ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/05
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2008年05月31日(Sat)▲ページの先頭へ
カスタネット・ガール 上編
夏見は世界的に有名な新進気鋭のカスタネット奏者である。
しかし、みんなからは「凄いね」といわれたことがない。 どうしても簡単な楽器と思われているらしく、 「へー」と言ったあと、どの人にも意地悪そうな顔をされ、 (「でもカスタネットなら、私だって上手に出来るよ」)と心の中で言われているような感じがする。明らかになめられているというか、他のバイオリンやピアノの第一人者が尊敬されるのと較べれば格段に低く見られているのである (まあ、自分でも凄いとは思わないけれど) 大体にして、演奏して欲しいという需要がない。 一度彼女の高名を聞きつけたデパートの店長が、仮面ライダーショーとジョイントでソロコンサートをしてくれたが、その時の場の寒さは極寒のシベリヤよりも凍えそうで、気まずさの余り凍え死にそうになったほどである。 時々オーケストラの公演や、CDなどのレコーディングで一つの音として収録に参加する程度で、とてもそれで食べていけるような仕事ではないのである。 ああいう他の楽器に較べて凄いどころか、そう言う部分がちょっぴりセンチメンタルであり、凄いと言えば貧乏が凄いと言うくらいの仕事なのである。 だから、彼女はプレス工場でアルバイトをしながら音楽活動をしているのだ。 そんなまぁ・・・・その花やしきほどの狭い業界から見たら第一人者の彼女であるが、そんな彼女ですら・・・・あるいはこんな簡単に見えがちの楽器であるのにもかかわらず、彼女がまだ100%納得出来る演奏をしたことがないと思っている。 いいえ、簡単な楽器であるこそ他の楽器に較べて、ひとつ一つ単調にみえがちの音で、どう演奏するか、どう音色に悲しみや怒り喜びを表現するのか難しいのである。 そんな彼女であるから、バイト先のプレス工場の音も、単調ながらとても勉強になると思う。 ガッタン・パシュ・バッタン 一定の音を立てて機械が鉄をプレスしていく。 どことなく規則正しく製品を作っていく音は、眠たくなるような心地よさを感じる。 実直な工場主がひとつ一つ丁寧に、無理な注文をとらずに、何時も決まった納期を守るためにうごかす機械の音は常に一定で、安心感がする。 だから、そんな風に眠たくなるのかも知れない。
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2008年05月30日(Fri)▲ページの先頭へ
点滴
涙の一粒がまた落ちていく。
でもこの悲しみが貴方の血と一緒になって 貴方の元気になれればいい。 貴方の悲しみが癒されるなら それでいい。 貴方の手に突き刺さる 私の悲しみが私の涙が 例え細く透明な つながりであっても 私の涙が意味のある物であって欲しい。
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2008年05月29日(Thu)▲ページの先頭へ
将軍様
とある神戸の豪邸の池。
そこには将軍様と呼ばれる何十年も生きた大きな鯉が、まるでここの家の主人が我が輩であるかのように自由気ままに泳ぎながら、池の中からこの家の歴史を見つめていました。 外の喧噪から離れのんびりとゆうだいに泳ぐ姿は平和でいいように見えますが、この家に吹き荒れるもめ事の嵐は、長年家族の一員のようにここで生きていた彼には池の中にいても、ここに来る人達の様子でよくご存じであり、彼にも心痛いときがございます。 将軍様は年を召された所為もあるかも知れませんが、昔は良かったと嘆いています。 この豪邸を池を作った先代の主は、大層この鯉の雄大な姿を気に入りました。 そして将軍と名付けては、盛んにここへ来て餌を投げてくれます。 豪快な人間で、水の中からしか将軍様は人のことを見れませんが、手を叩く音、こちらに歩いてくる足音や雰囲気などでその人物が何を考えているか、どういう性格の持ち主かそう言うことが将軍様ぐらいの鯉になれば分かります。 豪放な先代は、気が多いのかあるいは、器が大きすぎて周りのことまで深く考えない性格なのか、餌をばらまくときはまるで水戸泉の塩捲きのようで、池が汚れてしまうし、将軍がこんなに大きくなってしまったのも、無計画な彼の所為です。 そう言う無計画な性格に振り回された人は多分恨みが募るのでしょうが、将軍様にとっては、そういう豪快で明るい性格は近くにいても不愉快でなかったし、姿を見せれば喜んでくれるし、餌を多めにくれるので、喜んで彼の快活な手の叩く音が聞こえると姿を現しそれに応えます。 彼自身池の中ではとても暇なので、ああいう面白い人が来るのは楽しいし、彼がもし池を潰すとか言ったらそれはそれで困るのもありましたが、基本的に陰湿な波長でなければ喜んで近付くのです。 普通の人だってそうでしょう。何時も笑顔でいる人には自然と人は集まりますがしかめつらの人には寄ってこないのと同じです。 ところが、突然その手の音が聞こえなくなりました。 そしていつしか池の手入れが雑になり、来る人の数もまばらになっていきました。 餌のやり方も何か投げやりになっていきました。 たまに池に近付く人もいましたが、どうも先代のように楽天的な人がいなくなり、将軍様が近付いても面白くありません。 どいつもこいつも「私は政略結婚はしたくありませんとか」とか、「お父さんにはどうせ逆らえないんだ」とかぶつぶつ落ち込んで暗い雰囲気をまき散らされては、池の住人にまで迷惑です。そんな奴らの所には近付きたくもありません。 特に一番嫌なのは、ここの今の主です。 先代の対抗心から、用もないのに近付き先代のまねをして人を何様のつもりか呼びつけようとします。 本人は確実な性格だと言いますが、アレはどう見てもケチです。餌も大盤振る舞いしません。そのくせ何事も父親以上でないと気が済まないらしく、人を呼び出してはいいことを聞かないと不機嫌になり、カメラが回っていないと石を投げ込んだり、小便を池にしたりと、子供のような嫉妬心をこっちに向けてきます。 更に女の声で「お父さんに謝りなさい」とか「あらこの家ではお父様に逆らっては生きていけないですの」とか他の人から鯉なのに説教されるのが、とてもうっとうしく辟易します。 大体人を呼ぶときの手の叩き具合で人間性が分かります。 最初は気まぐれのような手の叩き、2拍目は変に自信の込めた力強い手の叩き。 ところが3拍目になると、かなり威圧的に手を叩き、最後は怒りを込めたように硬い手の音が聞こえてきます。 リズムも段々間隔が狭まり、督促するようなイライラするような感じが伝わってきます。 その点先代に一番よく似た息子らしき人の手の音は偉い違います。 とても楽しそうにわくわくしている様子で、ひとつ一つの手のしなやかだけど力が入っている手の叩く音がとても心地よく広い庭の庭園で響きます。 そんなに期待しているなら、将軍様も快く出て行ってやろうという気になると言う物です。 性格もフレンドリーで気さくにこちらに言葉が通じないのに話しかけてくれて退屈な気持ちが癒されるというものです。 多分、彼はそういう感じに部下と接しているのだろうと思います。 彼の周りにはそう言う雰囲気のいい人には何気なく人が集まりたくなる物です。 逆に父親の手の叩く様子を見ると神経質そうで、きっと実利で人をうごかすタイプだと思います。確かに人は集まるかも知れないですが、利によるのであって、人柄で近付く人はいないと思います。とても親しみがいのない人間に思えます。 勿論うちに秘めた物は優しさとか違う物があるかも知れませんが、どんなにそんな物があったとしても、にじみでなければ意味がないです。それどころかそう言う内に秘める人間は、正義とか目的のためには、犠牲は仕方ないと勝手に解釈して周りに迷惑を掛けてしまう傾向があるように思えます。 こないだも「小が大を飲み込む合併を成し遂げなければならない」 と、小さなピラニアを池に入れられたのは、何カ所もかみつかれとても将軍様には迷惑きわまりなかったです。 また、「あの錦鯉とほんじゃ○か石塚は形も色も全く異質で、一緒に入れておくなど、味噌汁の世界ではおよそ考えられない事ですが、ああして組み合わせて案外置き映えが致しますね。」といって、デブを池に突き落としたのは最悪です。 私はデブが嫌いで、スレンダーな三つ編みの似合う子が好きなのに、生理的にあの時は辛かったです。またデブは体積が大きくて池の水は半分ぐらい無くなるし、彦麻呂に対抗しようと熊のように将軍様を銜え「まいうー」とかのたまって、挙げ句の果てにハイパーホッケーでは、素人相手にバラエティーなのに本気を出して、しかもボーナスチャレンジのダーツでは、関口さんに突き刺さり持ち帰らなければならないのは、たわしが当たるより最悪です。 「お父さんは怖い人だ」「銀行とは怖いところですね」「僕にまたやばいことをさせるのですか。大蔵省から麩を取ってくるだけでも大変なのに」とか言ってないで暴走を止めて欲しい物です。 金パチ先生だったら「お父さんのやっていることを見て御覧下さい」とか言ってないで教育的指導をしてください。ホリのこんな金パチ先生が居たら嫌だより、正直怖いです。まるちゃんの赤いきつねでこんな裏があったなんて知りませんでした。 本当に先代が居なくなってからこの家は変わりました。 「お父さんの言う事に従っているから、こんな風になったんじゃない。」 と言うとおりだと思います。 みんなこのうちはくるっ○ます。 そのうち将軍様は、主の愛人が 「総理は有名な錦鯉のブローカーブリダーでぜひうちのピンクピラニアの相手として将軍とお会いしたい」 と閨閥結婚を勧められるのが怖くて仕方ありません。 一体何なのですかこの家は・・・・ お父さんは僕のことが嫌いですか。 将軍様の実のお父さんはまんぴょうけいすけさんです。
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2008年05月28日(Wed)▲ページの先頭へ
真三国志−17−
そんな玄徳の許に白ずくめの男がやってきた。
白馬に乗ってやってきて、鎧も白。中に着ている衣も白。 そして苦労をしているのか顎や、髪の毛にも白い物が混ざり、顔だけが軍人らしく日焼けをして黒かった。 白ずくめの姿はかっこよかったが、玄徳様よりも8つぐらいは上だろうか。 その年で、貴公子ぶって白を好むのは似合うかどうかは判断に迷うこと。 彼は絹の手ぬぐいで顔をぬぐうと、とても尊大で偉ぶった様子で彼を呼んでくるように言いつける。 (白フェチかお前は。こういう奴は自分の女の下着にも白を着ろとか訳のわからないことを言うんだよな、きっと。) やがて玄徳が呼ばれて下りてくると、彼の顔を見るととてもうれしそうな顔をし彼のその白髪交じりのひげを引っ張る。 「おうおうっ、公孫賛じゃんか。あい変わらず女に白いドレスをプレゼントしてドン引きされているか。」 「劉備っ、北方守護神として、トキメク兄弟子様に向かってなんて言う口の利き方すんだよ。」 (やっぱり女に白い衣装強要しているんじゃねぇかよ・・・・しかもときめいているし) ・・・・って公孫賛といえば官軍の北方辺境の守護部隊の中心的将軍で、その働きはかなり有名である。彼の率いる白馬軍は白い馬だけを選抜し、白ずくめの衣装を着ており、かなり目立つ存在である。 その大将公孫賛は武勇に優れ勇猛果敢で北のきょうどと呼ばれる何度も中国を侵略した部族からも恐れられており、その白馬の軍を見ただけでも逃げるほどと言われている。また、廬植の門下として軍略にも優れているとも言われているほどの男である。 「なるほど、玄徳様が廬植の門下生だから、わざわざ玄徳様が傭兵の大将になられたことにお祝いに来たんですね。」 そう考えれば、超有名な公孫賛将軍がここに来る理由もわかるような気がする。 「ってそんなんじゃなく、単に張商店に白馬を注文しに来たら、玄徳が居るという話を聞いたので、廬植門下一の落ちこぼれがどうしているかと来たんだが・・」
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2008年05月27日(Tue)▲ページの先頭へ
月姫抄8
(どうして。)
「天照鏡の在処を知るものは二人いてはならぬ。私の物だ。私が助かればいつでも須江家は復興できる。その唯一の手だてをお前にも渡さぬ……」 そう言ってとどめを男はさそうとする。しかしそれと同時に、大きな強い弓矢がどこからか飛び当主の顔を貫いた。 (あれからどれほど黒い海を漂い続けたのだろうか。) 「奴の願いとはいえ……この者を助けて何になるというのか。」 意識の片隅でそんな男の激しさの宿る言葉が聞こえ、雨のように雫が顔に落ちる。 『この者は瀬戸内の守り神……殺めることはなりませぬ。殺めれば禍を、大事にいたせば幸せをもたらす者でしょう。』 そんな母親のような、女神の声が男の声とは逆にやさしく聞こえていた。 しかし…… 「そのような迷信を何故そなたも、奴も信じる。 下らぬ。全く下らぬ。」 (下らぬ……か。) その言葉を聞いたとき、月姫は瞳から落ちた水滴が海の水なのか、それとも涙なのか刈らなかった。あんな形で養父に裏切られた事も、そんな自分も、それを悲しいと言うのもまたその男の声が言うとおり「下らぬ」事にしか思えなかった。 「万事下らぬ事なのかも知れぬ。」 先ほどの戦勝の舞も、それどころか生きることさえも。 (現に、どんなに必死に舞ったところで誰からも愛されぬのだから。) 上辺だけでは、何とでも人は誉める物かも知れない。だからといって大切にしてくれるほど愛してくれる訳ではない。 例えば月姫が主から死を賜ったとき、誰かが命を賭けてまでその舞を大切にして彼女を守ってくれるというのか。いいえ、そこまでしなくてもよい。 もう月姫の舞を見られぬとなげく者があの中で本当にいるだろうか。 「くだらなくない物とは、あの音色のように……真に心と一つになれる物だけなのだ。 それに較べれば、あの男や下女達の言うとおり……私の舞などくだらなき物に過ぎない」
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2008年05月26日(Mon)▲ページの先頭へ
カレンダー
貴方と会える日曜日は
私の心は赤くなる。 大切な日が近付く度に 心の距離も近付いた気がする 次の月を見れば カレンダーに載っている写真みたいな 未来を思い描いた。 月が終わってページと共に思い出は 新しい日常と風景に変わり 過去の分は破り捨てる。 一月前の幸せの日付は 振り返えろうとしても どこにも見あたらずに 今はもう思い出せない。
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2008年05月25日(Sun)▲ページの先頭へ
真三国志−16−
張がそんなことを考えている間にも、状況は先に進もうとしていた。
馬頭の部下達は用もないのに玄徳と仕事の後飲みに行ったり、用事がないときは彼の許に集まったりしていた。 また玄徳が馬を無事とどけたという報を聞きつけて商人達も顔を出し、援助を申し出る者も居たし、また仕事のない若者達も食い扶持にありつけるだろうと訪ねてくる者達が多くいた。 特に一兵も失わず成し遂げたと言うことで、義勇軍はちょっとという者達も集まってきたし、貧乏で金をけちっている官軍よりは良い待遇で雇用してくれるかもしれないと淡い期待を持って腕に自信がある者達も集まり始めてきた。 「確かに逃げ回っていただけかもしれませんが、あの情報力は雇えば絶対に役に立ちますから、なにとぞ今までどおりに。」 と散々辛口なことを言う馬頭も感情は隠した言い方であったが、それでも強固に玄徳を解雇しないようにと念を押した。 (ある意味まずいことだが) 雇い主の張よりも従業員達は玄徳を慕っている。この状況で張が玄徳を切り捨てるのなら、張自体の商いも成立できなくなりそうである。 (なにより恐ろしきはその気さくな人望か。) この自体に張も玄徳のために動かざる負えなかった。 またそれ以上に玄徳の為だけではなく、玄徳の許に集まった者達を使い北方の良質な馬を中原に大規模な販路を広げるチャンスでもある。 玄徳が出立するときと同じように、張は同業者に共同で出資することを説いて回った。また同時に馬商人達だけではなく他の商人達にも声をかけた。 そして玄徳を代表者とする用心棒というか傭兵を生業として物流を取り扱う・・・・現代で言うならば物流会社と警備会社を一緒になった会社が出来た。 それにより領土も役職もない玄徳が、人をそろえ養い、軍装を整え、小さいながらも自らの軍を手に入れたのである。
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2008年05月24日(Sat)▲ページの先頭へ
真三国志−15−
依頼をやり遂げて玄徳の評価は上がった。
それでも玄徳はそのことを自慢することなく、張や馬頭にも同じように深々と挨拶をして丁寧な応対をする。 本当に彼は偉ぶるところはなく変わることはなかったのである。 (武をひけらかして、力があるから怯えさせれば何でも手にはいると思っているやつが居る。風を切り武勇を自慢する輩が居る。) (そんな輩は、そんな姿を人々がどんなに疎ましく、迷惑かわかっていない。) (人がどう思っているのかわからずに威張り続けるような輩が、人の気持ちを理解して政など出来るのだろうか。民に対して優しくなんか出来るのだろうか。) (人の心をわからない人間が、人を率いる英雄になれると思うのか。) 張は馬商人として英雄達とも交わりも深く愛想も良かったが、心の中で得張っているそう言う英雄を自負する輩を軽蔑していた。 (何の生産性もなく力で地位や財をため込み喜んでいる輩のなんと醜いことか。) そしてそんな役にも立たない男達に罪のない馬達を売り払う自分自身。戦場に送られた馬は走らされるだけ走らされて、槍を受け、弓をその身に受けて、死んで、野ざらしにされ、腐っていく。 そして勝った物達は英雄を気取り、おごり人々を従わせ、自らの虚飾を彩るために人々に苦役を押しつける。そして新たなる勝利はそんな豚どもを太らせていく。 (そんな彼らを軽蔑する死角が私にあるのだろうか) 張の得た財はそんな犠牲に成り立った物。戦いで得た金は彼の衣服を替え、食べ物を買え、人を従わせる。 (でも、そんな物が本当に私がほしかった物なのか。 本当にそんな物が、自分が生きるために真に必要な物なのか?) そしてそんな犠牲を払って手に入れた栄華がどこまで続くのか。 自分たちの部下や商いの仲間は常に張に取って代わりたいと思っている。 飢えた民や不満の持つ若者達は妬み、自分たちの不幸の原因は張にあるとして行き場のない怒りをぶつけるかもしれない。自分が踏みつけ見下した人たちはそんな奴らに喝采を与えるだろう。 取り入った権力者達も今は仲間でいい顔をしていても、いつ気が変わり権力と武力で蓄えた財を奪うかもしれない。 黄巾党のような輩がここで大きく力を持ったのなら、軍資金の確保と見せしめのために自分たちを殺そうとするかもしれない。 (俺達はまじめに働き、努力によって商いを成功して、身を削り知恵を絞り、寝る間を惜しみ、やっとここまでにしたのに、何が悪いというのだ。 それなのにそんな努力ごと天は飲み込もうとする) もしも玄徳のような人のことを思いやる、部下を慈しむことが出来る若者が、おごらずに謙虚に、一生懸命生きる若者が天下を取るのなら、こんなくだらない世の中も、くだらない薄っぺらい英雄気取りの馬鹿どもが横行する世界よりも遙かにましかもしれない。 そして真に必要でなく無駄に使うお金があるのなら、彼の力にくだらない金を使うことが出来れば、まだましかもしれない。金のために戦場で物のように壊され捨てられた馬達の供養になるかもしれない。 勿論玄徳が・・・・片田舎の用心棒の彼が天下を取れるとは張自身は思っていない。多分玄徳を援助したところで無駄にしかならない筈である。 とはいえ、お金があったところでどうせ余計なことに消えていくお金である。 確信のない物にお金を使うことは商人としての張の美学には反する事だ (それでも、玄徳を支援してみよう。) と思ったのはそんな結果を求める以上に、玄徳のような部下を思いやり、謙虚に精一杯それなりにがんばっている若者を援助することが勝ちがあると思えたし、そんな彼が軍資金の援助という翼を得たときどんな可能性を見せるのか好奇心を持ったのである。
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2008年05月23日(Fri)▲ページの先頭へ
新三国志14
このまま敵にはあわないで帰還できるだろう。
そんな油断が芽生えるほど順調に行程を進み、何もないまま玄徳一行は数ヶ月の輸送を達成させてしまう。 「何もなかったのか。」 張世平は馬頭の報告に驚き、体を付け抜けるような、叫び声を上げたくなるような衝撃を持った。 「ええ私の部下が色々、数万の敵陣を突き抜けたりとか、我らの武名驚き自ら逃げ出したとか、襲いかかった100万の敵を逆に皆殺しになったとか、大安売りで魚屋に並んだ最強おばちゃん軍団に化粧ケバイぞと罵ったとか・・・・とか自分のやったことを過大広告しているやつも居ますが、何もなかったんですよ。本当に。 むしろ黄巾党の連中から逃げ回っていただけなんですよ。」 そう言って彼は笑顔を見せる。・・・・それまで黄巾党がいつ襲ってくるのかと常にびくびくしていた人間が、修羅場をくぐったはずなのに、すっかり警戒感を失っている。 そしてそれが張には驚いた。 イナゴの大発生のように黄巾党の賊が満ちているのである。逃げ切ると簡単に言ってはいるがそんな簡単な者ではない。それだけのネットワーク、敵である者からも慕われる人望、なによりただ名声を上げるのなら部下達が言うとおり敢えて彼らを危険な目に遭わせてそれを救う形で武勇を見せつければいい。 (こっちの希望を見抜いてあえてそんな蛮勇をしなかった) そんな名声のために、自分たちの部下を巻き込まれるのは困るし、そんなに危ないのなら張自体が同行したいと思わない。 しかし何事もないのなら、張自身が中原に向かい商売をすることが出来るようになり、より物流を活発にするようになる。 そうなれば玄徳自体の仕事も増えていくことになる。 また何事もなく安全な職場となれば、玄徳の部下として食い扶持を求める人材が集まるようになる。 (軍事的才能には疑問が残るが) むしろ百万の敵を皆殺しにする以上に今回玄徳のやったことは意義があり、同時に蛮勇に頼ることなく、たくさんの情報を集める緻密さ、ミスのない形でやり遂げる意志、 それでなおネットワークを強化する見通しの深さ。 (腕に覚えのあるという豪傑はこの地にはたくさんいる。) (でもそんな風に、相手の気持ちを読み、相手を引きつけ、緻密に行動することを第一とするそんな者が、彼以外に居るのだろうか)
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2008年05月22日(Thu)▲ページの先頭へ
離婚の理由
離婚の理由はいろいろ聞く
「性格の不一致」とかなんとかかんとか・・ でも一番多い理由はそんな事じゃないと思う。 本当の理由は 「めんどくさくなった」 という事が本当は一番多いと思う。 ※注 私は離婚も結婚もしたことありませんよ。 ただ人から聞くと、そう思うのさ。
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2008年05月21日(Wed)▲ページの先頭へ
新三国志13
玄徳のそんな檄に、何かを振り切るように男は何も言わない。
それでも玄徳には何も言わない代わりに去り際、馬頭の男につける。 「このまま行けば黄巾党の部隊が居る迂回した方が良い。」 思わず聞き返そうとなるが、それ以上何も言おうとせず足早に去っていく。 それは軍事秘密で口に出すこともはばかれること。それどころか、あの男にとって本当は玄徳にあうことでさえ本当ははばかれるのかもしれない。 (それでも来たのは、あの玄徳の器に惹かれているから) 翌日あの男の言葉に従い道順を変える。 「あんな男の言うことを信じるのか」 と玄徳の手下でさえそんな言葉があがったが、玄徳は彼の言葉を信じた・・・・いや信じようとした。 そしてそんなことはこの一度や二度だけではなかった。 行く先々で黄巾党の者や町の不良達が玄徳を訪ねてきては話をし情報交換をしていく、その事で玄徳は進路を変え何事もなく行程を消化していく。 行程は紆余曲折はあり思いの外かかった。 しかし、時間をかけながらもあれだけ賊が横行し無事にいけるわけがないと思われた困難を極めた行程を玄徳の一団は黄河を一頭の馬も奪われることなく、玄徳の手下の用心棒や、馬商人の使用人達の誰一人をかけることなく、全員が黄河の川を見つめることが出来た。 その時無事であったからこそ、本来なら当然襲いかかるべき悲劇の一つ一つを回避してきたことを思うと・・・・・・その一つ一つがもし一つでもよけれないときがあったときがあったのなら自分たちは海の藻屑のように、巨大な黄巾党に飲み込まれていたのだと振り返ると、ものすごい恐怖が襲いかかってきた。 その行程を今度は引き返さないといけない。 そう思うと同じ道をたどるだけでもものすごい大変なことと改めて思う。 しかしそれだからと言って一行は心配する気持ちはもうほとんどなかった。 行程を進む、あらかじめ声をかけた玄徳の不良仲間やその不良仲間の仲間に声をかける。そこから黄巾党の最新の動きを聞き出す、それを持って行程の最終決定をする。 その繰り返しをすればいいと誰もが自然と思っている。 馬頭は密かに行く先々の町に到着するのが楽しみになっていた。その度に自分たちの町では邪魔に思ったり、怯えたり、暴力的であった者達が、玄徳の前ではそう言う面を見せずに、口は悪かったり粗暴な仕草は見せるもののごく平凡な若者にすぎなかったのである。 そんな彼らに「黄巾党の乱が終わり軍に勤めるのなら、この馬頭様に馬の乗り方を少しでも教わって悪い部分はなおした方が良い。将来戦いも騎馬の戦いや組織的に兵を動かすことが出世の道になる時代が必ずくるから。」と言って「北方の馬商人の技術は都の輩に比べてとても優れており、天下一だ。」と自分を尊敬を持って紹介してくれる。 その事で不良達が彼に尊敬し、それでだけでなく「先生」と慕って、名物の○○団子とか持ってきたりして集まってきた。 自分たちの地元では単なる雇われ者として何ともない存在の彼にとってみれば身に余ることであった。 そんな若者達に馬術を教えるのは時に不器用であったり、時に若いだけあり飲み込みが早い者達が居たりして千差万別であるが、ほとんどの者が馬を乗る事を楽しいと思ってくれることが何より楽しみになって行った。
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2008年05月20日(Tue)▲ページの先頭へ
映画
女優なように綺麗な君
でもその姿を僕は見つめるだけ 光り輝く姿を憧れ夢見て 見つめるしかできない そんな君とは違い 見ている僕の世界は真っ黒な闇 でも、その闇の中で僕は 君の輝く姿に拍手を送るよ。
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2008年05月19日(Mon)▲ページの先頭へ
携帯
家から掛けた貴方への電話
声が聞こえるだけで どんなに遠くても、 どんなにあえない時間が長くても 電話のコードで私たちの心も体も 結ばれている感じがしていた。 携帯になって いつでも貴方の声を 聞けるようになって 声を聞くだけで 貴方の嘘が分かるようになった。 コードのない電話のように 私と貴方は 言葉は交わしても 何もつながっていなくて お互いを引き留めることは出来ない
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2008年05月18日(Sun)▲ページの先頭へ
新三国志12
「そんなに不満があるのなら敵の首領である張角に訴え出ればいいだろう。お前以外にも不満を持っているやつが居るだろうし」
「いや張角様は体の調子が良くないらしい。今は官軍を圧倒しているがこんな状態なら、俺たちは滅ぼされるかもしれない。」 「青州軍に志願したらどうだ。あいつらが一番強いんだろ」 「青州軍は今は東に展開していて、こっちには居ないんだ。」 「だったら、劉壁軍はどうなんだ。それから、楊奉とかああいう山賊に逃げ込むとか。」 そう言って玄徳は親身になり男にアドバイスをしているようであるが・・・・ (そう見せかけ、巧みに敵の陣容を聞き出している。) 「なあ、玄徳・・・・いや玄徳様。俺はあんたの部下ならよかったよ。」 そんなことも考えない黄巾党の男は、親身になってくれる玄徳の事に感激して、もともと仲が良かったと思うのだが、よりこういう状況だからこそ玄徳への信頼を強くしているようである。 「いいもんか。蓆を売って細々とやっているような状況だし、これだけの馬を引き連れても俺は単なる用心棒だぜ。」 「いや、お前ならきっと天下を取れるよ。なんなら俺がお前の仕事をうまくいくようにいろいろ手伝ってもいい。いろいろ教えてやる。」 そう言ってけっして強気ではない玄徳の肩を抱き威勢をあげる。 「俺の仲間にも声をかけてやる。だから、うまくいったら俺達を部下にしてくれよ。」 すると玄徳は真顔で肩をつかみ男へ言い聞かす。 「だったら、それまで絶対に死ぬなよ。」 そう言うと、今度は官軍の詳しい話を聞かせる。 「袁紹の軍は頭の良いやつが多いが決断力が遅く、早めに退いた方が良いだろう。逆に董卓の軍は攻撃に回ると強いが、守勢に回ると弱い。また狭いところだと持ち前の牙の能力が使えずもろいだろう。 あと若い将校で曹操という男が決断力も早い上、一族の物が有能で隙が全くないから避けた方が良い。 それを頭に入れて、絶対に死ぬなよ。」 そう言って強く握りしめる。 (この人は損得がなくても、親愛の情を持つ者に対しては強い優しさと思いを持っているのだろう。) 口ばかりの男でないからこそ、玄徳は人を引き寄せる力があるのかもしれない。
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2008年05月17日(Sat)▲ページの先頭へ
真三國志11
「ぶっ殺してやる。」
突然物騒な叫び声があがる。 やっと意を決した馬頭がその声に思い切りびびり転がる。 (殺される。) と思い思わず腰が引ける。 その時、その物音に気がついた玄徳が顔を出す。そしてにこりと人の良い笑顔を向けると「ちょっとこい。」と首根っこをつかみ、黄巾党の輩が居るところへ連行する。 いかにも悪そうな兄ちゃんが完全に目が据わった様子で、彼を見つめる。 まるで、親の敵を見るような目である。 (ひぃ〜) 泣きそうになった馬頭。一方玄徳は性格が悪いのか、そんな状況でもニコニコしている。 「とりあえず、飲めよ。」 そういうと黄巾党の若者の肩をたたく。そうすると、男はがっくりと頭を下げてうなだれる。 (えっ) 「ちくしょう。首領のやろう・・・俺たちをさんざんこき使いやがって。いやな仕事をさせやがって。 人を殺しまくったのも、あいつらの好き勝手にさせるためじゃねえ。」 「お前は、罪のないやつを殺すあいつが許せないんだろ。部下達のために、無駄な殺戮をさせるやつが許せないんだろ。」 「・・・うん。そうだ。」 かなり弱気ながら、若者は玄徳の言葉にうなずく。 彼は部下達のためと言うから黄巾党の将校なのだろう。ぶっ殺すと言い、人を殺しまくったと言うから残虐で、血の気の多い若者なんだろう。 そんな彼が玄徳の前ではおとなしくなっている。彼のことを呼んだとき馬頭に昔の友人と答えたがそれだけではない物が玄徳にはあるのかもしれない。 また「そうだ」と玄徳の言葉に応えたが、その言葉まで間があり、またぶっ殺すとか、殺しまくったと自ら披露するような若者である。本当に玄徳の考えと一緒とは思えない。 でも事実と違ったとしても、彼がそういうとうなずきたくなるような説得力が玄徳にあった。玄徳がそう言うことでたとえ事実でも彼を単なる殺戮者から優しさのある人間にと救っているようである。 (でもなんでそんな若者と、俺を引き合わせたのだろう) 馬頭は考えある結論に居たる。 (黄巾党と言っているが所詮は烏合の衆にすぎず、上層部と将校との間にはかなり不満がたまっている事を、俺に教えているのかもしれない。)
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2008年05月16日(Fri)▲ページの先頭へ
飛行夢
空を飛ぶ夢
自由になりたい自分の心 もっと高く望む心 地に足のついていない 自分
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2008年05月15日(Thu)▲ページの先頭へ
月姫抄7
始めて暖かみのある感情のこもった声が優しく聞こえ、月姫は波に引き寄せられるようにその方向へと泳ぐ。そして彼が伸ばした手を素直に掴む。
「大丈夫か」 「はい。」 素直に月姫も声に答え笑顔を見せる。それは始めて最期に親子らしいやりとりをした瞬間でもあった。手を握り彼の温かさを感じた瞬間、この男に対してずっと氷壁のように堅く冷たく隔てていた物が嘘のように見えなくなり、逆に熱い物が彼女の中からこみ上げてくるのを感じた。 彼は神妙な面持ちで彼女に謝るかのように頭を下げる。 「すまぬ敵は人ではなかった。千里を駆け神出鬼没の者だった。そうでなければ、我が策略があのような浦島の小僧に遅れなど取ることなど無かった。」 自分に言い聞かせるようにそう呟くと、酷く頭の傷を痛がりながら強く月姫の手を握る。 「このままだと我か一族は滅びる。だが我が一族が浦島などの一党になどに滅びるなど言う事があってはならぬ。だから頼む、そなたの隠す天照鏡を」 「天照鏡を……」 その鏡は竜宮神社の本尊で、歴代の月姫が守り続けた者である。地を鎮め、禍を写し、伝説では特別な力で太陽を操り敵を破ったという伝説の神器である。 「あの鏡は、足利も細川も三好も毛利も……全ての者達が喉から手が出るほど欲しい物。だから、それがあれば彼らも我らを疎略には扱いはせぬ。我が一門の復興もなしえる。だから頼む。」 その言葉を月姫は一方では冷たく聞いていた。 (頼むと言われて、答えられるほど私達は親子の情や恩があるというのか。) だからこそ、目の前の大人が図々しく、哀れであった。 だがそんな冷静な感情とは別に彼女の口は目の前の男の願いを聞き入れて開く。 「天照鏡のありかは……」 「そうか。」 全てを、月姫が語ったとき男が感謝として示した行動は酷く自分勝手で、意外な物であった。 とっさに意識をする前に月姫は波に顔を伏せたが、それよりも前に火がかすめたような厚さを右目の少し上の方で感じ、男の手から自分の手を放す。 同時に海の水がたくさん口の中に入り息が出来ず溺れそうになる。 咳き込むように苦しいが、中に入った水でそれさえも許されない状態で何とか顔を見上げる。すると、もう一大刀目を喰らわせようとする男と目が合う。
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2008年05月14日(Wed)▲ページの先頭へ
ブレーカー
たくさん熱くなったら
燃えて無くなってしまえばいいのに セーブしてしまう 流れて来る気持ちと 熱は一杯なのに 肝心なところで心は落ちて 自分だけが真っ暗になる。
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2008年05月13日(Tue)▲ページの先頭へ
真三国志−12−
「えっそんな大先生に教えてもらったんですか?」
馬頭は(片田舎にすむ彼が・・)と驚き、尊敬の眼差しを見せたが玄徳は「そんなに偉いのかな・・小言が多くてすこし頑固な先生だったけど」と、少しとぼけた感じでまるで自覚はないようである。 (※注 簡雍に言わせてみれば、せっかく一族がせっかくお金を工面して都に留学させたのに、乗馬や衣類ばかり気を取られているから、そんな事までよくわかってないなんて。と笑いかねないボケなのであるが。) 多弁でないが奇策で、何かと心配りができる彼に、行程が進めば進むほど彼らは玄徳に対して好感度をあげていったのである。 また行く先々で、彼は昔彼の不良仲間だった人間や、彼に好感を持つ友人達が訪ねてきた。そんな彼らと楽しく話したり、一緒に朝まで騒いだりして緊迫した様子はなかった。 それどころか普段から玄徳やその部下からは笑い声が聞こえ話が絶えず、黄巾党の中を命がけで馬を運んでいる。という雰囲気は一行にひとかけらもなかったのである。 運搬員のほとんどはそんな様子に、むしろ安心感を持つ者も多かったが、馬頭は何かあれば自分の責任が全くないと言うことにはならないし、心情的には玄徳を信頼したかったが、不安で仕方ない。 「・・・・あれっ」 玄徳を訪ねてくる人間をよく見てみると、どう見てもカタギではない人間が居る。 中には黄色いずきんをかぶった輩も何人か居る・・・・ ・・・・って、敵じゃんっ黄巾党じゃん、 「まさか、俺たちをだましやがって」 あわてて、玄徳が仲間達と話し込んでいるところへ馬頭は駆け上がる
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2008年05月12日(Mon)▲ページの先頭へ
真三国志−11−
元徳一行は南へ向かう。
商人である馬頭はよく知った道だが、元徳もその辺の道にはかなり詳しかった。 「昔、廬植先生に習いに洛陽に行ったときがあって・・・・・・」 元徳は口数が多い方ではないが、いつも温暖な顔をしており、落ち着いて大人びていてそれだけでも安心感がある。 体格は手が長い程度で少し背が高めであったが、武勇を感じさせるような力強さはない。でも、誰ともない安心感を感じ旅を続けていけば行くほど、このむしろ売りの若者に貴族のような者でも持ち得ないような「器量の大きさ」を感じる。 (それなのに) 彼自身は全く偉ぶったところがなく、他の随行する用心棒達と同じ者を食べ同じように野宿をするし、話し方も時にへりくだり、時に友人のようにあつく気安く話しかける。 馬頭に対し今まで用心棒で居た人物は「自分たちが守ってやる」と言わんばかりに傲慢で自分の腕っぷしをひけらかすようないやな奴らが多かった。しかも大体の輩は馬の扱いは馬頭の彼よりも劣っているのにも関わらずそんな態度を取るのである。 (武勇をひけらかすのなら、馬ぐらい人よりうまくなってから威張れよ) と内心馬鹿にしていた。 それに対して、元徳は自己流であったものの馬術に大変優れて居たし、用心棒である立場なのに偉ぶるところは全くない。それどころか部下が馬頭達に高圧的な態度を見せよう者ならすぐに制したし、そういう元徳の考えが徹底されているのか、彼の手下達も敬意を持って馬頭達と接していた。 また話を続けていくとただの用心棒とは思えない話が出てくる。 今でこそ蓆売りだが、父親は県令であり付近の一族の本家筋に当たるという。そんな彼に一族は金を出し、都に留学させたのだ。 そして習ったのが清流派の大物であり、学問に優れ儒教を得意とするが兵法にも通じており、学者ながら今度黄巾党征伐軍の将軍に命じられると言われているあの廬植であ る。
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2008年05月11日(Sun)▲ページの先頭へ
月姫抄−6−
(それはまるで用意周到に準備された策略だったかのように。)
更に浦島は追撃を加えた。攻めることばかりの備えしかしていない須江の水上の館は抵抗する間もなく火が放たれ、密かに内通していた者達や、両家の争いに中立を示した者達も束になり攻めまくり、その夜のうちに須江氏の滅亡は決したのだ。 月姫には訳の分からないまま、逃げ延びる船に乗せられ、訳の分からないまま混乱する船に乗せられた。 そして訳の分からないうちに火を掛けられ、訳の分からない人達の混乱が船のバランスを崩して、訳の分からないまま海に投げ出された。 (そして、訳の分からないまま死に一生を終える。) 光は全てを焼き尽くそうとする欲望の炎だけがはっきりと見える。 (この世には、欲望の情念しかないかのように) 彼女の命は真っ黒な海か、その炎に飲み込むその時を待つだけしかないようであった。 そのとき懐かしい声が聞こえた。 「月姫か……」 「須江殿。」 義理の父上。そして本当の両親から引き裂き、養女という名の下にこの命を須江の館に閉じこめた者の声。 あの時以来数回しか会って居らず名ばかりの親子であり、一片の情を感じたことのない相手であったが、久しぶりに見た彼はあの時の……瀬戸内の守り神を手に入れたという自負と強い権力と傲慢な姿をのぞかせていたのに今はその様子はなく、敗北により酷く疲れて居る感じがした。そしてしがれた様は当主の威厳はなく弱さをさらけ出したままで、まだ年若の彼女に対して救いを求めるように声を掛ける。 「早う、我が手を取りこちらへ寄れ。」
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2008年05月10日(Sat)▲ページの先頭へ
プロ野球の真実−1−
とある知り合いのサイトで野球のことを書かれていたので「北霧雀のニュースの視点」野球版と言うことで、答えられる質問に北霧雀の目で答えていきたいと思います。
某球団の監督について よくプロ野球で打てない選手をなんで変えないのか? 先発で使うのか・・・ 打てる調子の良い若手を出さずになぜ訳のわからない外人? そんな不満を生ビールに枝豆を手にしながら思った方も少なくはないのでしょう。 アンサー 監督自体に勝負勘がない場合も多いのも事実ですが、 一方で「契約上出さざる負えない」と言う場合もあるのです。 契約というとお金のことばかりクローズアップされますが、アメリカの契約書は野球に限らず、本一冊ぐらいになると言われるぐらい・・まあ細かいところまで決められています。お金のことだけでなく待遇の面もありますし、たとえばポジションを奪われ新天地に移籍したような選手は、移籍したのにでれなかったと言うのはたまらないものがあります。 そのため、契約上には何試合以上・何イニング以上を使うことなど含まれており、監督もそういう条件を考えて、選手起用をしなければ契約違反となり罰金が払われるのです。 近年FAで契約金額が跳ね上がりこんな選手が1億円をもらうのかと言うような、相場が高くなっている中、なにかあれば「大リーグに行く」と言えばぼれる状況で、そういう自己主張は当然の権利として選手が移籍の時など織り込んでいるらしいです。 また大リーグも史上まれに見る好景気で良い選手がお金をかけてもとれないなか外国人にも足元を見られており、不利な状況で結局自分たちの手足を縛るような契約も飲まれているというのが現状らしいです。 そしてそれ以上に問題なのは、そんな不利な契約を結んだフロントが、自分たちの立場をつぶさないために現場に圧力をかけていることです。 実際は手足を縛られた状態で監督というのは聞こえが良いですが作戦などあったもんじゃやないというわけです
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2008年05月09日(Fri)▲ページの先頭へ
もしも1年で1億円なら
もしも1年で2頭で1億円なら
私がリンリンの代わりに、パンダのぬいぐるみを着て檻に入ります。 ご希望の自治体・動物園がありましたら、ご連絡ください。 二頭でのセット1億円のコースをご希望でしたら、 今ならパンダコントももれなくついてきます。
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2008年05月08日(Thu)▲ページの先頭へ
真三國志10
一方玄徳は、細かな準備は簡雍少年に任せふらっとどこかへ言ったり、ごろつき仲間と飲みに泊まりに行ったりして、張が見えないところではあまりまじめに仕事をするような感じはしかなった。
そして馬に随行する日連れて行く28名の者が集まった。少数精鋭で、一騎当千の者を特に選んだと思ったがそういう者も数人はいたが、どう見ても普通な者、玄徳の乗馬仲間、体の細く力仕事が向かないもの、それに簡雍よりもさらに若い年端も行かない子供も中には混ざっていた。 護衛に行くというよりは、ちょっと其処まで馬を乗ってくるといった雰囲気である。 殺気とは無縁の傭兵達である。 「この人は貴人なのか、あほなのか」 後々彼の将来まで・・あるいは今日まで歴史として玄徳の才能を論じられる度こんな質問が出るのだが、実際にその時彼に命を預けて馬を届けに行く張の部下の男も、そんな弱弱しい姿に不安を覚え、小声で簡雍に問いかける。 「いえいえ馬の乗り手は、よく言う武将として優れた背の高く恰幅の丈夫よりも、体の軽い者のほうがよりいいというではありませんか。 玄徳様は、我流ではありますが乗馬の名手であり、馬を早く走らせたり操ることに長けており、その機動性を武器にするつもりでしょう。 その他の者達も馬を操ることを良く知る玄徳様が、実際にその馬術を見て選んだ者たちです。兵力で劣るなら逆に機動力で大勢の黄巾党を蜂のように刺し屠ふると言う作戦は流石です。頭の固いような連中には考え付かない大胆な兵略でしょう。」 「・・・なるほど。」 そう簡雍にいわれて、部下は彼自身も馬を良く知るだけに、操るには小柄で軽装がよく一番の利点である機動力を生かす玄徳の考えに素直に同感できた。 (この人は役人達のようなただ頭ばかりの勉強や兵学を学んだものではなく、実際に物事に精通していて、口だけでなく頼りになりそう。) そう思い安心するだけでなく、玄徳という若者の才能や器の大きさに尊敬の念を抱いた様子である。 しかし簡雍は彼にはそういいながら、実際玄徳がそこまで計算しているかどうかはわからなかった。ただ、年下の彼にも偉ぶらず気安く話しかけてくれたり、実際はかなりいい加減な勉強をした簡雍の才能でさえ買ってくれている玄徳を気に入っているので、彼を宣伝するための労は惜しむつもりはなかったのである。 それにもし何かあっても、護衛に向くはずのない簡雍は玄徳や馬を輸送する彼らに同行はしないので、口でいくら言ったとしても彼自身には何も実害はないから、好きなだけよいしょするのである。 また張の部下達の中では不安な者達もいたが、同じくらい下働きの人達の中には玄徳の知り合いも居た。彼らもこの兵には不安はあったものの、玄徳への信頼の気持ちのほうが、実際襲ってくるかもしれないという不確定な不安よりも勝った。 おかげで、玄徳はそんな少ない人数であったが張自身もリスクの分散を計れたらしく、失敗しても大きく損害を受けることはなくなっていたので、契約を破棄されることなく、出立することができたのである。
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2008年05月07日(Wed)▲ページの先頭へ
真三国志-9-
逆に言えば腕っ節の強いものだけではなく、いろいろな人が傘下に来ているというのはそれだけ彼の人脈が広いということである。
彼の中で確実に玄徳の評価は上がった。 「早速だが・・」 張は玄徳に早速以来をする 「馬を200頭、朝命により至急納めなければならないので、それを果たしてほしい。」 本当は、張はそれでも大群の黄巾党に対して玄徳がそれを依頼して絶対に成功するとは思っていない。 だからこそ玄徳達が動いているさなか、彼自身も玄徳のことを仲間に話して賛同者を募った。彼の属する馬商人の組合でもこれだけ治安が悪化していると出荷がとどこうっているので興味を持つものが必ずいると踏んでいた。 そういう人達が200頭を分割することでリスクを分け合って玄徳に託す事を提案した。 全部を奪われるのは大変だが10分の一など分け合うことで失敗しても張達はリスクを軽減できるし、送ったという実績があればたとえ届かなくても先方には印象は悪くなくなる筈だ。 ただ現実に5百の兵を武装して、必要であれば訓練するとなれば時間と費用を要することになる。 「いいえ今回は、この中から人数を厳選して20騎ほどでいいですし、武装も最小限の厳選したものを選ぶつもりです。」 そういう資金の申し出を玄徳は丁重に断る。 「えっ」 驚く張に玄徳は明快な説明をする。 「近くへ物品を大量に送るのであれば、相手が山賊程度であるのなら兵はできるだけ多くの方がいいのですが、今回の場合相手が数万とも知れない黄巾党であるなら多少の兵がいても意味がないもの。むしろあまり多くないほうが目立たず、また迅速に行動できると思います。」 「そうは言うが・・」 心配して張は玄徳に忠告しようとしたが、言いかけてやめる。 人数が多ければ多いほど、武器とかのお金はかかってしまう。少ない人数でいいのなら、そういう初期投資はかなり少なくなり、失敗したときのリスクもより軽減される。 また多数の人数が随行するようになれば、それだけの宿泊費・食料等のコストも馬鹿にならない。また玄徳の言うとおり大勢の中、多少の兵がいたところで足手まといにしかないないと思われる。 「わかった。そなたの意向に従おう。」 そう言うと張は早速編成や出資者への説明などの準備を始める。
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2008年05月06日(Tue)▲ページの先頭へ
真三国志-8-
「兵を300人・・・」
それは難しいだろうと言う顔を簡ようはする。 人数は集まるかもしれないが、相手は黄巾党の数万とも呼ばれる兵である。 まともに考えたら300ぐらいの兵がいたところで多勢に無勢なんともなるわけではない。誰だって命は惜しいのである。 無謀な企みに加わりたくはない。 また、ただ素人を300人集めればいいというものではない。 勝つためには訓練をつまなければならないし、臆病者でも務まらない。 怯まない内外充実した男たちが必要になる。 そんな人間を簡単に300人集めることができるのなら、政府だって義勇軍の募集など苦労はしないのである。 「いや、素人でいいんだ」 そんな心配をする簡擁に玄徳はまったく違った指示をする。 「とりあえず頭数をそろえればいい。 できれば、カッコばっかりいいやつ。がたいだけ良くウスノロな奴。衣装がいい奴。そんな奴らでいいんだ。 質はこだわらないので、誰でもいいんだ。 とりあえず『戦いはないから、誰でもいいのでご近所お誘いの上で顔だけ貸してくれ』って俺の知り合いに声をかければ、誰も嫌とは言わないだろう。」 「それなら。」 何とかなるだろう。と思う。基本的には玄徳は不良達から好かれている。 そういうことなら、意図はわからないが顔ぐらいは出してくれるだろうとかんようは思う。 「俺は俺で、不良たちに声をかけるし、これからのことに手を打つ。」 約束の日。 張理平の家の前に500人の男達が集まる。 一番前には、いかにも危なそうな町のごろつきたちが顔を並べて、それに続いてその取り巻きのいわいるチンピラたちが続いている。一方では豪華に着飾ったもの達が、戦闘能力はともかくある意味あでやかに横に並んでいたし、その後ろには普段着で、物見に来たような男達が世間話をしながら、普通にたむろしている。 そのほとんどは町のごろつきや、そうでない人も含めて、平均年齢の若い男達であった。 そんな若い男達がたむろっていれば、女達が楽しそうに声をかけていたりする様子もある。 内実はともかく、とりあえず頭数をそろえただけだが、それだけでもその光景は圧巻であり、張は身震いがする思いだった。
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2008年05月03日(Sat)▲ページの先頭へ
静電気
私の心はいつも渇いていたから
誰かと触れようとする度 敵意が電気になって 痛みが走る 自分の殻から飛び出したくて もっと広い世界へ ドアを開けようとすれば 触れたとたん 心に痛みが走る 小さな火花も 燃えやすい感情に引火したら 大きな災いが炎になるよ 誰か私のアースになって 私の手を握って くだらない怒りとか 取り除いて
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