ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/07/02

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2008年07月02日(Wed)▲ページの先頭へ
真三國志関羽編−10−
 「俺様はこの動乱を鎮めるために兵を挙げる。だから、俺様のために力を貸せ。人々を救うためだ。嫌とは言わせないぞ。」
 それに対して玄徳は少し迷惑そうな顔をする。
 (そりゃそうだ。正義のためと言うことと、髭男の家来になるのとは全く関係ない話だから。)
 関羽は説得とも言えない張飛の高圧的な脅しをあきれながら聞いている。
 しかし玄徳はまじめな顔をして言う。
 「すまんっ。この馬ちょっとびっくりしているから、もう少し小さい声でお願いできないか。」
 そう言いながら小刻みに手綱を動かしながら馬を落ち着かせようとしている。
 器量が大きいのか、あるいは何も考えていないのか張飛の声の大きさや、力強さについても全く動じた様子はなく、その言葉も軽くあしらうようだった。
 「貴様。漢が真剣に説いているのにその態度はなんだ。ぶっ殺すぞ。」
 張飛は矛を玄徳に突きつける。
 でも玄徳は何も言わずに馬を下りると、同じ目線に立ってから逆に問いかける。
 「私に貴方の部下になれと言うことか。」
 直線的に聞かれて、少し対面的な恥ずかしさを彼は持ったが、同時に話し合いというのは元々彼の性分に合わないらしく、面倒くさい説得をしなくて良いと言うの事が彼にとってはうれしくすぐに「そうだ。」と言い切る。
 「だったら・・・・貴方に問う。私の主になりたいというのなら、将として今の時代何が必要と貴方なら思うのか。」
 「貴様は、どうせ腐れ儒士のように、やれ礼節だの、政治力だの、知謀だといいたのだろ。」
 (いつも頭の良い奴らはそんなことをいいやがる。)
 張飛は説得だの、演説など、そう言うのが大嫌いというのは結局そう言う奴らが、学問を鼻にかけて張飛のような豪傑を巧みに言いくるめ馬鹿にしてくるのがどうしても嫌だった。
 ああいう輩が口先だけで勝利して馬鹿にしたりするのが、そいつらが政治を取り仕切り、軍を率いて、その結果がどうなのか。
 ちっとも民は豊かにならないし、犯罪は消えない。いくらそんな輩が知恵を誇ったところで、黄巾党に対してまるで歯が立っていないのである。
 「それなのに、人のことを馬鹿にしやがって。」
 テメエもそんな輩か。と完全に目が据わった様子で吐き捨てる。
 どうやら感情の高ぶりで直前まで飲んでいた酒が回っているらしく、手に負えない状況になりつつあるらしい。
 一方玄徳も同感な部分があるらしく、笑っていたがさっきのような無関心な愛想笑いから、少しだけ優しい笑顔に変わる。
 (この男の言うように。理屈や理想だけを振り回して、他人の痛みを考えようとせずに、義務や強制だけを押しつける輩がこの世界を駄目にした。)
 と玄徳は思っている。だからこそ一族の有力者がせっかく出資してくれたのにもかかわらず、彼自身学問が好きになれなかったのである。
 (ちなみに「だから、やる気はあったけれど、勉強をする気持ちになれなかったのは、そう言う腐った知識人達が居たからだ」と思いこんでいるが、実際はそんな輩を無視して知識を深めればいいのであって、単に遊び好きの自分自身の怠惰をちゃっかり人の所為にしていたりする。)


   


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カレンダ
2008年7月
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