ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/05/23

刹那のミニミニ小説+連載小説のサイト。

2008年05月23日(Fri)▲ページの先頭へ
新三国志14
このまま敵にはあわないで帰還できるだろう。
そんな油断が芽生えるほど順調に行程を進み、何もないまま玄徳一行は数ヶ月の輸送を達成させてしまう。

 「何もなかったのか。」
 張世平は馬頭の報告に驚き、体を付け抜けるような、叫び声を上げたくなるような衝撃を持った。
 「ええ私の部下が色々、数万の敵陣を突き抜けたりとか、我らの武名驚き自ら逃げ出したとか、襲いかかった100万の敵を逆に皆殺しになったとか、大安売りで魚屋に並んだ最強おばちゃん軍団に化粧ケバイぞと罵ったとか・・・・とか自分のやったことを過大広告しているやつも居ますが、何もなかったんですよ。本当に。
 むしろ黄巾党の連中から逃げ回っていただけなんですよ。」
 そう言って彼は笑顔を見せる。・・・・それまで黄巾党がいつ襲ってくるのかと常にびくびくしていた人間が、修羅場をくぐったはずなのに、すっかり警戒感を失っている。

 そしてそれが張には驚いた。
 イナゴの大発生のように黄巾党の賊が満ちているのである。逃げ切ると簡単に言ってはいるがそんな簡単な者ではない。それだけのネットワーク、敵である者からも慕われる人望、なによりただ名声を上げるのなら部下達が言うとおり敢えて彼らを危険な目に遭わせてそれを救う形で武勇を見せつければいい。
 (こっちの希望を見抜いてあえてそんな蛮勇をしなかった)
 そんな名声のために、自分たちの部下を巻き込まれるのは困るし、そんなに危ないのなら張自体が同行したいと思わない。
 しかし何事もないのなら、張自身が中原に向かい商売をすることが出来るようになり、より物流を活発にするようになる。
 そうなれば玄徳自体の仕事も増えていくことになる。
 また何事もなく安全な職場となれば、玄徳の部下として食い扶持を求める人材が集まるようになる。
 (軍事的才能には疑問が残るが)
 むしろ百万の敵を皆殺しにする以上に今回玄徳のやったことは意義があり、同時に蛮勇に頼ることなく、たくさんの情報を集める緻密さ、ミスのない形でやり遂げる意志、 それでなおネットワークを強化する見通しの深さ。
 (腕に覚えのあるという豪傑はこの地にはたくさんいる。)
 (でもそんな風に、相手の気持ちを読み、相手を引きつけ、緻密に行動することを第一とするそんな者が、彼以外に居るのだろうか)


   


携帯して持ち歩けるほど……
貴方の手に包めるほど、小さな小説のサイト


新着トラックバック/コメント

※このサイトの物語はフィクションです。登場人物・団体など一切似ていても架空の物です。このサイトの著作権は上賀茂 詩織に属します。一部または全部の無断転載等禁止です。

カレンダ
2008年5月
       
23

アーカイブ
2008年 (216)
3月 (18)
4月 (31)
5月 (28)
6月 (31)
7月 (32)
8月 (33)
9月 (31)
10月 (12)

アクセスカウンタ
今日:265
昨日:321
累計:34,490