月姫抄−4− |
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2008年04月20日(Sun)
月姫抄−4−
気晴らしに早くここから出て、馬に乗り広く澄んだ海を見たい。)
せっかくの温情に感謝の言葉も付け加えることはなく、さも用事が済んだと言わんばかりに形式的に頭を下げると、そそくさと背を向け広間を出て行く。 「本当にこの巫女は、我々の反映を祈るというのでしょうか?養父を殺され、一族を皆殺しにされて……むしろ我ら一族が滅びることをのぞみ、これから呪詛を捧げるのではござらんか」 異常に甲高く、でもかすれた声が浴びせられる。正室付の年老いた侍女が侮蔑の刃の言葉を背中に浴びせる。 それは大きな波が背後から襲いかかるよう。 (ずっと、私は深い海と迫り来る波に飲まれているのか。) 何か大きな力が波となり固まりとなり彼女の心を静めようとする。 もがいで居るのだろうか。それとも前に進もうとしているのだろうか。 幼い日。実際に強い波に飲み込まれ、沈めていかれるそんな記憶。 永遠に続くような海の暗闇と、戦火の炎の中放り出されたこの体を、波に飲み込まれそうな体を、何とか沈まされていない船に寄せる。 船に、陸に上がっても今度は炎獄と化していた。 激しい叫び声と似た泣き声。身の回りを浮かぶ、知った者のたくさんの死体が今の状況を物語っていた。死という巨大な波が、いつ来てもおかしくないように彼女と彼女の一族を飲み込もうとしていた。 「何故じゃ」 真っ赤な小袖を身にまとった女が、同じように真っ赤な炎を身にまとい叫び声を上げながら、灰になっていく
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