二人の富嶽百景 |
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2008年03月14日(Fri)
二人の富嶽百景
「私の住んでいる千葉でも富士山が見えるのをご存じですか。」
ある日の君の日記にそんな言葉と一枚の写真。 その写真は青い海の上に浮かぶように見える富士の姿。 その姿を君は美しいといい、憧れだと言っていた。 僕が仕事で左遷されたのかなんなのかよく分からないけれど、出向先の長野から見える富士は山の中で立っていた。 その姿は幾重の山の陰に隠れて居るように立ち、他にも近くに高い山がある所為か、目立つ存在ではなかった。 でも逆に言えばその美しさと気高さは例え遙か小さく見えるほどであっても、時々気になり、また見つけるとうれしさを感じ、美しさに惹かれる物があった。 静岡で見た富士はその裾野が人は着物のようだと言うが、その大きさと美しさに圧倒される。 山梨で見る富士は小さな山を付き従え、王妃とそのしもべ達の姿のように、絶対的な美しさと、その気高さ故の孤高の美しさを感じる。 同じ物でも人それぞれに違って見える富士。 君と僕はその富士を正反対の方向から見つめていた。 「私はもっと高いところを目指すために、外国に行きます。」 そんな言葉と共に君は飛行機の中から撮った写真をプログに最後に乗せ本当に遠いところへ、行った。 結局僕も君も結局同じ視線で居られたことなんか無かったと思う。 同じように感じられる瞬間なんか、本当はなかったかも知れない。 でも、例え見えた物は違っても、感じられる物は違っても 僕たちが理想としていたのはきっと同じだったと思う。 あの富士のように一番でありたいと、 ただ高いだけではなく美しい言葉や物語や物を 生み出したいという気持ちだけはきっと一緒だったと思う。 そして僕が富士を見つめていた時に 君が同じ物を、同じ時間に見つめ目指していたかもと思えるだけで 寂しくはなかったから 例え一人になっても 富士が孤高であっても、美しくあり続けようとするように 私ももっと高く、もっと美しく たくさんの人から見つめられるそんな言葉を重ねていきたい。
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