその彼を指さし断言する。 「お前のような一騎当千の者なら、簡単に蹴散らされるだろう。この軍隊にはまだ二つ足りないのだ。お前のような勇気とあともう一つが。」 「お世辞かよ。冗談はよしてくれよ。」 照れていても自尊心が高い上に単純な男である。張飛は悪い気がしなかった。 「……冗談だと思うのか。」 玄徳も笑う。違う意味で、 「さっき言っただろ。これからの戦いは騎兵の時代。一瞬の駆け引きが勝利を分ける時代になると、そう言う場合お前のように本当に勇気のある者が居なければ所詮烏合の衆。相手の気勢を制することが出来ない。 気勢を制することが出来なければ、後手に回ることになり不利になる。そう言う時代になっていくんだ。これからの乱世は。」 それだけ言うと、玄徳は張飛に食事を勧める。 すると張飛はついいつもの癖で「酒をくれ。」と周りの者に頼む。 「それは出来ない。」 玄徳は笑ってそれを拒絶する。 「酒を飲ましてもらえば、貴様の手下になっても良いと思うかもしれない。」 今度は張飛が子供のような無邪気な笑顔で、冗談めかしくいう。 まるで虎が猫のようにじゃれてきているような様子である。 でも玄徳は少し気を許しつつある張飛に対して真顔で言う。 「よせ、酒を飲んで暴れれば貴様を切るかもしれないぞ。」 「がははっ。テメエのような非力者にたとえ酔っていたとしても俺を切れる訳がなかろう。」 「だったら、酒を飲んでいい気に眠ったら剣を突き刺してやろうか。」 冗談めかしていって居るが玄徳は全く笑っていない。むしろその目つきはちゃかす張飛をとがめるような色を帯びている。 「テメエ、やっぱり俺を殺そうと。」 (殺して何の得があるんだ。) 玄徳は口に出さなかったが、その言葉を受け流す。 「もし殺す事が出来なくても、腕一本ぐらいなら切り落とせるかもしれない。その手の腱を一本ぐらい傷付けることぐらいなら出来るかもしれない。 そうなったら、せっかく万を超える軍と渡り合える能力と技量があるのに、こんな事でその力のいくらかを失うことになったら、せっかくの力がもったいないとは自分で思わないのか。」 突然の声掛け。その時張飛はそんなことを考えたこともなく、言われたこともなく首をかしげる。
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2008年07月14日(Mon)▲ページの先頭へ
猫の小道「命日」下編
「これって猫のブラシだよな。」
間違って鞄に入っていた物を取り出して、取り替えようと家に戻る。 その目の前を着飾った妻が出かけていく。 ☆☆☆ 「そういえば、今日は妻の初恋の人の命日か。」 事情が分かり頭では納得したが苛立った気持ちが頭をよぎる。 なくなってから月日がたっているのに、未だに妻に残る奴の残像が憎たらしく、同時に自分でない人間を大切にしている思いに裏切られたような気持ちがする。 「・・・なによ。木津ちゃん・・・怖い顔をして弁当食べていて。」 ぽんと背中を叩かれて、男はあわてる。しかもそれが先輩で違う部署に今は勤務している君津であることを知ると余計慌てる。 「どうしたの奥さんに逃げられたような男のような顔をして。」 意地悪く冗談のつもりで相手は言ったと思われるが、図星だったので思わず黙る。 とはいえ色々こいつを相手だと気まずいので席を外す。 「あっ逃げるんだ。そんなに初めてのキスの相手が怖いの」 「ぶっ。」 思わず吹き出す。 「なして、そんなことを言うんだ。昔の古傷をえぐるようなことを。」 普通そう言うことは黙っている物だし、昔の恋人なんて気まずいだけに決まっている。 「それなのに良く、そんなことを言えるよな。」 「良いじゃない。私にはそんなことも思い出なのだから。」 彼女はそう言って平然としている。 まぁ彼女は結婚していないから、そう言うことを言えるのかもしれない。一方の男の方は結婚しているからそう言うことを気にしてしまうのである。 (妻もそうなのだろうか。彼女にとってもあいつは思い出なんだろうか) 「なぁ、女はいつまでも昔の思い出を忘れられない物なのか。」 (俺は、こいつのことを必死に避けているのに。) それに対して、彼女は首を振る。 「昔の思いでは残念だけど時間が勝手に消し去っていく。 だから大切にしたい思い出だけは大切にしたいと思ってしまうものなのかも。」 そう言うと、女は男の弁当の中から卵焼きを一つつまみ口にする。 「でもだからといって、未練があるわけではないの。 貴方と分かれなくて結婚なんかしてたら上手くいくはずがなかったから。 だって、こんなにおいしい卵焼きを作ったり、貴方のそのシャツを毎日洗ったりなんか出来ないし。」 「確かに。」 こいつは顔に似合わず、整理が苦手でいい加減な性格をして、なにより仕事が大切な女である。あまり主婦のイメージなんかない。 「結局、結局永遠の愛と言うけれど…… 思い出なら好き勝手で良いのかもしれないけれど、永遠に一緒にいると言うことは結局現実なの。現実の中でお互いが必死になって家庭を作っていくしかないと思うの。」 だから。そう言って立ち上がり、卵焼きをもう一つつまみ立ち上がる。 「だからこんなおいしい卵焼きをつくる奥さんを大事にしなさい。 多少気にくわないところがあったとしても、お互いに現実を作っていく気持ちがないと成立しないわけだし、今ある現実は一体何出てきているのか。 色々あるのかもしれないけれど、結局お互いが一番に思うからこそ今があることを忘れないで。」
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2008年07月13日(Sun)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−15−
その数の多さに、ある一つの結論に結びつく。
「玄徳の野郎。油断させている間に手の者を使って数で俺様を殺そうとしやがって。」 そう苛立ちながら、突然草むらから襲いかかった人影を交わすと、矛で刺し貫こうとして、あわてて止める。 「お前は俺の手下の一人。玄徳の手下から俺様を助けてくれるとは見事な忠誠心」 と言いかけてあわてて、そいつの二撃目をよける。更に息をつく暇もなく、後ろから竹槍が襲ってくる。 あわてて張飛はよけたが、腕をかすったせいか服の下から血がにじみ出る。 「テメエら。俺の手下だろ、何故玄徳を襲わず俺を襲うのだ。さては玄徳にお前ら買収されたのか。」 「うるせぇ、そんなの関係ねー。胸を押さえてテメエが俺達にどんなことをしたのか考えてみろ。」 そう彼らが叫ぶので、張飛はあわてて胸を押さえ考えるが思い当たる節がない。 「裏切りは、男として恥ずかしくないのか。俺はお前らに恨まれることはない。」 彼は断言して不思議そうな顔をする。だけど、関羽にとって見れば彼らが怒るのは別段不思議ではない。酒を飲んで暴れては人を殴ったりすることを楽しんでいる男である。そんな奴に彼らはただ張飛への恐怖のあまり従っていただけである。 その恐怖が玄徳に軽くあしらわれたことで壊れた。そのチャンスを突いて積年の恨みを晴らしたいし、それ以上に従い続けていればいつぶん殴られて殺されるか分からないからその恐怖を取り除きたかったのである。 「テメエのような酒乱野郎に従っていれば俺達の命がどうなるか分かったもんじゃねえ。いつも叫ぶので飲んで意味もなく俺達を殴ったり鞭でうちつけたりしやがって。 殺される前にぶっ殺してやるだけだ。」 そう言って襲いかかった瞬間 「待て。」 と短く叫んで玄徳が彼らとの間に立つ。 「何だこの耳デカ野郎。」 張飛達の手下は殺意で気が立っており、言ってはいけない言葉を口にする。 一瞬玄徳は不愉快そうな顔をしたが、すぐにいつもの丁寧な口調で彼らに言う。 「なぁそう言う心配はもっともかもしれないが、彼はこの後10万の兵を向かい打つような大将になる男だから、勘弁して見逃してもらえないだろうか。」 「うるせいっ、敵の施しなど受けん。こんな雑魚など俺様なら一蹴してやる。余計な口出しをするな。」 助けられる形になってしまった張飛は思わず玄徳に抗議する。 確かに彼の言うとおり張飛が彼らに囲まれたとしても殺されるとは玄徳は思っていない。 「とはいえ、降りかかる火の粉と言え多くの者を傷つけるようなことがあれば州の役人達もほっておいてはおかぬだろう。 お前は一軍の将として大軍を迎え撃てるだけの力を持つ豪傑だ。 つまらないことは気にするな。得な方を取れ。 君たちもこいつを殺せたとしても、何人の仲間が死に傷つくのか分かったものではない。無理をするよりもそれよりは私にここは任せた方が得だと思うよ。 今までのようにお前達を傷付けたりしないことを約束しよう。」 「うるせいっ」 一度殺すと腹をくくったせいか、張飛の手下達はかなり気が荒く説得など、聞く様子もない。もとより玄徳もこれほど冷静さを失っている双方に説得が通じるとは実際は思っていなかった。 無理矢理、張飛の体を抱き起こすとにらみ合っている彼らを前に強引に馬に乗せる。 「約束は守る。だから失礼する。」 そう玄徳は短く良い、張飛を乗せたまま駆ける。 手下達は所詮手下なので馬に乗る者だと居るはずもなく、呆然と立ち去る玄徳らを見送るしかなかった。
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2008年07月12日(Sat)▲ページの先頭へ
猫の小道「命日」上編
その日は普段と特に変わらない一日の筈だった。
君は僕に餌をあげると、何気ない顔でいつものようにご主人を送り出した。 「さて」 そう言うと彼女は服を着替え始めた。 結婚してから主人の趣味なのか黒とか、白とかそう言う落ち着いた色の服を着ていた彼女だが今日に限っては桃色の可愛い服を着た。 そしてピンクの口紅を付けながらいつもの彼女とは違うように、少し前に流行った鼻歌を口ずさみ、そして家から僕を追い出すと、白いマーチで出て行った。 ☆☆☆ 真っ青な空に浮かぶ雲のように、白いマーチは高台へと上っていった。 そして、真っ青な湖の見える墓地でその車は止まった。 「ふう。」 ため息を一つ付いて意を決して高台の墓地の更に上の方にあるお墓へ上っていく。あまりそう言うところを歩くには向かないハイヒールで一年に一度しかはかないような靴で、一年に一度しかはかない服で上っていくのは意外に難儀なことだった。 「さて、」 そう言うと、ポケットからたばこを取り出し口に挟み、息を吸うようにしながら火を付けた。 そしてそれを線香の代わりにお墓に立てて、手を合わせる。 「絢ちゃん。来たの。」 そんな声が背中の方からかかる。振り向くと性別は違うと言え、あの人が立っているような……そんな雰囲気を持つそんな女性が立っていた。 「こんばんわ。」 「絢ちゃん。来てくれてありがとう。 でも貴方はもう結婚したのだから、無理にここに着ない方が良いわよ。 旦那さんの木津さんにも悪いし。」 拒絶すると言うよりは、諭すように女性はほほえむ。その笑顔の口元に去年なかったしわがあり、目元もどこか元気なく、この一年でめっきり年を取った感じがした。 「こういうことを言うのも変だけど。すごく何も見えなくなるぐらい息子のことを好きだったから分かるけれど、でもいつまでも死んだ人間を思い続けることは、旦那さんが居るとか居ないとかにかかわらず良くないわよ。 貴方は欠かさず命日に来てくれるのはうれしいけれど、もう彼の友人達も親戚も貴方のように毎年来る人間なんか居ないのだし。」 そしてもう一度言う 「だから、死んだ人の事はもう忘れてしまいなさい。こんな所を貴方の旦那さんが見たらいい気もしないだろうしね。貴方にとって木津さんが一番大切だから。」 「私にとっては死んだあの人よりも、木津が一番大事です。」 黙っていた彼女は、きっぱりとその女性に言った。 「私は、私を愛してくれる木津を愛しています。364日間は彼のことだけを考えて生きています。 でも一年に一日だけは死んだあの人のことを思ってはいけませんか。」 「だって、あの人は君でない好きな人のために死んだのだから。一番好きな人じゃないのだから……」 女性はそう言いかけて、止める。その現実に一番辛いのはあれだけ彼のことを愛した絢自身であり、かなり痛い言葉であるはずだから。 でも彼女は笑顔で、痛みも悲しみもない様子だった。むしろそう言う物を超えてしまったかのような穏やかな悟りきった表情であった。 「それは知っています。もしかしたら私が今1年に1日だけ思っていても、向こうは全く好きでないかもしれないことも。」 「絢ちゃん」 「おばさま。人の愛情って本当にすべてを好きになる言うことがあるのでしょうか。私はそうであるとは思わない。木津だって100%私を愛することなんかあり得ないと思います。人は誰しも欠点とか嫌な部分はあるのだから。」 その時もう一度絢は確認する。死んだあの人に愛情とそれとあるいは同じぐらい嫉妬と憎しみがあったことを。 「だからこそ、誰かを愛すると言うことはお互いに努力したり、嫌な部分を受け入れたり我慢したり、優しくしあったりしないと成立しない。」 所詮は恋人であったり、夫婦であったりしても、自分ではないから。 「だから木津のために木津だけをほとんど考えて私は生きて居る。 私が、一年に一日だけあの人を思うのも結局は1%にも満たない気持ちにすぎないんです。」 そう言うと彼女は彼の墓前で手を合わせる。同時に木津に対しても心の中で手を合わせる。 (だから、貴方は自分のことを忘れろと言うけれど、一年に一度だけは貴方のことを思うことを許してください。) (私という人間の何分一かを作ったのは紛れもなくあの人だから、一年に一度だけはその部分を捨てられないから、許してください。)
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2008年07月11日(Fri)▲ページの先頭へ
棘
私に残った物は
突き刺さった言葉の棘 ずっと痛みを感じながら 抜き取る勇気も 抜き取る方法もなくて 傷が癒えたとしても いつまでも置きみやげのように 心の中にとどまり続ける あの時だったら簡単に抜けたのに って、見る度に痛みが走る度に 後悔をして でも、時が経って余計抜けなくなって 真っ赤に焼けた針でしか 突き刺すような痛みでしか この棘は抜き取れず このまま貴方への痛みが ずっと残って苦しまないと いけないのでしょうか?
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2008年07月10日(Thu)▲ページの先頭へ
猫の散歩道−歌姫−
「おいで真琴」
そう彼女は僕を呼び頭をなでる。 真琴という名は彼女が言うにはとある小説に出てくる香港の「歌姫」の名前らしい。 他ではゴンゾーとか、けむんぱすなど呼ばれていることを考えれば、性別は間違っているが、それ程悪くない名前なのだろう。 彼女は、僕という猫に餌をくれる人の一人だ。 出会いはとある地方都市の駅で路上ライブをやっている時、客が居ないときに僕を見つけチーズをくれたのが出会いだ。 その彼女は不機嫌そうだった。彼氏が居て仲良くやっているようでずっとこの所機嫌が良かったのだが、最近「彼は大人でずっと私よりもしっかりしている」とか「やさしくしてくれる」とかほめてばかり居るのに、その割にだんだん暗くなってきている。 というか暗くなっていくと言うよりも、些細なことで感情的になったり、落ち着かなかったり・・・何かに怯えているような感じがした。 携帯がなると決まって最近は怖い顔になる 「幸之助っ。怒っていないよ。私がわがままなのは分かっている。でも、ちょっと」 何事か話していたが彼女は力もなくうつろな感じで返事をするばかりであった。 そして電話を切る。 「分かっているのよ。このままじゃ駄目だって言うことぐらい。音楽でご飯を食べていく事が大変なのはコウちゃんの方が良く分かっていることも。」 そういいながら、彼女は今時珍しいカセットデッキを再生させる。 アコーステックの音楽が静かな部屋の中で流れていく。 心地よい音楽の中、彼女は僕の体を抱く。 「この音楽はコウちゃんと最初に会ったときに弾いてくれた音楽。 すごくギターが上手でとても心地よくていつまでも聞きたいって思った。」 この音楽を聴いてから余計音楽にのめり込んだ。 だからこそ「せっかくの仕事のチャンスだし、結婚が近いからもっと二人の時間を増やしてほしい」と言われた時、裏切られた気がした。 「でもコウちゃんの方が年上だし、絶対正しいんだよね。」 −だって、私よりもずっと上手なコウちゃんでさえプロになれなかったのだから。諦めなければならなかったのだから。 同じ道を歩いてきたから、なにより世界で一番私のことが好きだからこそ、敢えて心配して大事にしているから、そう言ったのに。 誰より私が貴方の優しさを知っていなければいけないから、貴方の言葉を大切にしなければならないのに。 「なのにどうして涙が落ちてくるの。」 僕は彼女の腕の中からぴょんと飛び出すと、部屋の片隅においてあるギターのそばで丸くなる。 「そうか、真琴は私のギターの音を聞くと気持ちよさそうに眠るんだよね。」 何かを吹っ切ったように一つ息を吐き捨てて、彼女は弾く。 僕は猫だから、音楽のことは分からない。 まして猫だから彼女を勇気づけることも、彼のように猫の僕の人生よりも長い彼女の人生を思い考えてあげることも助けることも出来はしない。 でも許されるのなら彼女のギターを聞いていたかった。 こんな風にずっと彼女のギターを聞いて眠っていたかったんだ。 FIN 連載「猫の散歩道」 とある地方都市の猫の見つめた風景 あるいは猫の居る風景 ショートストーリーまたは駄文 掲載中 一話完結型なので、それぞれ独立した話です。
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2008年07月09日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−14−
だから敢えて相手の間合いにまで張飛は仕掛けない。
玄徳はまっすぐに剣を振り下ろす。 お互い手綱をもって戦う分片手で剣を振るうが、長い矛に比べて剣の方が支点が短い分、玄徳の方が有利であるが、張飛の方が圧倒的に握力が強い。 あっさりと玄徳の剣を矛ではじき飛ばすと利き腕を狙う。 だが、その手綱を持つ利き手が張飛の視線から消える、 (手綱を放した?) 次の瞬間、思いもしないところから剣が落ちてくる。 「くっ」 何とか野性的な運動神経でそれを視界にとらえとっさに矛で体をかばう。 (手を手綱から放して、二刀流で剣を振りかざしたのか。) 一瞬の驚愕で防御が遅れ、その分バランスを崩し馬から落ちる。 「くそっ」 地面にたたきつけられた痛みで胸を強くたたきつけられ息が詰まり涙が出る。それに対して手綱を放した玄徳はそのまま右左の両手でそれぞれ剣を手に構えている。 落馬した張飛と対照的である。 「かっ・・・・」 「勘弁ならないか。」 関羽は張飛の悔しさを代弁したかのようだが、その瞬間張飛は素の状態で玄徳の並はずれた馬術に心ひかれていた。 (かっちょいいっ) 張飛は根が単純なのである。 とはいえそれで負けを潔く認められるほど人間は出来ていない。 「負けるもんか」 そう思いながら、がむしゃらに玄徳の所へ徒歩で襲いかかろうとする。 その刹那脚に火箸を付けられたような熱さを感じ痛みを感じる。 「なんだ。」 もう一度転び、あわて手足を見る。脚から鮮血が流れる。 「畜生。」 叫びながら立ち上がろうとする最中、自分を囲むように人のうごめく気配がする。
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2008年07月08日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−13−
「劉備という奴の馬があれだけ走るのが分かった以上、このままだと相手が絶対有利だ」 よく考えれば玄徳の馬は多分支援者の張の用意した馬だ。張はこの辺の幽州一帯の馬を預かっている商人だから。 (多分玄徳の乗る馬は売り物の中で特に選りすぐりの良い馬だ。) 少し言うことを聞かないだけで良い馬でも「肉にして売っちまうぞ」と言うような張飛に良い馬が手にはいるわけはなく、すこし考えただけで馬の優劣の差ははっきりしている。 玄徳が戻って来たところで関羽は彼に言う。 「玄徳殿、馬を変えてもらえぬか。このままでは私達が不利だ。」 「……??馬は乗り慣れた物が良いと思うが。」 そうは思ったものの玄徳は執着することなく馬を下りて手綱を張飛に渡す。 「お前の馬を貸せ。」 代わりに手下の中で一番調教が済んでいない気性の悪い部下の馬を彼が乗るように張飛は指示をする。 「なるほど良い馬だな。」 与えられた馬は骨量が大きく馬格がしっかりしていて前足も普通の馬よりも太い。 あれだけ走るのも納得いく気持ちで張飛はその馬にまたがった。 しかしその瞬間白目がぎょろっと敵意を込めて彼を見つめた瞬間、叫び声のようないななきをあげて立ち上がろうとする。 「こら。やめろよせ。」 張飛は何とか首にしがみつき振り落とされないように耐える。同時に馬の首をきつく腕で締めて力づくで馬を押さえようとする。 一行の玄徳の方の馬はそれ以上に暴れたが何事かもないようにバウンドする馬の体に合わせてタイミングを取りながらされるに任せていたが、逆に馬の方がすぐに疲れて大人しくなる。 「いいうまやなぁ。」 気に入ったように玄徳は感嘆の声を上げる。 (どこがや。) 乗せられている馬も気性が悪く決して良い馬とは言えない。それなのに玄徳は楽しそうに乗りこ |