真三國志第一話「不良青年玄徳の言い訳−2−」



2008年04月07日(Mon)
真三國志第一話「不良青年玄徳の言い訳−2−」
「ろくでもない輩か……。」
それを言うのなら不平不満を並べながら自分達は何もしない……そう言う年寄りで有力者づらしている者達の方が余程、税を厳しくしたり、その金を私用に使ったり、賄賂をしたりして、醜悪な物である。
 却ってろくでもないと言われる若い輩の方が、薬にならないとはいえ毒にならないのだから、余程ましだと玄徳は思っている。
 (それに彼らだって好きで、仕事に就かずに無類をしているわけではないのだから。)

 「劉さん。金を貸してくれよ。」
 街を歩けば街をぶらつく若者がそんな声をだれともなく掛けてくる。粗末な衣装で、顔を真っ黒にしながら、人なつこい笑顔をむけてくる。
 先程の一族の長老なんかが見たら「若いくせに」と顔をしかめるかも知れない。事実高貴さとかそう言う物からはほど遠く薄汚くて乞食のようである。余り良い第一印象では印象は持たれないのかも知れない。
 だからというわけでもないのだが、向こうからしてもそう言う表情をするから、高貴そうな輩には反感を持っているのらしい。

 だが玄徳だけは衣装に趣をこなして、ああいう口うるさい年寄りにも笑顔で居て、一族の期待を背負うエリートであり、血脈からも高貴な感じもあったものの、そんな街をぶらつく若者からも声を掛けられていた。
 それは彼の持って生まれた才能でもあるが、それ以上にああいう若者の気持ちを共感し理解してくれているからこそ、自然と優しく自分のことのように親身になってくれるからこそ、つい彼らも声を掛けたかった。
 また玄徳のように少しエリートっぽい人間が自分達を理解し対等に付き合ってくれることがうれしくってつい理由が無くても声を掛けたくなるのだ。
 (口だけ清廉そうなことを言う奴よりも、彼らの方がよっぽど純真で誠実で勤勉だと思う。)
 (若いからこそ、少しでもいい生活をしたい。人に認められたいと必死だし。)
 (ただそう言う純真な気持ちを。熱意を向けるところがないのだ。)
 玄徳はそう群れて仕事もなく集う若者達をそう理解している。

 ……それは同時に玄徳の気持ちそのままであった。

つづく

 

 


   


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カレンダ
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