ケイタイ小説カフェ「ソルノチェセル」 - 2008/03

刹那のミニミニ小説+連載小説のサイト。

2008年03月31日(Mon)▲ページの先頭へ
サクラ・チル
サクラ・チル

今年のさくらが散っていく。
私はカメラにそれを納める。
紅に見えたそれは、モニターで確認すると、
一つの命が終わったかのように
死のようにとても白い物に写る。

「今年も来たのね。」
彼女は私に問い掛ける。
ふと思い出す。
最後に見た彼女の微笑みは、いつだろうって

あの時彼女の唇は、頬はまるで桜のように淡かった。
でも、あの後の彼女の顔は、この散る花びらのように白かった。

貴方の美しさは・・・貴方の淡さは
貴方の血が、貴方の情熱の紅が彩った物なんだな。
私は、その花びらを見て思う。
そして、永遠にその美しさが続くように
その花が咲き続けるように、私は願い思う。
(そして・・・この幻さえも・・・)

「桜は、内面に秘め続けた赤い情熱を刹那の中に咲さかせるの」
そう言っていた彼女、
彼女という桜はその名の通り、一瞬の美しさを咲かせて
短い命を散らせ、私だけが残される。

永遠に咲く桜がないように、
彼女の幻も、花びらと共に舞い消えていく。
私はそれに手を延ばし、一歩宙へ歩こうとする。
「だめ」

そんな声がする。
「貴方は桜ではないから。貴方は貴方だけでしかないから」
「君の許へイケナイなら、ずっと思っていてはダメですか。」
私は叫ぶ。風の音がそれをかき消す。

彼女の声がどんどん遠くになっていく・・・
「ダメよ。私は貴方の悲しい顔を見たくないから。
私は散るのよ。」

そして、最後の言葉・・・
「でもまた私は来年咲くよ、たとえ花を散らせても
寒い冬を越えて・・・
この想いを淡い紅色にして、貴方の為に咲くよ。」

そうして、今年の桜も散り、
一枚の花びらと共に、約束だけが私の手に残った。




2008年03月30日(Sun)▲ページの先頭へ
冬のように心を閉ざした彼女。
彼女の言葉は、透き通るほど綺麗だった
ぬるま湯の中を生きた私には
彼女の厳しさに触れれば凍えるようなものだった。
冷たい彼女を
私と同じように変えたかった。
やさしい手で氷のように身を固める彼女に触れたかった。
北風のように身を裂くような鮮烈な彼女の言葉は
唇で心の中から暖かくしたかった。
でもやさしく触れるたびに
彼女は氷が溶けていくように
その瞳から溶けた強さが涙になってあふれていった。
冬のように閉ざした彼女の存在は
小さく、目立たなくなっていき
私の手の中から滑り落ちた。
私が手を伸ばしたから彼女はもう目の前から消えた。
たとえ春になったとしても、ここには彼女は居ない



2008年03月29日(Sat)▲ページの先頭へ
ミラー
ガラスを隔てた別の世界で
私は貴方のように生きてきた
貴方の動きにあわせ、貴方に必死に追いつこうとして
貴方と同じ事をしようと努力をして
でも同じ動きでも、真似する事は
いくらコピーをしたとしても
自分らしく生きる貴方とは正反対な姿
そして
心のない幻。
貴方が目の前から消えれば
私の姿も、
何もできなくなり、消えてしまう
貴方の姿を瞳に写し続けた私の
してきたことはそんな不確かな物



2008年03月28日(Fri)▲ページの先頭へ
雨が降る。
私の心にもやが続いていた。

深い霧がかかり、自分自身を見失って……



救ったのは雨だった。

雨に抱かれて私の心は

光の届かない世界で、

ただ静に流れていく。


2008年03月27日(Thu)▲ページの先頭へ
神鳴り
貴方の言葉が私の心に響く。

切り裂くように貴方の声に痛みを感じ、

意志の強さに私の総ては揺すぶられ、

貴方の激しい未来の光りに

私は目を奪われて……



神鳴りのように貴方の声が聞こえる。

私の心に貴方の言葉が

愛しくて

この身が焼かれる程……


2008年03月26日(Wed)▲ページの先頭へ
カラスアゲハ−上篇−
その日見た夢は幼い日の記憶。
たくさんの蝶を捕まえてきて、水の中に落として……
昔細い管の先に水がためてあってそこで虫を捕まえるハエ取りがあったけれど、それと同じように標本を作るために、傷付けずに殺させるためにそんなことをした記憶。

大きなカラスアゲハがとても美しかった。
でも、動かなくなったその姿をみて、空を飛んでいた姿を思い起こすと「もっとその美しい姿で飛び回りたかっただろうに」と切ない気持ちになった。

「なんで私はそんなことを思い出したのだろう。」
よりによって陸上の大会の日に、私はそんな夢を見たのだろうか。
今日は大事な大会だから。とにかく気持ちを切り替えないと。

そう呟いて、紫のリボンで黒く長い髪を結い、真っ黒なジャージを着る。
昔は、そんなジャージの普通よりも丈の長いのが少し大きい女みたいで嫌だった。
学校でも女の子の中では私は一番背が高くて、男の子にからかわれたこともあった。
事実私より背の小さい男の子はたくさんいた。
そんな所為で背が高いことを少しコンプレックスを持っていたときもあった

でも私の出る競技……高飛びではその背の大きさが武器になる。
だから、今はそれを恥ずかしいと思うよりもその事を感謝している。
「県大会に出れるからこそ、あの人に会えるから。」
(背がもう少し低かったら私は、県大会に出れるかどうかなんて誰も分からないし。)

・・・…つづく







2008年03月25日(Tue)▲ページの先頭へ
ねえねえ子猫ちゃん。
「ねえねえ子猫ちゃん。」何処行ってきたの。
私が聞くと、猫は露骨に嫌そうな気がする。
だけど私が手を延ばすとなついて足元をくるくる回って
とても可愛かったりする。
嬉しくなって私は、頭をひとなでして、
美味しいえさをたくさん与える。

無邪気にそんな笑顔をしながら
「嘘付き。今の今まで他の所へ行っていた癖に」
本当は浮気をして他の所でご飯を貰った癖に
私は心の中でソイツに向かって責めるの。

たまたま出かけると貴方の姿が見えて
私の知らない可愛い顔していて
凄いショックだよ。
知らんぷりして居るけど
タイムテーブル作れば貴方の浮気なんか簡単なんだから。

まぁ。私は貴方にとってえさを与える一人って分かっているし、
貴方のそう言う邪険な笑顔も、
私包容力あるから、キライじゃないけど
もっと
私が騙されるくらい上手に嘘を付くか
私が未練を持たない位、本当はキライって言ってくれないかな・・・
待たされる間って期待し過ぎちゃうから。

まぁ貴方の嘘は私に対する優しさだから、
黙って餌をあげちゃおう。
それに貴方が来なくなるのは正直寂しいから・・・
貴方の事責められないよ私は、
臆病者だから。





2008年03月24日(Mon)▲ページの先頭へ
不意打ちはイケナイ
 人間無防備な時に、風呂に入っている時とトイレに入っている時がある。

 ちょうどその時、私は駅の男性トイレに一人でいて小さい用事をしていた。

 そうしたら、堅気に見えない高校生の集団がぞろぞろと入って来て・・・

 (やばい)

 と思ったが、用事の最中で止める訳には行かない。

 彼らは私が逃げれない事を良い事に囲む。

 カッターナイフのかちかちする音がして、相手が一人なら逃げ足になら自信はあるし、

 一人くらいならのす自信はあるが、

 こんな状況では何ともならない。

 (私の思い過ごしなら良いけど)

 でも、私の希望は簡単に打ち破られる。

 「痛い目に遭いたくなければ、金だしな。そこのトイレしているあんちゃん」

 「えっ。」

 予想していても、そんな事を言われれば最中であっても思わず振り向いてしまう。



 ・・・・じゃぁー



 次の瞬間、相手の男達にそれが掛かり、服を濡らして

 奴らは逃げる。

 「ナニゴトモ不意打チハイケナイ」


2008年03月23日(Sun)▲ページの先頭へ
作品予告【真三国志】
決して若くもなく
でも上手く生きられない……
野望もある
でもその道筋さえ見えない……
何も手に入れられない若者達

粗暴で人から阻害され、いつも酒を喰らいアル中ぎみの男
「張飛翼徳」職業:肉屋26才

義理堅いが融通が効かずに好人物であるが世に出れずにいる
「関羽雲長」職業:塾講師29才

自称没落したが名士の出。母に学で身を立てるように言われながら
不良仲間を集めたり、馬や遊びにうつつを抜かす
「劉元徳」職業:蓆売り30才……だがいつの間にか本職は用心棒。

平和な時代では役にも立ちそうもない彼らが出会い、
乱世の中
二人が足りないところを、
貧乏だが人望だけはある「劉元徳」が
お互いの足りない部分を補いながら、
時には破れ、時には有力者にたかりながら
……ってどっちもダメばっかりじゃん。
でも、英雄といわれるようになっていく物語。

虚飾に満ちた英雄像ではなく、真の英雄像を問う
北霧雀の連載小説。

……勿論他の英雄達も出ますよ。
女好きながら頭の切れる「郭嘉」
若き孫権を中原の英雄の気概を与えようとする軍師「魯粛」
仕事の鬼、ミスター過労死「諸葛孔明」

4月連載予定




2008年03月22日(Sat)▲ページの先頭へ
オルゴール
同じ過ちを私は何度繰り返すのだろう。

過去の思い出を未練がましく

記憶の螺子を巻き戻すのだろう。



新しい歌は生まれないのに、

思い出ばかりが、愛しく音色を奏で

私の小さな心に

今も貴方の声が響き続ける。


2008年03月21日(Fri)▲ページの先頭へ
必然。
独裁者が二人居て、

世界の危険が二つあって、

毒ガスと核兵器、

抑圧された自由と、切迫した飢餓。

同盟国の日本と、クウェート。



北とイラクで、

アメリカが選んだのはイラク。

その理由は必然。

イラクには勝てば石油があるけど、

荒廃した北には何もなく

勝っても、アメリカにはメリットがないから。



北がなくなれば驚異がなくなり、

兵器が売れなくなるから。

居座り続けるやくざに要求されるまま

この国は、彼らを感謝して寝食と用心棒代を払う。


平和なんか求めてなんか居ない。


2008年03月20日(Thu)▲ページの先頭へ
闇鶴抄
よひょに助けられた鶴は妻になった。

そして、夜その身を削って彼の為に布を織った。

それは街でとても高く売れた。

でもよひょうはそんなお金はいらなかった。

彼は彼女を夜明けまで抱きしめたかった。

愛しかった。

「私が織っている時は決してのぞかないで下さい」

その彼女ののぞみは分かっていても、

彼女の総てが……秘密も欲しくって、約束を破った。

彼女は怒った。

約束を破った事か、それともその姿を負い目に感じたのだろうか。

逃げようとする彼女の体を、ただ愛しく抱きしめる。

「私はこんな体なのよ」

敵意を持って彼女はそう答えるが、

彼は決して放す事が出来ない。



彼女の本当の姿を知って

彼女が決して本当には自分の愛を受け入れない事も、

ここにいる事が義理であると分かっていても……

それで忘れる事が、諦める事が出来るのならばどれほど幸せなのだろう

「君を離したくはない。」

彼女の心さえあれば、もう何も要らない。

その心の美しさに、癒され、心を奪われた彼は

例え鶴であったとしても、彼女だけを望むのでした。


2008年03月19日(Wed)▲ページの先頭へ
チャイニーズファンタジー
チャイニーズファンタジー

私は伝説の竜に会う為北京の街を歩く。
兎に角朝はラーメン。チャイナドレスの女性が運んでくる。

すると突然何事か、早口で私に文句を行ってくると構えを取る。
「・・・さては少林寺の達人。」
私は空中飛び膝蹴りで一蹴する。すると、今度はヌンチャクを持った男や青龍刀を持った男だの一斉に私を取り囲んだ。

その中のひげ面の危ない親父が叫ぶ。

「我こそは、燕人の張飛翼徳。いざ尋常に勝負しろ。」
・・・・兎に角私は逃げる。
すると後ろ上空からドラの鐘と共に人が下りてくる。
「おにいさん。お代あるね。」
見ると水芸をする物、命綱なしで空中ブランコをする物。
街は大道芸する人で溢れかえっている。
取り敢えず、私はポケットの中から紙幣を取り出し渡すと駅に向かい歩く。

中国の人はさすがというか、みんな自転車を乗っていて危険な程である。
「あっ」
後ろから追突される。振り向くと、人民服の男が自転車ごと転び、その息は凄く苦しそうである。
取り敢えず私の方が被害者であるが、どうしたんですか。と聞く。
「自転車を漕げないと私は死ぬ・・・」
そう言うと、男は息絶える。中国の人は南船北馬。
自転車と生活を共にすると言うがまさにその通りだと思う。
妙な感心をしていた私だが、その後ろからけたたましい野太い声が掛かる。
「どけぇ。どけぇ。しばかれたいのか己は。」
中年のデブの一団と思ったが、どうやらパンダの一団である。

よく見れば新聞を読んでいるパンダ、太極拳を踊るパンダなど流石、本場の国である。
日本では上野動物園しか見れないのに・・・
町中で見れるとは流石中国である。来た醍醐味があるという物だ。

そのパンダの一団の先頭の奴がサングラス越しにガンを飛ばし風を切って歩いている。
ボスパンダが観光客らしき私を見つけ声を掛けた。
「なぁ。おれっちグルメなんやが・・・日本の竹って上手いかぁなぁ」
「そんな事言われても・・・」
タケノコや支那竹は食べた事があるが、人間である私が食べた事がない。
「おうおう。そげな態度で、この中国生きていかれると思っとんのか己は。」
「南京大虐殺を忘れたのか。」
パンダ軍団が私を取り囲む。胸には共産党のバッチが煌めいている。

その時はるか後方から、千鳥足の老人が私達に近付き元気そうな笑い声を上げる。
「コレ辞めぬか。」
「何をこのジジイ。」
「まて・・・コイツは私の老師・・・」
ボスパンダが制止する前に辮髪のパンダが襲いかかる。
老師はゆっくりとした太極拳でどうやってか、一撃で仕留める。
「旅の者大丈夫か。奴らは人食いパンダだ。ここは私に任せて速くお逃げなさい。」
そう言われ多勢に無勢である。取り敢えずは老人に任せ私は逃げる。

すると後ろから、老人の悲鳴と断末魔が聞こえる。
お礼をしよう、名前を聞こうと思ったがそれもシルクロードの向こう側のように千里の果てを掛けるよりも難しい事になってしまったのだ。

「・・・・まさに謎の老人だ。」
取り敢えず伝説の竜に会う為、私は麻雀修行の旅に出る。


・・・・っていい加減な世界設定とか資料とかの方が読んだり書いたりしていて
楽しいのは何故だろう。
極論を言うなら、こういうファンタジーの方がより中国のリアリティーを感じてしまうのは、背中のかゆい所に手が届かないような。こそばゆさがある。


2008年03月18日(Tue)▲ページの先頭へ
繋がれた愛。
繋がれた愛。

 私にとって、このマンションの一室が全てだった。
 窓から見える世界。暖かで穏やかな光り・・・
 それに包まれると、寂しい現実が癒されるのです。

 太陽に私の毛が抱かれるのは、とても気持ちがいい事。
 うとうとしてしまう。
 まぁ大切な時間ではあるけれど、貴方が仕事から帰ってきてから・・・それが私の時間 だからそれまで・・・それを夢見て眠るとしよう。

 窓越しの自由。憧れないわけはないけど・・・
 好きな貴方が居てくれる方が大切だから、貴方の腕に抱いて貰う幸せの方が愛しいから、ココの部屋から出る事は考えたくない。
 貴方が私にしてくれた首輪。
 それをしている事は貴方に支配される事であるけれど我慢出来た。

 貴方に愛されて・・・それがあるから幸せで・・・

 昼間は貴方は待つだけの時間。何もない部屋は退屈で死にそうだけど、
 貴方が遊んでくれるのをただ待つ以外私は仕方ない。
 ずっと前からそうだったから・・・・

 貴方を恨んだ事・・・たくさんあったよ。
 私は望んでも貴方の子供を産めない体。
 痛かったし、ショックだった・・・
 無理矢理病院に連れられて、お腹の中身知らない人にいじられて、
 「私が病気にならない為だよ。」
 貴方はそう私の事を思ってしたと言うけれど、
 女である事捨てられて、私自身が何の為に生まれてきたのか分からなったよ。

 それでも、貴方の事が好きな私は弱いのかもしれない。
 愛ではなく・・・自分一人で生きられない現実が
 怖いのかもしれない。

 でも貴方が微笑んでくれる事。
 私の目を見つめ顔を撫でてくれる事。
 それだけで何もかも忘れて、私は幸せになってしまう。
 ・・・・待たされた分。それが狂おしい程私を満たしてしまう。
 貴方にとって私はどんな存在か分からないけど、
 私には貴方が唯一って思ってしまう程、それだけでいいと思う程。
 貴方の存在は愛おしかった。

 嫌な事。最近一つあった。
 貴方が私を居るのに、女の子連れ込んだ事。
 私だけのその手が、彼女を触れるのは・・・凄い嫉妬したよ。
 その子は悪いだけの女の子でなくて、私にも優しくしてくれたし・・・
 でも、
 そんなの慰めなんかならないじゃん。私は貴方を独占したいのに・・・
 せめて私と居る時間だけわって思うのに

 私が声を出すと貴方は凄く怒って
 私の人を平気で蹴飛ばすから黙っているけど・・・
 最近貴方に彼女が会いにくる回数が増えていくから
 正直心が裂ける程辛いよ。

 夜も昔は私だけを優しくしてくれたから満たされていたけど
 今は半分は貴方が彼女の事を考えているから、つらくって
 迷惑な顔をするけど
 彼女の居ない時は思い切り甘えたくなってしまう。

 あの日、のあの時の貴方。
 怖かった。悲しそうな目で見下ろす視線が、
 「ごめんね。仕方なかったんだよ。」
 そう憐れみを向けながらも、それとは裏腹に
 乱暴に私をプラスチックケースに押し込むのが・・・。
 彼女の怒号の声が・・・怖かった。

 狭い部屋から、もっと狭い器に入れられ。毛布が掛けられ、真っ暗になる。
 激しく揺られる。
 まるで物になったような気持ち。

 突然エンジンが止まる。ドアが開けられ、毛布が取られる。
 満天の空が広がる。遠くには丸く大きい月の姿。
 「さぁ、行きなさい。」
 彼が促す言葉で、私は自由になった事を知る。
 だけど・・・今更自由になっても、私はどうして良いのか分からない。
 心も体も貴方なしでは生きていけない程弱くなってしまったから。

 離れたくて私は、思い切り貴方の足にしがみつく。
 彼は私の未練を断ち切るように乱暴に体を蹴る。
 そして
 「ごめん、彼女の家にお前を連れていけないんだ。
 こうする方がお前の幸せなんだ。」
 と優しく言って、彼女と共に車に乗って私を置き去りにする。

 貴方の幸せを考えるなら、私が身を引けと言う事なんだろうか。
 彼女を選んで、私を捨てた。
 そう言う事かもしれないけれど、そんなの勝手すぎると思うよ。

 私の一生は繋がれて待つだけだったんだよ。
 貴方を夢見る為に私の命を費やしてきたんだよ。
 私の命を、私の時間を奪った癖に、そんなの酷すぎる。
 私がこんな姿だから
 私は貴方のセックスの対象にならない所為ですか。
 子供を埋めないからですか。

・・・・最後のは貴方の所為なのに。

 無防備な私に野犬が襲いかかる。
 私は誇りを籠めて、叫ぶ。
 「私は、貴方と違って人間なの。あの人が好きなの。」
 「うるさい。お前は所詮捨てられたんだ。俺達と同じ同類なんだ。」
 「辞めて。」
 奴の身体を蹴飛ばし、私は崖を駆け上がる。
 そして寂しいと、月に向かって吠えるのです。

the−end

********

 オチはもう皆様はおわかりでしょう。
 人だったらこんなに悲しい事を
 平気でする奴がたくさん居るのです。

 そう思うと、命の大きさが重たすぎて私は、
 簡単じゃないって思います。   
 一度決めたら、一生懸命愛して欲しいと思います。


2008年03月17日(Mon)▲ページの先頭へ
違和感のない文章
違和感のない文章



「前人未踏の中国の秘境で

       人食いパンダを見た。」



 ……っていうか、パンダ草食だろっ


2008年03月16日(Sun)▲ページの先頭へ
エア・スポット
エア・スポット


それはよくある風景だった。
私が飛行機に乗っていると突然横の妊婦が苦し始めたのである。
「うっ生まれる。」
「どなたか、お医者さんはいらっしゃいませんか。」
・・・そうこれドラマで見た事がある。
理知的で大人の女性を感じるスチワーデスが、必死に声を掛ける姿は色っぽく医者でなくても名乗りを上げたい所である。

だが、あいにくこの飛行機に医者は居ないらしい。
周りは必死に叫び洒落にならない緊迫した場面になっていた。
その時突然、操縦席のドアが開く。白衣の男が何故か全身を血だらけにして、私達の目の前に現れる。
後ろでは、乗務員らしき人達の死体が見えたがすぐにドアは閉まる。

「貴方は兎に角何者なんですか。」
あるスチワーデスが問い掛ける。すると不審な男は
「私は、パイロットに憧れる通りがかりの医師だ」といいきる。
「医者がどうして操縦席から出てきたんですか。
 それに機長はどうしたんですか。」
 丁寧な言葉であったが、厳しい口調で主任らしきスチワーデスがさらに男に詰問する。

 男はそれに対して
「医師といえばインテリだ、インテリは頭がいい。頭がいい人は常人とは違うことをする物だ。
学生運動や安保闘争など昔から知識階級といわれた物達が過激な活動をする。
過激な活動とは、つまりはテロ活動。テロ活動いえばの皆殺しであり、代表はハイジャックだ。つまり医師は医師としてインテリであるために、機長や副機長などじゃまする者を皆殺しにした上ハイジャックをしなければならないのである。」
と答え不敵な笑みを浮かべると
妊婦の手を握り「大丈夫か」と必死になって声を掛ける。

「一体操縦はどうなって居るんだ。」
横に座っていた弁護士が、その男に怒鳴る。
それに対し医師は睨み返し逆に怒鳴り返す。
「うるさい今それどころではない。治療が先だ。
人一人の命がかかって居るんだ。黙っていろ。」

・・・取り敢えず私もそれどころではない。
スチワーデスから電話番号を到着までに聞いておかないと・・・

The-end


2008年03月15日(Sat)▲ページの先頭へ
演技。
演技。

あの作品に二人の女優が出ている。

そのうちの一人は、天才女優と言われ、

台詞も上手であれば、ナチュラルな感じも上手く表現できる

そんな人である。

だがその作品で主役を射止めたのは彼女ではなかった。その事をその人は問いつめる。

それに対し、監督が言ったのはこんな一言だった。

「アンタの方が上手たけど、アンタの演技は人に共感を与えない。」と


2008年03月14日(Fri)▲ページの先頭へ
二人の富嶽百景
「私の住んでいる千葉でも富士山が見えるのをご存じですか。」
ある日の君の日記にそんな言葉と一枚の写真。
その写真は青い海の上に浮かぶように見える富士の姿。
その姿を君は美しいといい、憧れだと言っていた。

僕が仕事で左遷されたのかなんなのかよく分からないけれど、出向先の長野から見える富士は山の中で立っていた。
その姿は幾重の山の陰に隠れて居るように立ち、他にも近くに高い山がある所為か、目立つ存在ではなかった。
でも逆に言えばその美しさと気高さは例え遙か小さく見えるほどであっても、時々気になり、また見つけるとうれしさを感じ、美しさに惹かれる物があった。

静岡で見た富士はその裾野が人は着物のようだと言うが、その大きさと美しさに圧倒される。
山梨で見る富士は小さな山を付き従え、王妃とそのしもべ達の姿のように、絶対的な美しさと、その気高さ故の孤高の美しさを感じる。

同じ物でも人それぞれに違って見える富士。
君と僕はその富士を正反対の方向から見つめていた。

「私はもっと高いところを目指すために、外国に行きます。」
そんな言葉と共に君は飛行機の中から撮った写真をプログに最後に乗せ本当に遠いところへ、行った。
結局僕も君も結局同じ視線で居られたことなんか無かったと思う。
同じように感じられる瞬間なんか、本当はなかったかも知れない。

でも、例え見えた物は違っても、感じられる物は違っても
僕たちが理想としていたのはきっと同じだったと思う。
あの富士のように一番でありたいと、
ただ高いだけではなく美しい言葉や物語や物を
生み出したいという気持ちだけはきっと一緒だったと思う。

そして僕が富士を見つめていた時に
君が同じ物を、同じ時間に見つめ目指していたかもと思えるだけで
寂しくはなかったから

例え一人になっても
富士が孤高であっても、美しくあり続けようとするように
私ももっと高く、もっと美しく
たくさんの人から見つめられるそんな言葉を重ねていきたい。









   


携帯して持ち歩けるほど……
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