予知−エスパー伊藤課長補佐−上編



2008年06月13日(Fri)
予知−エスパー伊藤課長補佐−上編
ちょっとさえない伊藤課長補佐は、
ある日突然予知能力に目覚めた。
ある人の未来が突然見えてしまうのだ。

朝の出勤途中、上機嫌そうな男がふと目にとまった
その男が、美味しそうにどんぶりを食べている姿が
ビジョンとして見える。
「・・・今日はあそこの天丼にしてみるか。」
そんなことを考えながら歩いていると
髪の毛を真っ青に染めた女の子と肩がぶつかる
「ちょっとどこ歩いているの。」
そんな彼女の叫び声と共に、あるビジョンが思い浮かぶ。
「・・・・・」
「ちょっと・・・おかしいんじゃないの貴方」
彼女は意外に若く高校生ぐらいであろう。綺麗な顔立ちをしていたが
年が幼いせいか化粧が上手でないらしく、よく見ないと美人に見えない。
そんな彼女の顔が、突然跡形もなく硝子の破片と共につぶれ血が飛び散る。
そして、急ブレーキの音。
「・・・・君。今日は遊びに行かないで大人しくしていた方がいいんじゃないのかな」
小さい声で言葉を選びながら、さりげなく話しかける。
しかし、どんなに言葉を選んだところでその努力は明らかに徒労に終わることは明白であった。
「はぁ。」
バカじゃないの?その言葉は言わなかったけれど明らかに不審そうな顔をした後、係わること自体が無駄であるのか、あるいは早く変な男から逃げ出したいと思ったのか姿を消す。明らかに、信じていないことは確かであった。

「・・・・はぁ」
同じ言葉を伊藤は遙かに低いテンションではき出した。
ああいう顔をされるのは分かっている。確実に彼女はこの後交通事故で死ぬだろう。
だからといってどれだけ説得をしたところで、絶対に彼女は変な男が頭を狂ったことを言っているという程度で信じないだろう。
だから彼自身も、積極的に彼女を助けようとする努力もする気力がなかった。

あと一回つづく

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カレンダ
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