狂犬



2008年06月25日(Wed)
狂犬
目に見えたものを私は吠えた。
差し出された手を噛み、近付く人を威嚇し、
弱みを見せたものは傷付けて
私は生きてきた。

あの時の私は怯えていたのだ。
私を害する手も、優しくする手も
みんな怖かった。みんな信じられなかった。
優しく見える手にどんなナイフが隠されているのか
傷が癒えても、記憶から血が出て
今度は心まで切り裂かれそうで
私は怖かった。

それから知らなかった。
本当の優しさを
あの時の私は何もわからなく
吠えるだけの野犬だった。

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