ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/07/06

刹那のミニミニ小説+連載小説のサイト。

2008年07月06日(Sun)▲ページの先頭へ
ニアミス。
長い病院の廊下・・・
すれ違う貴方は先生で、私はただの患者。
たけど私はここで貴方に通り過ぎる度に、心臓が痛くなる程ドキドキする。
貴方にとってそれは一瞬だけど、私にとって貴方の全て・・・
優しい声、優しい瞳、優しい指・・・そして意志のはっきりした心。
全てを思い出してしまう・・・そんな一杯の時間。

貴方にとってそれは些細な事かもしれないけれど、
貴方にとって私は、通り過ぎる一人の患者に過ぎないけれど、
私にとって貴方は一杯になる程好きだった。

貴方に好きな人が居る事走っていたけど、ブレーキに何かならなかった。
好き過ぎて、貴方の心も体も・・・
そして未来も、憎しみも、命も全部、全部私は欲しかった。

その日私はナイフを持って長い廊下で、
貴方と出会える確信を持って、
貴方を奪う気持ちで廊下を歩く。

貴方が私の所に近付いてくる。
知っている。貴方がみんなに尊敬されるお医者さんである事私はとても嬉しくて、
同時に貴方が誰かに笑う事・・・とても辛かった事。嫉妬していた事
それは貴方にとってそれは些細な事だと思うけど・・・
私にとって貴方の些細がとても大きかった。

だから・・・
通り過ぎた瞬間。私はナイフを突き刺した。

「優美ちゃん久しぶりだね。足直ったの・・・良かったね。」
「・・・先生ありがとうございました。」

いつものように何事もなかったかのように装い、
私達はお互いの進むべき所へ別れていく。

「ドラマみたいに・・・
いくら好きでも・・・・先生を刺せる訳ないじゃん。」
私は自分を馬鹿にして笑う。
「刹那だったけど先生に出会える、この廊下が好きだったんだよ。」
一瞬だけど、出会える瞬間。声の聞こえる瞬間大好きだった。

先生の優しい声、優しい瞳、優しい指、大好きすぎて、壊せるはずがない。
誰も居ないのを確認すると中庭の池に汚れのないナイフを投げ捨てる。

あの瞬間痛かったのは私の心。
先生の変わりにナイフを心に突き刺した。

先生の幸せなら、私は心でなく体にでもナイフは刺せるよ。
先生は気が付いてくれなくても良い・・・
でもナイフを刺してもこの想いは本当は殺せないから。

それって不毛な片思いかもしれないけれど・・・
イケナイ気持ちかもしれないけれど、
私の恋愛。


   


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カレンダ
2008年7月
   
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