ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/07/15
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2008年07月15日(Tue)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−16−
一方玄徳に連れ去られる張飛は素直に言うことを聞く男ではなかった。
「はなせてめぇ、俺様をどこへ連れて行くんだ。俺様が本気になればお前なんか。」 馬上なのにまだだだをこねている。 そんなことをしていればかなりの速度が出ているので馬から落ちれば大けがをするかもしれない。 (まあ、谷から落としてもこいつなら死なないのかもしれないが。) 「飯を食わせてやる。」 玄徳は短く言い放つ。高圧的かもしれないが、不安定な荷物を運んでいる以上、いくら馬術に優れていると言え、余裕がないのである。 張飛は飯と言われておなかが一瞬なってよだれが出そうになる。 「テメエ、誰が飯なんかで連れられるか。」 慌てて文句をあげたが、「そうか」といって玄徳が突き落とそうと、慌てて「ちょっと待て、食ってやっても良いぞ。」と譲歩する。 「そうか、飯を食べて酒が抜けたところで話そうや」 そう言って玄徳は馬を走らせ、張の商店の住み込みへ案内する。 「見せたい物がある」 そう言うと、玄徳は奥へと案内する。 そこでは1000名の若者達が槍を振って稽古をしている。 「たいしたもんだ。」 張飛は素直に感心する。彼自身50人の人間を集めるのに苦労したのである。その苦労を考えると深い意味はなく感心した。 「いや、駄目だな。」 玄徳はせっかくほめられたのに、あっさりと否定すると、食事の席を用意している奥の間へ案内する。 「どうして。これだけの人数は一つの部隊ぐらいあるぜ」 疑問の声を上げる張飛に対して、玄徳はその彼を指さし断言する。 「お前のような一騎当千の者なら、簡単に蹴散らされるだろう。この軍隊にはまだ二つ足りないのだ。お前のような勇気とあともう一つが。」 「お世辞かよ。冗談はよしてくれよ。」 照れていても自尊心が高い上に単純な男である。張飛は悪い気がしなかった。 「……冗談だと思うのか。」 玄徳も笑う。違う意味で、 「さっき言っただろ。これからの戦いは騎兵の時代。一瞬の駆け引きが勝利を分ける時代になると、そう言う場合お前のように本当に勇気のある者が居なければ所詮烏合の衆。相手の気勢を制することが出来ない。 気勢を制することが出来なければ、後手に回ることになり不利になる。そう言う時代になっていくんだ。これからの乱世は。」 それだけ言うと、玄徳は張飛に食事を勧める。 すると張飛はついいつもの癖で「酒をくれ。」と周りの者に頼む。 「それは出来ない。」 玄徳は笑ってそれを拒絶する。 「酒を飲ましてもらえば、貴様の手下になっても良いと思うかもしれない。」 今度は張飛が子供のような無邪気な笑顔で、冗談めかしくいう。 まるで虎が猫のようにじゃれてきているような様子である。 でも玄徳は少し気を許しつつある張飛に対して真顔で言う。 「よせ、酒を飲んで暴れれば貴様を切るかもしれないぞ。」 「がははっ。テメエのような非力者にたとえ酔っていたとしても俺を切れる訳がなかろう。」 「だったら、酒を飲んでいい気に眠ったら剣を突き刺してやろうか。」 冗談めかしていって居るが玄徳は全く笑っていない。むしろその目つきはちゃかす張飛をとがめるような色を帯びている。 「テメエ、やっぱり俺を殺そうと。」 (殺して何の得があるんだ。) 玄徳は口に出さなかったが、その言葉を受け流す。 「もし殺す事が出来なくても、腕一本ぐらいなら切り落とせるかもしれない。その手の腱を一本ぐらい傷付けることぐらいなら出来るかもしれない。 そうなったら、せっかく万を超える軍と渡り合える能力と技量があるのに、こんな事でその力のいくらかを失うことになったら、せっかくの力がもったいないとは自分で思わないのか。」 突然の声掛け。その時張飛はそんなことを考えたこともなく、言われたこともなく首をかしげる。 |
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カレンダ
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