真三國志関羽編−20−



2008年07月23日(Wed)
真三國志関羽編−20−
 「そうか。」
 玄徳は関羽に否定されても、特に感情的にはならずに素直にそれを認める様子である。関羽はその時気が付かなかったが、玄徳自身そのことを自覚していたのである。
 (腕力に優れているわけでもないのなら、軍略にでも優れているのかと思ったが、……それにしても、本当に素人くさい奴らだ。)
 (俺ならば……)
 もっと軍略に沿って組織を固めていくだろう。訓練方法も役割を徹底して行うだろう。
 (素人を集めた義勇軍とはいえ、もっと将ならやり方があるだろう。)
 そんな思いで彼らを見つめる。
 「なあ、関羽殿。そなたが彼らを指揮して彼らを率いてみないか。」
 「えっ」
 「お前の持っている軍略や用兵で彼らを鍛えて、総司令官として我ら1000の兵を率いてみないか。」
 突然玄徳はそんな申し出をする。
 関羽は一瞬驚き、その内容に言葉を失う。
 「全軍を俺に任せるというのか。」
 「ああ。確かに軍は素人揃いだが、専門家である関羽殿なら何とかなるだろうし、多少の兵力の劣る部分は張飛殿の武勇が十分補うはずだ。」
 (そんな事をしたら。)
 玄徳ですら、何もないところから1000の兵を集めることも、張のような有力者から支援を取り付けることも容易ではないことである。
 (それなのにそれを譲り渡そうというのか。)
 「それなら、俺が一軍を率いて張飛が先鋒を指揮するとしたら、玄徳殿は一体何をするつもりなのですか。」
 (軍を譲り渡したら、玄徳は何が出来るというのか。)
 それに対して玄徳ははっきりと確固たる意志のように言う。
 「俺は、張飛や関羽殿のような力のある才能が活躍する舞台を準備して用意することだ。俺には、張飛のような腕力も関羽殿のような軍略も技術もない。
 だからこそ、人は自分の能力を発揮できる場所を与えられて、そこで頑張るのが一番良いと思う。」

 適材適所
 玄徳の言いたいことは単純なことである。
 だからといって、それを建前的に言ったとしても本気で人を信頼し仕事を任せて、人を動かす人間がどれだけ居るというのか。
 玄徳は関羽の才能を見抜きすべてを任せようとしている。
 それは彼の才能をリサーチしてそして実際に会ってみて出した結論かもしれないが、実際に関羽自体が軍を率いたこともなければ今まで戦功があったわけでもない。
 それなのに事もなく、自分の軍を関羽にゆだねようとしている。
 (よほど器量が大きいのか、単なるアホなのか)
 判断が付かないが、ただ一つ言えることは自らの才能に固執することもなければ、自分の不得意をしっかり把握し、冷静に彼は長期的な展望を立てているのである。
 かつて自分のあった中にそんな男が居ただろうか。と思うと居ないのが現実だ。

 「実際問題として、いくら県令が支援を約束してくれたとはいえ、1000の兵を自らの軍隊として使わせてくれることなどないと思う。
 またもし与えられたとしても官軍であれば義勇軍と違い自由に軍を動かすことは出来ないし、上司である人間の言葉に従わなければなるまい。
 そうなれば折角の才能も無駄になる可能性がある。逆に我らの義勇軍を率いれば関羽殿の才能をすべて発揮することが出来るかもしれない。」
 玄徳は丁寧に、でも現実を関羽に突きつけるように述べる。  

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カレンダ
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